コネクティビティとインテリジェンスに優れた、ソフトウェア・デファインドのインダストリアル・システムが増えつつあります。開発者はデターミニスティック・ネットワーク、リアルタイム制御、サイバーセキュリティ、エッジ・コンピューティング、複数のインダストリアル通信プロトコルをサポートしながら、開発期間を短縮し、導入を迅速に進めることが求められるようになっています。
同時に、高性能のインダストリアル・プロセッサを早期に評価して開発を進めることが難しいという問題もあります。従来の評価プラットフォームの多くは、幅広いデバイス機能を評価できる設計になっていますが、開発の初期段階ではこのことがコストの増加と複雑化の原因になる可能性があります。
NXPはこうした課題を解決するために、FRDM-IMXRT1186開発ボードを導入しました。これは、初めてi.MX RTクロスオーバー・マイクロコントローラ (MCU) ファミリを搭載したFRDMプラットフォームです。
i.MX RT1180のインダストリアル機能にFRDMエコシステムのアクセシビリティを組み合わせることで、インダストリアル・オートメーション、ロボティクス、ネットワーキング、エッジ・コンピューティングの各アプリケーションの評価、プロトタイプ作成、開発を行うための実用的なプラットフォームを実現しています。
インダストリアル分野の開発者にとってFRDMの有用性とは
NXPのFRDM開発プラットフォームは、評価からプロトタイプ開発までの工程を簡素化できるため、組み込み開発の分野で広く普及しています。
FRDM-IMXRT1186は、初めてi.MX RTクロスオーバーMCUファミリを搭載したFRDMボードです。コンパクトなフォーム・ファクタ、標準化された拡張インターフェース、統合されたデバッグ機能、幅広いソフトウェア互換性を1つのプラットフォームに集約し、評価とプロトタイプ作成の迅速化を支援します。
開発者は幅広いFRDM製品群で使用されているソフトウェア・エコシステムを活用しながら、インダストリアル・ネットワーク、モータ制御、エッジ・コンピューティング、リアルタイム制御の各アプリケーションの検討をスピーディに進めることができます。
概念実証 (POC) の作成、インダストリアル・ネットワーク・テクノロジの評価、お客様向けデモの作成などを目的としてi.MX RT1180クロスオーバーMCUの機能を検討する際に、FRDM-IMXRT1186は扱いやすい出発点として役立ちます。
i.MX RT1180クロスオーバーMCU
FRDM-IMXRT1186の心臓部であるi.MX RT1180クロスオーバーMCUは、リアルタイム制御とインダストリアル通信を同時に管理する機能を備え、インダストリアル・オートメーションの重要課題を解消します。
i.MX RT1180クロスオーバーMCUを搭載したFRDM-IMXRT1186は、リアルタイム処理、インダストリアル・ネットワーク、エッジ・コンピューティングの各機能を1つのプラットフォームに統合したものです。
i.MX RT1180クロスオーバーMCUを搭載したFRDM-IMXRT1186は、リアルタイム処理、インダストリアル・ネットワーク、エッジ・コンピューティングの各機能を1つのプラットフォームに統合したものです。
FRDM-IMXRT1186には、以下の機能が搭載されています。
- MIMXRT1186CVJ8C
- Arm® Cortex®-M7アプリケーション・プロセッサ
- Arm Cortex-M33セーフティ・コア(TÜV認定取得済みのセルフテスト・ライブラリが付属)
- Time-Sensitive Networking (TSN) スイッチングに対応する10/100/1000 Mbit/sイーサネット・コネクタ x 2
- EtherCAT®またはTSNスイッチングに対応する10/100 Mbit/sイーサネット・コネクタ x 2
- セキュリティ機能と機能安全機能
- 充実したモータ制御インターフェースとインダストリアル・インターフェース
- ARDUINO® UNO R3ヘッダ
- FRDMヘッダ
- FlexSPIフォロワ・ヘッダ
- SRAMCヘッダ
- モーター・ヘッダ
異種混在アーキテクチャであるため、専用のプロセッシング・コアの間で通信ワークロードとアプリケーション・ワークロードを分離できます。Arm Cortex-M33を通信機能に使用しながら、Arm Cortex-M7によってアプリケーション・ワークロードと制御ワークロードを処理することで、複雑なインダストリアル・システムを効率的に実装できます。
i.MX RT1180は、プログラマブル・ロジック・コントローラ (PLC)、リモートI/Oシステム、さらにサーボ・ドライブやロボットまで、幅広いインダストリアル・オートメーション・アプリケーションをサポートします。
ターゲット・アプリケーション:
- PLC
- 多軸モーション制御システム
- インダストリアル・ゲートウェイ
- リモートI/Oシステム
- ロボティクス
- サーボ・ドライブ装置
FRDMエコシステムによる可能性の拡大
FRDM-IMXRT1186の大きな利点は、広範なFRDMエコシステムを活用できることにあります。開発者はこのボードを、使い慣れたツール、ソフトウェア、拡張オプションと組み合わせることで、評価、プロトタイプ作成、アプリケーション開発を迅速に進めることができます。このエコシステムには以下のものが含まれます。
- MCUXpresso SDK
:本番環境に対応したドライバ、ミドルウェア、サンプル・アプリケーションが含まれ、i.MX RT1180を使用した機器の開発を迅速に開始するために役立ちます。
- MCUXpresso for Visual Studio (VS) Code
:広く普及しているVS Code環境を使用し、柔軟な先進的開発ワークフローを利用することができます。
- FreeRTOS
:応答性の高い組込みアプリケーションの開発に広く使用されているリアルタイム・オペレーティング・システム (RTOS) です。
- Zephyr RTOS
:エコシステムが拡大しつつある、オープンソースのRTOSです。拡張性と移植性に優れた組込みソリューションを容易に開発できます。
- NXPリアルタイム・エッジ・ソフトウェア
:TSN、Open Platform Communications Unified Architecture (OPC UA)、ネットワーク、Linuxイネーブルメント、エッジツークラウド接続などのインダストリアル・アプリケーションやエッジ・アプリケーションに対応する、ソフトウェア構成要素です。
- NXPポート・インダストリアル・ネットワーク・スイート
:SuiteEtherCAT®、PROFINET®、Ethernet/IP™などの広く使用されているインダストリアル・プロトコルをソフトウェア・サポートし、インダストリアル・ネットワークの開発を容易に進めるために役立ちます。
- アプリケーション・コード・ハブ
:開発と学習を迅速に進めるために役立つソフトウェア・サンプル、リファレンス・アプリケーション、プロジェクト・リソースを入手できます。
- 拡張ボード・ハブ
:コネクティビティ、センシング、モータ制御などのアプリケーションのニーズに対応する互換アドオン・ボードを使用して、機能を拡張できます。
以上のハードウェアとソフトウェアのリソースを利用することで、インダストリアル・オートメーション、ロボット、モータ制御、エッジ・コンピューティングの各アプリケーションで一般的に使用されるテクノロジーを活用しながら、評価段階からプロトタイプ開発へと効率的に移行することができます。
インダストリアル・ネットワークに対応する統合プラットフォーム
工場のネットワーク化、ソフトウェア・デファインド化が進む中で、インダストリアル・ネットワークは進化し続けています。こうした発展が続く状況に開発者が対応できるよう支援するために、FRDM-IMXRT1186ではi.MX RT1180が備えるネットワーク機能を使用してTime-Sensitive Networking (TSN) テクノロジーやインダストリアル通信テクノロジーを評価することができます。
TSN機能が統合され、インダストリアル通信テクノロジーがサポートされることから、開発者はコネクテッド・インダストリアル・システムとIT/OTのコンバージェンスを検討することができます。
TSN機能が統合され、インダストリアル通信テクノロジーがサポートされることから、開発者はコネクテッド・インダストリアル・システムとIT/OTのコンバージェンスを検討することができます。
FRDM-IMXRT1186向けの移植イネーブルメントは今年中に導入される予定です。一方で、i.MX RT1180 EVKを使用して、NXPポート・インダストリアル・ネットワーク・スイートおよび以下のインダストリアル通信プロトコルの評価を開始できます。
こうしたハードウェアとソフトウェアを組み合わせることでコネクテッド・インダストリアル・デバイスを開発するための基盤が得られ、インダストリアル・ネットワーク機能の統合作業を簡素化するために利用できます。
PLC、リモートI/Oモジュール、インダストリアル・ゲートウェイ、サーボ・ドライブ、ロボットの各アプリケーションに取り組む開発者にとっては、リアルタイム制御とインダストリアル・ネットワークの両方を1つのプラットフォームで検討できる、実践的な環境となります。
業界におけるi.MX RT1180の評価:情報テクノロジー/運用テクノロジーIT/OTコンバージェンス
i.MX RT1180は、リアルタイム制御、インダストリアル・ネットワーク、エッジ・コンピューティングの各機能の統合が評価され、2026 ICA Award (IT/OT Convergence Technology Breakthrough of the Year) を受賞しました。この賞は、インダストリアル分野の相互運用性、デターミニスティック・ネットワーキング、データ統合、コネクテッド・インダストリアル・システム導入の発展につながるテクノロジーを評価するものです。開発者にとっては、この評価はITとOTの融合という、業界全体のトレンドを反映したものだと言えます。
インダストリアル・システムによって工場フロアが企業環境やクラウド環境と強固に接続されつつある中で、デターミニスティック制御とデータ駆動型オペレーションの両方に対応できるプラットフォームが求められるようになっています。i.MX RT1180はこうした要件を前提に設計され、リアルタイム処理、TSNネットワーク、インダストリアル通信、エッジ・コンピューティングの各機能を1つのプラットフォームに統合します。
i.MX RT1180とFRDMエコシステムによって迅速かつスマートな開発が可能に
インダストリアル・オートメーションは急速に進化しつつあります。開発者は、これまで以上にコネクティビティが高く、インテリジェントで適応性の高いシステムを構築する必要があります。開発者がこうした要望に対応できるように、FRDM-IMXRT1186では初めてi.MX RT1180クロスオーバーMCUの機能をFRDMエコシステムに取り込み、開発に着手する際のハードルを下げました。
PLC、リモートI/Oデバイス、インダストリアル・ゲートウェイ、モータ・ドライブ、ロボット・コントローラ、エッジ・コンピューティング・プラットフォームのいずれを開発する場合でも、FRDM-IMXRT1186はインダストリアル・オートメーションの未来を形作るテクノロジーを評価するための、使いやすいプラットフォームとして役立ちます。