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温室効果ガス (GHG) が現在のペースで排出され続けると、地球温暖化が加速します。2°Cを超える気温の上昇(産業革命以前と比較)は、経済的にも社会的にも壊滅的な影響を及ぼします。
幅広い経済セクターの組織から、意思決定に役立つ気候関連情報が求められるようになったことから、NXPはスコープ1、2、3排出の分析に利用できる現在および過去の情報を開示しています。
カーボン・ニュートラルに向けたNXPのロードマップには、パリ協定の目標に沿って排出量を削減するために明確に定義された、スコープ1および2の目標が含まれています。
NXPでは、GHG(温室効果ガス)排出量の算定と報告に関する国際的に認められた基準であるGHGプロトコルに従って、カーボン・フットプリントを測定しています。プロトコルで定義された3つすべてのカテゴリ、スコープ1(直接排出)、スコープ2(自社による間接排出)、およびスコープ3の一部(出張や製品の輸送)について報告しています。NXPのカーボン・フットプリントの多くを占めているのは、購入電力からの排出、およびパーフルオロ化合物(PFC等ガス)と熱媒体 (HTF) の使用です。
半導体の製造プロセスでは電力が大量に使用されます。そのため、スコープ2の電力消費による排出がNXPの排出量の大半を占めています。
10年にわたる集中的な取り組みの結果、スコープ1およびスコープ2の排出量は大幅に削減されました。2012年以降、排出量(原単位)は33%減少しています
2022年には、スコープ1と2(市場ベース)の総排出量は2012年よりも20%減少しています。
GHGプロトコルでは、スコープ1の排出を企業が所有および管理する資源からの直接排出と定義されており、これには自社製造プロセスや定常燃焼(燃料、加熱源など)からの排出が含まれます。
NXPのスコープ1の排出には、PFC、HTF、化石燃料の消費からの排出のほか、京都議定書の対象ガスである一酸化二窒素 (N2O) や六フッ化硫黄 (SF6) などの排出が含まれます。
2022年にはNXP製品の需要が増大しました。その結果、スコープ1の排出に分類される加工用化学薬品の使用量が増えました。2021年以降、NXPのスコープ1の総排出量は3%増加しましたが、一方で2012年以降のスコープ1の総排出量は18%減少しています。
2012年以降、プロセスの最適化、ツールのアップグレード、排ガス処理装置の設置などの取り組みにより、スコープ1の排出量(原単位)は32%減少しました。さらに、スコープ1の排出量(原単位)は2021年と比べて6%減少しています。
PFCは、製造プロセスにおいて、シリコン・ウェハに形成した膜のエッチングや成膜装置内のチャンバのクリーニングに使用されており、現時点では採用可能な代替手段がありません。NXPではさまざまな制御手段を取り入れて、環境へのPFC*の影響を最小限に抑えています。
PFCの排出量(原単位)は2021年と比べて6%上昇しました。ただし、2012年と比べると排出量は42%減少しています。
PFC総排出量は2021年と比べて16%増加しましたが、2012年以降では31%減少しています
*PFC排出量の算定を更新しました。その延長として、スコープ1排出量の合計を更新しています。NXPでは、2020年までのデータに関してはIPCC 2006の算出方法を採用し、2021年以降はIPCC 2019の算出方法を採用しています。詳細については、2022年企業サステナビリティ・レポートをご覧ください。
HTFは、製造プロセスとデバイス試験において特定の温度を維持するために使用されます。NXPではHTFの排出問題を解決するために、新しいツールを開発、導入して、拡散した気体と流出した液体を回収する半自動クローズド・ループシステムを構築しました。
NXPのHTF排出量(原単位)は2021年と比べて45%減少し、2013年に比べて50%減少しています。
HTF絶対排出量は2021年と比べて40%減少し、2013年に比べて43%減少しています。
NXPでは、クリーン・ルーム内の加温および湿度抑制に使用されるボイラやジェネレータを駆動するために化石燃料(天然ガス)を使用しています。2022年には、生産拠点において寒冷な気候が続いたことに加え、生産量も増加したため、化石燃料の消費量が増加しました。
化石燃料の消費量(原単位)は2021年と比べて5%減少し、2012年に比べて16%減少しました。
化石燃料の総排出量は2021年と比べて4%増加し、2012年に比べて1%増加しています。
N2Oは、製造プロセスの複数の段階で使用されています。これには、二酸化ケイ素の化学気相成長法、ドープまたは非ドープ酸窒化ケイ素、拡散、急速熱処理、およびチャンバのシーズニングが含まれます。ただし、NXPでは数年前から最先端の排ガス処理テクノロジを導入するとともに、既存のプロセス・ツールをアップグレードしています。
排ガス処理テクノロジとプロセス・ツールの改善に継続的に取り組むことで、N2Oの排出量(原単位)は2021年と比べて4%減少し、2012年に比べて16%減少しました。
2022年の生産量の増大により、N2Oの総排出量は2021年から5%増加し、2012年からは0.2%増加しています。
GHGプロトコルでは、スコープ2の排出はユーティリティ・プロバイダより購入したエネルギーの発電に伴う間接排出と定義されています。現時点でNXPは、スコープ2のエネルギーとしてすべて電気を使用しています。スコープ2の排出量を算定する際には、エネルギー・プロバイダの実際の市場ベースの排出量データを使用しています。
NXPのスコープ2の排出量(原単位)は2021年と比べて12%減少し、2012年に比べて34%減少しています。この改善は、省エネルギーおよび再生可能エネルギーの利用に重点を置いた取り組みによるものです。
2022年にはNXPの製品需要が2021年と比較して9%増大し、それに伴い全体の電力使用量も上昇しましたが、スコープ2の総排出量は4%減少しました。2012年以降、NXPのスコープ2の総排出量は21%減少しています。
GHGプロトコルでは、スコープ3の排出は報告事業者のバリュー・チェーン内で発生する、スコープ2には含まれない間接排出として定義されています。NXPのスコープ3の排出量は現在、出張と製品輸送に限定されています。今後、サプライ・チェーンとともに、スコープ3の排出のさらなる算定に引き続き取り組んでいきます。
出張がCOVID-19パンデミック前の水準に戻ったことを受け、スコープ3の排出が増加すると予想されます。しかし2019年と比較しても、依然として顕著な減少を達成しています。NXPは、スコープ3の排出を最小限に抑える手段を今後も追求していきます。
2020年と2021年には、COVD-19パンデミックの影響により基本的にすべての出張が中止されました。しかし、2022年になりCOVID-19のパンデミック関連の規制が緩和され始めてから、出張による排出量は以前のレベルに戻り、合計9,098トンのCO2eが排出されました。
製品の輸送による排出には、製造拠点間の半製品の輸送、および完成品である製品の倉庫や顧客への輸送が含まれています。2022年における製品の輸送によるCO2e排出量は、20,555トンCO2e(kg/kmに基づく)と概算されました。
窒素酸化物 (NOx)、硫黄酸化物 (SOx)、揮発性有機化合物 (VOC) を含む温室効果ガス (GHG) 排出量は、主にはフォトリソグラフィ・プロセスでの化学溶媒の使用などの製造工程から排出されていますが、ボイラーや非常用発電機からの排出も含まれています。
2011年以降、NXPによる非温室効果ガスの排出量は大幅に減少しています。これには、2021年のレベルと比較したNOx、SOx、VOC関連の排出量の減少が含まれます。一方で、シンガポールのSSMC (Systems on Silicon Manufacturing Company) が拡張されたこともあり、2012年に比べてVOCは増加しています。
国連の持続可能な開発目標 (SDGs) に合わせてNXPの製品開発、経営、企業姿勢を修正し、経済、社会および環境の持続可能性に関連する地球規模の課題に取り組んでいます。
EHSや製品の環境コンプライアンスなど、NXPのサステナビリティへの取り組みに関するお問い合わせはこちらにお寄せください。