i.MX 8QuadMax MEKのスタート・ガイド

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ソフトウェアの入手

1. パッケージの内容

次のセクションでは、i.MX 8QuadMax MEKをブートする手順について説明します。

開発キットの内容:

  • スマート・デバイス向けi.MX 8QuadMax MEKボード
  • USBケーブル (micro B-標準A)
  • ケーブル - アセンブリ、USB 2.0 Type-Aオス、USB Type-Cオス、シールド、1 m
  • 12 V/11.5 Aユニバーサル電源
  • クイック・スタート・ガイド
  • オペレーティング・システムのブータブル・デモ・イメージを格納した16 GB SDカード

1.1 ボードの概要

MCIMX8QM-CPU TOP

MCIMX8QM-CPU TOP

MCIMX8QM-CPU BACK

MCIMX8QM-CPU BACK

1.2 SDカード (J19) の挿入

キットには、NXP Linuxのビルド済みバイナリ・デモ・イメージを格納したSDカードが含まれています。SDカード内部のバイナリを変更することなく、このSDカードからのブートにより、Linux上で他のアプリケーションをビルドするための特定の機能を備えたデフォルトのシステムが提供されます。このソフトウェアについては、次のセクションに記載されています。

1.3 USBデバッグ・ケーブルの接続

付属のUSBケーブルのmicro B側をデバッグUARTポートJ18に接続します。ケーブルのもう一方の端をホスト・コンピュータに接続します。

ターミナル・アプリケーションの使用方法がわからない場合は、ホスト・マシンのオペレーティング・システムに応じて、次のいずれかのチュートリアルを試してください。

1.4 HDMIケーブルの接続

イメージ・バイナリに付属のユーザー・インターフェースを表示するには、HDMIコネクタ (J6) を使用してモニタを接続します。

1.5 ブート・スイッチの設定

ブート・シーケンスの詳細は、i.MX 8QuadMaxリファレンス・マニュアルに記載されています。つまり、i.MXボードのブート・モードは、ブート設定スイッチによって制御されます。

これらのスイッチは、ブート・メディア(ボードに応じて、SDカード、eMMC、またはNAND)、シリアル・ダウンロード・プロトコル・モード (SDP)、またはeFusesの設定値を選択します。

また、SDPはブート・メディアのフォールバックとしても機能します。つまり、SDカードからブートするようにスイッチが設定されていてSDカード・スロットが空の場合、またはSDカードのバイナリ・コンテンツがブート可能でない場合は、ブート・シーケンスはSDPブートに切り替わります。

MCIMX8QM Boot Switch Setup

次の表は、i.MX 8QuadMaxボードのブート・スイッチの設定の一覧です。同じ情報は、i.MX 8QuadMaxリファレンス・マニュアルおよびスイッチ近くのボード上のシルクスクリーンにも記載されています。

ブート・メディア SW2 [D1-D6]
ヒューズ・ブート 000000
SDP 000100
eMMC 0001000
SD1 001100
QSPI 011000

1.6 電源の接続

電源ケーブルを電源コネクタ (J16) に接続します。

スイッチ (SW1) を使用してボードの電源を入れます。

プロセッサがオンチップROMコードから実行を開始します。デフォルトのブート・スイッチ設定では、このコードにより、ブータブル・イメージが格納されているメディアを指定するヒューズが読み取られます。ブータブル・イメージが見つかると、U-Bootの実行が自動的に開始されます。

Cortex®-A53の小さい番号のシリアル・コンソールに情報が表示されます。U-Bootプロセスを停止しない場合は、引き続きLinuxカーネルのブートが実行されます。

2. ソフトウェアの入手

このセクションは、ボードにLinuxオペレーティング・システムをロードする場合にのみ適用されます。

i.MX Linuxボード・サポート・パッケージ (BSP) は、特定のi.MX開発プラットフォームで組込みLinuxイメージをブートするために使用されるバイナリ・ファイル、ソース・コード、およびサポート・ファイルの集まりです。

Linuxバイナリ・デモ・ファイルの現在のリリースは、i.MXのLinuxダウンロード・ページにあります。その他のドキュメントは、i.MXソフトウェアおよび開発ツールのLinuxセクションにあるi.MX Linuxドキュメント・バンドルで入手できます。

2.1 組込みLinux®

2.2 概要

i.MXボード上でLinux OSカーネルがブートできるようになる前に、Linuxカーネルがブート・デバイス(SDカード、eMMCなど)にロードされ、そのデバイスをブートするようにブート・スイッチが設定されます。

各種のボードやブート・デバイス用のLinux BSPイメージをダウンロードするには、さまざまな方法があります。

このスタート・ガイドでは、Linux BSPイメージをSDカードに転送するいくつかの方法のみを示します。経験豊富なLinux開発者は、他のオプションを検討することもできます。

2.3 NXP Linux BSPのビルド済みイメージのダウンロード

i.MX 8QuadMax MEK用の最新のビルド済みイメージは、Linuxのダウンロード・ページでLinuxの最新バージョンの項目から入手できます。

ビルド済みのNXP Linuxバイナリ・デモ・イメージは、プロセッサの使用および評価のための標準的なシステムと基本的な機能のセットを提供します。システムを変更する必要なしに、ユーザーはハードウェアのインターフェースを評価し、SoC機能をテストし、ユーザー空間のアプリケーションを実行できます。

より柔軟性が必要な場合は、SDカードに個々のコンポーネント(ブート・ローダ、カーネル、dtbファイル、rootfsファイル)を1つずつロードするか、.sdcardイメージをロードして個々の部分を特定のコンポーネントで上書きします。

2.4 Universal Update Utility (UUU) を使用したNXP Linux BSPイメージの書き込み

「パッケージの内容」セクションでの接続に加えて、適切なUSBケーブルを使用してJ17をホスト・マシンに接続します。

ボードの電源を切ります。「ブート・スイッチの設定」を参照し、SDP(シリアル・ダウンロード・プロトコル)モードでブートするようにボードを設定します。

ホスト・マシンで使用されているOSに応じて、Linux BSPイメージをSDカードに転送する方法は異なります。

Minicomチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

Linuxホスト・マシンのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを実行してポート番号を確認します。

$ ls /dev/ttyUSB*

数字の小さい方がArm® Cortex®-A53コアの番号、大きい方がArm® Cortex®-M4コアの番号です。

Minicom

次のコマンドを使用して、シリアル通信プログラム(例:minicom)をインストールし、実行します。

  1. Ubuntuパッケージ・マネージャを使用してMinicomをインストールします。
    $ sudo apt-get install minicom
  2. 前に確認したポート番号を使用して、コンソール・ウィンドウでMinicomを起動します。
    $ sudo minicom -s
  3. Minicomを図3のように設定します
  4. GS-MCIMX7SABRE-MINICOM
  5. 次のステップは、HDMIケーブルの接続です。

Tera Termチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

i.MX 8QuadMaxのFTDI USBシリアル・チップは、1つのシリアル・ポートを作成します。そのポートをCOM9とします。これは、Arm® Cortex®-A53コアからのシリアル・コンソール通信を表します。Serial-to-USBドライバは、こちらからダウンロードできます

Tera Term

オープン・ソースのターミナル・エミュレーション・アプリケーションです。このプログラムは、NXP開発プラットフォームの仮想シリアル・ポートから送信された情報を表示します。

  1. Tera Termをダウンロードします。ダウンロードしたら、インストーラを実行し、このウェブページに戻って手順を続行します。
  2. TeraTermを起動します。初めて起動する際には、次のダイアログが表示されます。シリアル・オプションを選択します。ボードが接続されている場合は、COMポートが自動的にリスト内に表示されます。
  3. Tera-Term-Connection
  4. 事前に確認したCOMポート番号を使用して、シリアル・ポートをボーレート1152008データ・ビット、パリティなし、1ストップ・ビットに設定します。シリアル・ポートを設定するには、[Setup(セットアップ)]>[Serial Port(シリアル・ポート)]の順に選択し、設定を変更します。
  5. 接続が確立されているか検証します。確立されている場合、Tera Termのタイトル・バーに以下のように表示されます。
  6. Tera-Term-Console
  7. 次のステップは、HDMIケーブルの接続です。

PuTTYチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

i.MX 8QuadMaxのFTDI USBシリアル・チップは、1つのシリアル・ポートを作成します。そのポートをCOM9とします。これは、Arm® Cortex®-A53コアからのシリアル・コンソール通信を表します。Serial-to-USBドライバは、こちらから入手できます

PuTTYは、ターミナル・エミュレーション・アプリケーションです。このプログラムは、NXP開発プラットフォームの仮想シリアル・ポートから送信された情報を表示します。

  1. PuTTYをダウンロードします。ダウンロードしたら、インストーラを実行し、このウェブページに戻って手順を続行します。
  2. 選択したダウンロードのタイプに応じて、ダウンロードした実行ファイルをダブルクリックするか、[Start(スタート)]メニューから選択して、PuTTYを起動します。
  3. 起動後に表示されるウィンドウで設定を行います。[Serial(シリアル)]ラジオ・ボタンを選択し、前に確認したCOMポート番号を入力します。ボーレートもあわせて指定します。今回は「115200」を入力します。
  4. PUTTY-Configuration
  5. [Open(開く)]をクリックして、シリアル接続を確立します。ボードが接続されていて、正しいCOMポートが入力されていれば、ターミナル・ウィンドウが開きます。設定が正しくない場合は、アラートが表示されます。
  6. 次のステップは、HDMIケーブルの接続です。

設計・リソース

ボードに関するドキュメント

i.MX 8QuadMax MEKについては、次のドキュメントが提供されています。

ドキュメント 説明
ボードの回路図 i.MX 8QuadMax MEKの電気回路図ファイル。
i.MX 8QuadMax MEKハードウェア・ユーザー・ガイド このドキュメントは、iMX 8QMシリーズ・プロセッサ・ベースの設計の開発およびテストを行うハードウェア・エンジニアを支援することを目的としたものです。ボードの推奨レイアウト、初回での成功を確保するための設計チェックリスト、およびボード立上げに関する問題の回避方法に関する情報を提供しています。また、ボードレベルのテストでのBSDLの使用、電気的整合性のシミュレーションでのIBISモデルの使用など、ボードレベルのテストおよびシミュレーションに関する情報も提供しています。

チップに関するドキュメント

SoCに関するドキュメント

i.MX 8QuadMax SoCについては、次のドキュメントが提供されています。

ドキュメント 説明
i.MX 8QuadMaxデータ・シート SoCの物理的および電気的特性や、部品番号の意味について説明しています。
i.MX 8QuadMaxリファレンス・マニュアル SoCのサポート対象、レジスタ、メモリ・マップを一覧にしています。機能やワークフロー、ブート・フロー、各レジスタのビットの意味について説明しています。
i.MX 8QuadMaxのエラッタ 該当するSoCに関するハードウェアの問題を一覧にしています。Armコアやi.MXコアの問題が含まれる場合があります。また、回避策が提示されている場合とされていない場合があります。
i.MX 8QuadMaxセキュリティ・リファレンス・マニュアル i.MX 8QuadMaxセキュリティ・リファレンス・マニュアルへのアクセスをリクエストするには、サインインしてください。ダウンロードするためのリンクが電子メールで送信されます。

ソフトウェアに関するドキュメント

i.MX 8QuadMax MEKについては、次のBSPが提供されています。

  • Yoctoプロジェクトを使用したLinuxカーネル・ディストリビューション:詳細については、 i.MX 8QuadMax MEK BSPのLinuxドキュメントを参照してください
  • Android:詳細については、i.MX 8QuadMax MEK BSPのAndroidドキュメントを参照してください

各BSPにドキュメント・セットが備わっており、次の表にすべてのBSPドキュメントが記載されています。表内のドキュメントは、推奨される読む順番に応じて記載されています。

ドキュメント 説明
Linuxドキュメント・バンドル ここに記載されているすべてのi.MX Linux BSPファイルを1つのtarballとしてダウンロードします。
i.MX Linuxリリース・ノート どこから始めればよいかわからない場合、まずはここから始めましょう。サポートされているボード、サポートされている機能、パッケージのバージョン、既知の問題が一覧化されています。
i.MX Linuxユーザー・ガイド i.MX Linux BSPをダウンロード、ビルド、および実装する手順について説明しています。例えば、さまざまなメディアからのU-Bootによるブートを構成、ビルド、実装する方法について詳しく説明しています。
i.MX Yocto Projectユーザー・ガイド (Linux) Yocto Projectのメタデータをダウンロード、ビルド、実装、および構成し、イメージを構築する手順について説明しています。
i.MX BSP移植ガイド (Linux) i.MX Linux BSPをカスタムのボードまたはプラットフォームに移植する手順について説明しています。
i.MXリファレンス・マニュアル (Linux) i.MX BSP Linuxカーネルのドライバ、機能、およびカーネルの構成方法について記載しています。また、ドライバの動作についても説明しています。
i.MXグラフィックス・ユーザー・ガイド (Linux) カスタム・ユース・ケース向けにGPUをテストおよび構成する方法について説明しています。
ドキュメント 説明
Androidドキュメント・バンドル ここに記載されているすべてのi.MX Android BSPファイルを1つのtarballとしてダウンロードします。
Androidリリース・ノート どこから始めればよいかわからない場合、まずはここから始めましょう。サポートされているボード、サポートされている機能、パッケージのバージョン、既知の問題が一覧化されています。
Androidクイック・スタート・ガイド ボード、i.MX Android BSP内のファイル、さまざまなディスプレイを使用してイメージを実装およびブートする方法について説明しています。
Androidユーザー・ガイド AndroidをビルドするためにLinuxマシンを設定する方法、およびi.MX Android BSPをビルド、構成、実装する方法について説明したドキュメント。
i.MX BSP移植ガイド (Android) i.MX Android BSPをカスタムのボードまたはプラットフォームに移植する手順(マルチメディアおよびディスプレイの構成手順を含む)について説明しています。
i.MXグラフィックス・ユーザー・ガイド (Android) カスタム・ユース・ケース向けにGPUをテストおよび構成する方法について説明しています。
Androidに関するよくある質問 Androidに関するよくある質問を一覧にしています。