デジタル・キーの出現が、カー・アクセスを大きく変えようとしています。スマートフォンが中心となり、自動車のロック解除、始動、共有まで、すべてが新たな様相に変わりつつあります。そしてNXPの最先端テクノロジは、このような機能をすべて可能にするために役立っています。NXPはBMW Digital Key Plusへの貢献が評価され、BMW Supplier Innovation Award for Digitalizationを受賞しました。これは、スマート・カー・アクセス・ソリューションの分野でNXPがイノベーションを主導していることを認めるものであり、かつては想像の産物でしかなかったデジタル・キーが市場のトレンドとなりつつあることを示しています。
このブログ記事では、Car Connectivity Consortium (CCC) が2023年には新車の15%以上に導入されると予測したこのトレンドについて、重要なトピックをいくつかご紹介します。
スマートフォンと自動車の機能の統合が進んだことで、自動車からスマートフォンへの接続、さらにスマートフォンから自動車への接続を利用したエクスペリエンスが多数実現し、さまざまな新機能が生まれています。スマートフォンをポケットやハンドバッグに入れたままでも、自動車のドアを解錠してエンジンを始動できます。また、物理的なキーを受け渡さなくても、適切な人物にアクセス権を共有することができます。こうした機能は多数の車両の一括管理やレンタカーなど、幅広い場面でメリットをもたらします。
デジタル・キーがもたらす一部のエクスペリエンスは、旧来のカー・アクセスで得られるエクスペリエンスと比較して、まったく新しいものと言ってよいでしょう。それを実現するために、いくつかのテクノロジが使用されています。特にBluetooth Low Energy (BLE) テクノロジは通信リンクとして、バックグラウンドでキーの認証、つまり「ハンドシェイク」を開始するために使用されます。その後、認証の結果に応じてアクセスの許可または却下が決定されます。
超広帯域無線 (UWB) によって、スマートフォンと自動車の間で正確かつセキュリティ性の高い位置測定がリアルタイムで可能になります。これにより、自動車はユーザーの位置に応じて次のアクションを決定し、ウェルカム・ライトをオンにしたり、着座状態に合わせてミラーとシートを調整したりできます。しかし、カー・アクセスを許可するのは自動車から約2 m以内に近づいたときです。UWBによって、このゾーン内の動きを正確に検知できます。
近距離無線通信 (NFC) は、スマートフォンのバッテリを使い果たした場合のバックアップ用のアクセス手段となります。以上のスマート・テクノロジは連携して機能し、ユーザーにシームレスなエクスペリエンスをもたらします。
このようなエクスペリエンスの裏で、自動車とスマートフォンの間で絶え間なく双方向通信を行うには、データの交換と保存に対する高レベルのセキュリティが必要になります。このため、スマートフォンでは目新しい技術ではありませんが、セキュア・エレメント (SE) が自動車に使用されるケースが増えています。SEはデジタル・キーを拡張し、自動車とそのユーザーの安全性が損なわれることを防ぎます。
全体として、デジタル・キーに関連してスマートフォンOEMと自動車OEMの間で継続的な協力関係が生まれてきたことが、カー・アクセス・エコシステムの拡大につながっています。そのため、Car Connectivity Consortium (CCC) では両分野のOEM間でグローバルなコラボレーションを促進し、さまざまな車種やスマートフォンで相互運用性を確保する取り組みを集中的に進めています。たとえば、CCCのDigital Keyリリース3.0仕様では、安全なハンズフリー・カー・アクセスのための業界全体の標準を定めています。デジタル・キーへの移行を進めるうえで、シームレスなコラボレーションによる統一化の推進が非常に重要になるでしょう。
NXPは信頼性と拡張性に優れたカー・アクセスを可能にするテクノロジ製品と、システム化に関する知見を提供しています。NXPのスマートでセキュアなカー・アクセス・ソリューションは、スマートフォンOEMと自動車OEMの両方に、デジタル・キーへの移行に必要な最先端テクノロジをもたらしています。
NXPのスケーラブルなカー・アクセス・ソリューションの詳細については、スマート・カー・アクセス・リファレンス・プラットフォームをご覧ください。
Markus Staeblein is Senior Vice President and General Manager Secure Car Access at NXP and Country Manager of NXP Semiconductors Austria. He has more than 20 years of experience in the semiconductor industry with senior management roles in the Automotive, Industrial and IoT markets. He holds a diploma in Engineering from the FH Wiesbaden and a Master of Business Administration (MBA) from The Open University.
