PCA9306は、イネーブル (EN) 入力を備えたデュアル双方向I²CバスおよびSMBus電圧レベル変換器であり、1.0 V~3.6 V (Vref(1)) および1.8 V~5.5 V (Vbias(ref)(2)) で動作します。
PCA9306は、方向ピンを使用せずに1.0 Vと5 Vの間で双方向の電圧変換を可能にします。スイッチの低オン抵抗 (Ron) により、最小限の伝搬遅延での接続が可能になります。ENがHIGHのときは、変換器のスイッチがオンになり、SCL1とSDA1のI/OがそれぞれSCL2とSDA2のI/Oに接続されてポート間での双方向データ・フローが可能になります。ENがLOWのときは、変換器のスイッチがオフになり、ポート間はハイ・インピーダンス状態になります。
PCA9306は、PCA9509やPCA9517Aのようなバス・バッファとは異なります。これらはレベル変換に加えて、両側が接続された際にそれぞれの側の静電容量を物理的に絶縁します。PCA9306は、デバイスが作動停止しているときにのみ両側を絶縁し、作動しているときには電圧レベルの変換を行います。
また、PCA9306は、動作周波数400 kHzと動作周波数100 kHzの2つのバスを動作させるために使用することもできます。2つのバスが異なる周波数で動作している場合、もう一方のバスで400 kHzでの動作が必要なときには100 kHzのバスを絶縁する必要があります。が400 kHzで動作している場合、システムの最大動作周波数は、変換器による遅延が加わるため400 kHz未満となる可能性があります。
標準のI²Cバス・システムと同様に、変換器のバスにはロジックHIGHレベルを実現するためにプルアップ抵抗が必要です。PCA9306は、I²Cバスの標準のオープン・コレクタ構成を備えています。これらのプルアップ抵抗の大きさはシステムによって異なりますが、変換器の両側にプルアップ抵抗が必要です。このデバイスは、SMBusデバイスに加えて、標準モード、ファストモード、およびファストモード・プラスのI²Cバス・デバイスで動作するように設計されています。最大周波数はRC時定数によって異なりますが、一般的には2 MHzを超える周波数をサポートします。
SDA1またはSDA2ポートがLOWのときは、クランプがオン状態になり、SDA1ポートとSDA2ポート間は低抵抗で接続されます。SDA2ポートがHIGHのときは、SDA2ポートの電圧がより高いとみなされ、SDA1ポートの電圧はVREF1によって設定された電圧に制限されます。SDA1ポートがHIGHのときは、SDA2ポートの電圧がプルアップ抵抗によってドレイン・プルアップ供給電圧 (Vpu(D)) までプルアップされます。この機能により、方向制御を必要とせずに、ユーザーが選択した高電圧と低電圧間での変換をシームレスに行うことが可能です。SCL1/SCL2チャネルは、SDA1/SDA2チャネルとしても機能します。
すべてのチャネルに同一の電気的特性が備わっており、異なる出力間における電圧または伝搬遅延の偏差は最小限となります。これは、スイッチの構造が対称的であることから、ディスクリート・トランジスタによる電圧変換ソリューションよりも利点があります。この変換器は、低電圧デバイスに優れたESD保護を提供すると同時に、ESD耐性が低いデバイスを保護します。