NXPの最新のi.MX Linux戦略では、お客様にイノベーションや長期サポート(Long-Term Support:LTS)に向けたより明確なパスを提供することで、長寿命の組込み製品のニーズに合わせてソフトウェアのメンテナンス、セキュリティの更新、ライフサイクル・プランニングを行えるよう支援します。
組込み製品が長寿命化するにつれ、チームには量産プログラム向けのより予測可能なソフトウェア・メンテナンス・パスが必要になります。一方で、進化するサイバーセキュリティへの期待や規制から、製品ライフサイクル全体にわたる明確なサポート条件、脆弱性の修復、ソフトウェアの透明性が重視されるようになっています。
この最新のアプローチの目的は、NXP-Linux-Mainstreamを通じた四半期ごとの継続的なイノベーションと、NXP-Linux-Long-Term Support (LTS) ストリームを通じた、より安定した長期のソフトウェア・パスという明確な選択肢を、製品ライフサイクル全体にわたってお客様に提供することです。
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NXPのi.MX Linux戦略の進化
多くの組込み製品開発者は、製品の発売から数年間にわたり、ソフトウェア・プラットフォームを維持する必要があります。そのようなi.MXユーザーにとって、長期的なソフトウェア計画で考慮すべきことは、新機能だけではありません。セキュリティの更新、脆弱性への対処、ソフトウェアの部品表 (BOM)、制御された変更、予測可能性についても考慮する必要があります。
また、欧州のサイバー・レジリエンス法(European Cyber Resilience Act:CRA)などの規制の進展を受け、デジタル要素を備えた製品でのサイバーセキュリティ施策の重要性も高まっています。欧州委員会は、CRAにメーカー向けの必須サイバーセキュリティ要件を導入し、製品の設計、開発、メンテナンスや、製品ライフサイクル中の脆弱性への対処に関してメーカーに期待される措置を含めることを宣言しています。
i.MXユーザーにとっては、このような市場および規制の動向により、継続的なソフトウェアの進化と長期的な生産保全の両方をサポートするLinux戦略の必要性が強まっています。
2つの相補的パス:NXP-Linux-MainstreamとNXP-Linux-LTS
最新のi.MX Linux戦略は、MainstreamとLTSという2つの補完的なソフトウェア・パスを中心に構築されています。
NXP-Linux-Mainstreamでは、四半期ごとのリリースが引き続き無償で提供される予定です。このパスは、継続的なソフトウェアの進化、新しいi.MXデバイス向けのイネーブルメント、およびNXPのメインストリーム・ソフトウェア開発フローに沿った定期的な更新へのアクセスを必要とするチームには、依然として重要です。
NXP-Linux-LTSストリームは、セキュリティと脆弱性の更新、バグ修正、制御された変更に重点を置いた、より安定したLTSパスを提供するために導入されます。このストリームは、コード・チャーンが低減し、制御された変更と長期的なサポートを備えた、量産指向のソフトウェア基盤を必要とするお客様を対象としています。
これら2つのパスを組み合わせることで、チームが製品ライフサイクルに適したモデルを選択できます。四半期ごとのソフトウェアの進化のために、NXP-Linux-Mainstreamを引き続き利用することもできますが、必要なメンテナンス期間が長い場合は、NXP-Linux-LTSストリームを利用することで、より安定したソフトウェア・ベースラインを確保できます。
ライフサイクル全体でのソフトウェア成熟度の明確化
最新の戦略には、i.MX Linuxソフトウェアの成熟度が製品ライフサイクル全体を通してどのように管理されるかという点も明確に示されています。発売中および発売後のフェーズにあるi.MXデバイスについては、NXP-Linux-Mainstreamでは、引き続き四半期ごとのリリースを通じて一般提供(General Availability:GA)品質のソフトウェアが提供されます。GA品質のソフトウェアは、NXPの量産対応ソフトウェアの成熟度レベルを表し、本番環境での使用に推奨されるソフトウェアです。
定義されているメインストリームのGA品質ウィンドウを超えるレガシーi.MXデバイスについては、NXP-Linux-Mainstreamが成熟したソフトウェア品質レベルに移行する場合があります。従来のGA品質ソフトウェア・ベースラインに基づく「成熟した」ソフトウェアは、安定した機能完備のベースラインであり、引き続き以下が提供されます。
- 該当するNXP所有のソフトウェアのバグ修正
- 今後の四半期ごとのリリースを通じたセキュリティと脆弱性の更新
- LinuxカーネルおよびYoctoコミュニティからの、他の関連するセキュリティと脆弱性の更新
簡単に言えば、レガシー・プラットフォームや長寿命のプラットフォームで量産指向の長期サポートを必要とするお客様には、通常はNXP-Linux-LTSストリームが推奨されるパスとなります。
予測可能性を高め、不要なソフトウェア・チャーンを減らすためには、該当するNXP-Linux-LTSストリームに合わせて製品およびソフトウェアのライフサイクル計画を立てることが推奨されます。
NXP-Linux-LTSで提供されるもの
NXP-Linux-LTSストリームは、長期的なLinuxおよび Yocto Projectライフサイクルに沿った段階的なマルチストリーム・リリース・モデルとして設計されています。コード・チャーンの少ない、セキュリティ、脆弱性、バグ修正のメンテナンスに重点を置いた安定したソフトウェア・ストリームを提供することを目的としています。
Yocto Project LTSライフサイクル中のNXP-Linux-LTSストリームは、継続的インテグレーションおよび回帰テスト後に、4か月周期で更新が提供されるようにスケジュールが設定されています。それらの更新には以下のものが含まれる予定です。
- セキュリティと脆弱性の修正
- アップストリームおよびダウンストリームLinuxリリースからのバグ修正
- Linux LTSカーネルのマイナー・アップデート(利用可能な場合)
- Yocto LTSのマイナー・アップデート(利用可能な場合)
極めて重大な共通脆弱性識別子(Common Vulabilities and Exposures:CVE)やセキュリティ侵害については、NXPは、状況や重大性評価に応じて、通常の4か月周期まで待つことなく、中間のLTSリリースまたはパッチを発行する場合があります。
このNXP-Linux-LTSモデルは、機能主導のNXP-Linux-Mainstreamリリースとは意図的に差別化されています。このモデルの主な価値は、長寿命の産業用製品を開発するお客様向けに、安定した予測可能な長期的メンテナンスのベースラインを提供することです。不要なコード・チャーンを最小限に抑えるNXP-Linux-LTSは、お客様がメンテナンス作業を減らし、再適格性確認のコストを下げて、より高い予測可能性でソフトウェア・ライフサイクルを計画するのに役立ちます。
新しいi.MXデバイスの追加
LTSモデルの安定性を維持するため、特定のNXP-Linux-LTSストリームの開始までにGA品質の基準を満たすi.MXデバイスのみが追加されるように計画されています。ただし、NXPの評価によって安定性、予測可能性、最小限のコード・チャーンというLTSの中核目標に適合していると判断された場合は、既存のNXP-Linux-LTSストリームへの新しいi.MX製品の追加に関して、例外が認められる可能性があります。
標準LTSアクセスとプレミアム・サービス
NXP-Linux-LTSの標準サブスクリプションでは、NXPが定義するLTSストリームへのアクセスがチームに提供されます。対象者として想定しているのは、サポートされているLTSストリーム構造に合わせた予測可能なソフトウェア・メンテナンス・パスを必要とする開発者です。
よりカスタマイズされたソフトウェア・パスを必要とする開発者向けに、NXPはプレミアム・サービス・オプションも提供しています。お客様の要件とエンゲージメントの範囲に応じて、プレミアム・サービスには、以下のようなお客様固有のソフトウェア・メンテナンス活動が含まれる場合があります。
- YoctoまたはLinuxカーネル・バージョンの移行
- リリース周期のカスタマイズ
- 共通脆弱性識別子 (CVE) の更新頻度の調整
- お客様の要件に基づく特定機能やバグ修正の統合
NXP-Linux-LTSではNXPが定義する安定したストリームへのアクセスが提供されるのに対し、プレミアム・サービスはお客様の具体的な要件に応じてカスタマイズされたソフトウェア作業を対象としているため、この違いは重要です。
SBOMによるソフトウェアの透明性のサポート
長寿命の組込み製品を管理するチームでは、ソフトウェアの透明性の優先度が高まっています。NXPは、最新の戦略の一環として、NXP-Linux-MainstreamとNXP-Linux-LTSストリームの両方で、NXPが配布するソフトウェアのソフトウェア部品表 (SBOM) を提供する予定です。
Yoctoユーザー・ガイドにも、最終的なソフトウェア・イメージのSBOM作成に関する解説があり、お客様が独自の製品構成に関する、より広範なソフトウェア構成情報の生成方法を理解するのに役立ちます。
より自信を持って計画を立てられるようにお客様を支援
最新のi.MX Linux戦略の目的は、ソフトウェア・ライフサイクル・プランニングのより明確なパスを、以下を必要とするチームを含むお客様に提供することです。
- 継続的なソフトウェアの進化(NXP-Linux-Mainstreamで四半期ごとのリリースを通じて提供)
- 安定した量産指向の長期的ソフトウェア・パス(NXP-Linux-LTSストリームを通じて提供)
- 特異性の高い要件に対応(NXPプレミアム・サービス・オプションを通じて提供)
NXPは、メインストリームのイノベーションを安定した長期的メンテナンスから切り離すことで、製品ライフサイクル、セキュリティ・メンテナンスのニーズ、長期的計画の要件に沿ったi.MX Linuxソフトウェア戦略を立てやすくしています。
i.MX Linuxソフトウェア戦略の詳細と、どのパスがお客様の製品ライフサイクルに最適かについては、NXPの担当者にお問い合わせください。長寿命の製品を開発しているお客様には、NXP-Linux-LTSを早期に評価し、該当するNXP-Linux-LTSストリームに合わせて製品およびソフトウェアのライフサイクル計画を立てることが推奨されます。NXP-Linux-Mainstream、NXP-Linux-LTS、プレミアム・サービス・エンゲージメントのうち、どのパスがお客様のソフトウェア・ライフサイクルのニーズに最適かを評価できるように、NXPがお手伝いします。