著者
Gerald Peklar
GeraldはNXPでモバイル・ロボティクスの取り組みを拡大し、ドローンが鍵となる複数のプロジェクトに携わっています。UASシステムを専門とし、UAV-DACHのワーキング・グループである「Infrastructure Airspace & Ground」と「Design & Manufacturing」のメンバーでもあります。
よりスマートな空、より安全な海岸：ドローンによって大きく変わる救助とサステナビリティ
ドローンが上空から息をのむほどの映像を撮影する以上のことができたらどうでしょうか。人命を救い、野生生物を保護し、気候変動と闘うのを支援できるとしたらどうでしょうか。世界のドローン活用ソリューション市場は、インフラ、農業、緊急時対応にわたる用途において、2032年までに221億ドルを超えると予想されています。このようにドローンの導入が急増している主な要因は、遠隔環境や危険な環境にアクセスできるという他にはない能力にあり、それによって時間とアクセスが重要となるシナリオで不可欠な存在となっています。この変革の可能性を支えるために、NXPのエネルギー効率に優れたインテリジェントなコンポーネントは、ドローンがこれまで以上にスマートで、高速で、目的に特化するのに役立っています。
水難救助ドローン：ドイツ沖でのイノベーション
ドローンのイノベーションの好例は、ドイツのシュレスヴィヒ・ホルシュタイン西海岸でのWaterRescueDronesプロジェクトです。このプロジェクトは、ドイツ救命協会 (DLRG) によるワッデン海での行方不明者の捜索にドローンがどのように貢献できるかを実証しています。この干潟は広大で危険なため、これまで人による捜索活動では時間がかかり、リソースを大量に消費していました。ドローンは広大なエリアを自律的にカバーし、AIを活用した画像システムを使用して海で遭難している人を特定し、地上管制にライブ映像をストリーミングします。その結果、対応時間が短縮され、人命が助かる可能性が高まっています。
実際の救助を可能にするインテリジェントでエネルギー効率の高いシステムの構築
この取り組みの中核を担うNXPの役割は、Fraunhofer IMTEやFH Westküsteなどのパートナーと協力して、インテリジェントでエネルギー効率の高いテクノロジを通じてサステナビリティの促進に貢献することです。自律型の水難救助活動の実現可能性と信頼性を高めるコンポーネントには、MR-VMU-RT1176フライト・コントローラ、i.MX 8M Plusコンパニオン・コンピュータ、SJA1110イーサネット・スイッチ、SAF5400 V2Xモデムなどがありますが、これらはほんの一部に過ぎません。
さらに、NXPの貢献はハードウェアだけに留まりません。飛行制御、画像認識、データ転送、活動の管理を組み合わせた、包括的でインテリジェントなシステムの統合を支援しています。ドローンは、AIを利用して物体を認識し、より効率的な飛行経路を計画することで、使用エネルギーと排出量を削減しつつ、より正確にタスクを遂行できます。NXPによるエッジ・コンピューティングの進歩により、ドローンは機内でビデオを直接処理できるようになり、大容量データを転送する必要性を減らし、遅延を低減することができます。
人命を救い、気候変動と闘うための独自のプロジェクトを立ち上げる場合は、NXPのi.MX 8Mファミリ製品をご覧ください。
シミュレーションから実用まで：実地試験を経て人命救助活動に投入
WaterRescueDronesでは、実地試験において、厳しい条件下で機能し、強い沿岸風、視界の悪い夜間シナリオ、さらには緊急事態でも動作することが証明されています。例えば、2025年5月にセント・ピーター・オーディング塩湿地で起きた山火事では、ドローンが重要なリアルタイム情報を提供することで消防隊員を支援しました。こうした経験から、救助活動だけでなく、より広範な緊急対応や環境モニタリングに役立つ可能性が浮かび上がっています。
NXP HoverGamesで興味深い革新的なプロジェクトを確認できます。
海での人命救助から緊急対応の支援、気候変動との闘いまで、イノベーションと目的が一致したときにドローンによって実現できることが大きく変わろうとしています。NXPは、継続的なコラボレーション、責任あるデザイン、そしてサステナビリティへの共通のコミットメントにより、目の前の課題に対処するだけでなく、よりスマートで、より安全で、よりレジリエントな未来を築いています。
