次世代コンピューティングや組み込みシステムへのI3Cの導入が急速に拡大する中で、NXPはインフラストラクチャに重要な要素が欠けていることを認識していました。電圧の変換、バス容量の拡大、PCBトレースの長大化をサポートしながら、I3Cのパフォーマンスを維持できる専用設計のバッファが必要だったのです。このニーズに対応する新製品P3B1602DPは、最高で12.5 MHzのSDR動作およびDDR動作をサポートする2ビットI3Cを搭載しながら、作動電圧をわずか0.72 Vに抑え、最高100 pFの静電容量負荷に対応します。
NXP P3B1602DPに関するBob Geeのインタビュー
Q1:NXPは業界初のI3Cバス・バッファを市場に投入しました。なぜNXPはこの製品を開発したのですか?
Bob Gee:業界がI²CからI3Cに移行を始める中で、明確なニーズが生まれてきました。新しいプロセッサ、SoC、アプリケーション・プロセッサ、MCU、システム・コントローラで、I3Cが採用される事例が増えています。これは、求められるパフォーマンス、効率性、システム拡張性の水準が従来のインターフェースよりも大幅に上がっているためです。
I3Cの採用が広がる中で、現実的な課題が明らかになってきました。I3Cバスは高速動作を目的に最適化され、一般的にバス容量が小さく設計されていますが、実際のシステムの多くでは長いPCBトレースやコネクタ、複数の基板間リンク、あるいは異なる電源レールを使用するデバイス間での電圧変換が必要になります。
市場に欠けていたのは、I3C向けに特別に設計された専用バッファでした。NXPはこの問題を早くから認識していたため、お客様がI3Cバスを拡張する際に、I3Cに移行する理由であるパフォーマンス上の利点を最初から犠牲にせずに済むよう、P3B1602DPを開発しました。
このP3B1602DPはバッファ機能、双方向電圧レベル変換、自動方向検出に加え、大容量の静電容量負荷もサポートするため、要求の厳しいシステム・アーキテクチャでも容易にI3Cを導入することができます。
次世代のI3Cアーキテクチャを実現。P3B1602DPの詳細については、データシートをダウンロードしてご確認ください。
Q2:最新のプロセッサは低い電圧で動作する傾向が続いています。P3B1602DPはこの課題をどのように克服していますか?
Bob Gee:P3B1602DPの大きな強みの1つが、動作電圧範囲が非常に広く、低いことです。ポートAは0.72 V~1.98 V、ポートBは1.08 V~3.63 Vの供給電圧をサポートするため、次世代型の低電圧コントローラと、電圧の高いペリフェラル・デバイスの間でシームレスな通信を可能にします。
この機能が特に重要なのは、最先端のAIサーバ、データ・センター・アクセラレータ、ネットワーク機器、ロボティクス・プラットフォーム、通信インフラの分野です。最新のSoCやアプリケーション・プロセッサは0. 8 V~1.2 Vのコア電圧で動作することが多い一方で、接続されるセンサ、電力デバイス、DDRメモリ、管理ICはそれよりも高い電圧で動作する場合があります。
P3B1602DPを採用することで、性能と相互運用性のどちらかを妥協する必要がなくなります。これにより、お客様は低電圧チップの利点を活かしながら、自動双方向電圧レベル変換を利用して、動作電圧が異なるデバイスが混在するシステムでも互換性を維持することができます。
現在の動作電圧が異なるデバイスが混在するサーバや組み込みシステムの中で、シームレスなI3C通信をサポートします。
Q3:I3Cの特長は、その速度です。高帯域幅でのシグナル・インテグリティを維持するために、P3B1602DPはどのように役立ちますか?
Bob Gee:I3Cによって確実に得られるものが、高帯域幅です。P3B1602DPは、従来のI²CやSMBusインターフェースをサポートしながらもI3C動作をフルサポートし、最高データレート12.5 MHzのSDR動作およびDDR動作に対応します。
しかし、高速動作だけでは不十分です。システム設計者は多くの場合、一般的なI3Cバスで当初想定されていた負荷よりも大きな負荷を駆動する必要に迫られます。そのようなときに、P3B1602DPが真価を発揮します。
このデバイスは、I3Cバスの許容静電容量の2倍に相当する、最大100 pFの静電容量負荷をサポートできる設計になっています。さらに、大きな静電容量負荷を処理して長い信号伝搬路を補償できるよう特別に設計された、長いワンショット・アクセラレータ・パルスも組み込まれています。
具体的には、以下の特長がサポートされます。
- より長いPCBトレース
- より大きなバックプレーン
- 基板間の相互接続
- より長いラウンドトリップ信号遅延
- より大きな静電容量負荷
同時に、I3Cがもたらすパフォーマンス上のメリットも得られます。データシートには、大きな静電容量負荷、長いラウンドトリップ遅延、約40インチまでのPCBトレースがサポートされることが明記されています。
AIサーバ、アクセラレータ・カード、通信ライン・カード、産業用ロボット、高度な組込みコンピューティングなどのアプリケーションでは、こうした機能によって信頼性の高い高速通信を維持しながら、システムレベルの設計を大幅に簡素化できます。
専用I3Cバス・バッファであるNXP P3B1602DPは、高速で長距離のシステム設計に対応します。
Q4:業界標準であるTSSOP8のパッケージとピン配置を使用することが重要なのはなぜですか?
Bob Gee:採用のしやすさは、設計上の大きな目標でした。エンジニアは電気的性能のみを評価するのではありません。そのデバイスを既存のハードウェア・プラットフォームに容易に統合できるかどうかも評価されます。
P3B1602DPは、コンパクトな3 mm × 3 mmのフットプリントで、見慣れたピン配置を備えた業界標準のTSSOP8パッケージで提供されます。これにより、お客様は最小限のレイアウト変更でこのデバイスを採用でき、既存の設計内容や製造プロセスの多くを再利用できます。
さらに、このデバイスの指定動作温度範囲が-40°C~+125°であることも重要です。これにより、インダストリアル・グレードやインフラストラクチャ・グレードの堅牢性が求められる環境にも対応できます。
標準的なパッケージ、幅広い電圧のサポート、高速なI3C機能、幅広い動作温度範囲という特徴によって、以下の用途に適したソリューションとなっています。
- AIデータ・センター
- 企業向けサーバ
- 通信インフラ
- 産業オートメーション
- ロボティクス・プラットフォーム
- エッジ・コンピューティング機器
結局のところ、NXPが目指しているのはお客様が不必要な問題に悩まされることなくこのデバイスを導入し、最先端のI3Cがもたらすパフォーマンスを活用できるようにすることであり、標準的なTSSOP8フットプリントは、まさにそれを実現するために有効です。
まとめ
Bob Gee:P3B1602DPは、次世代のシステム・アーキテクチャを実現するというNXPのコミットメントを示す製品です。I3C専用バッファという新たなニーズを業界で初めて解消する製品として、超低電圧のサポート、最高12.5 MHzという高速なI3C性能、長い信号経路に対応する信頼性の高い100 pF駆動機能に加えて、データ・センター、サーバ、ロボット、インダストリアル、通信の各アプリケーションにおける実装を簡素化する業界標準のTSSOP8パッケージを組み合わせたソリューションを開発しました。