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適切なOSを選択することは、組込み設計における最も重要な決定事項のうちの1つです。このブログでは、NXP i.MXをベースとするSoM向けのYocto、Debian、Android、FreeRTOS、Zephyrを比較し、開発者がアプリケーションに最適なソフトウェア基盤を選択するのに役立つよう、パフォーマンス、リアルタイム機能、開発スピード、セキュリティ、および長期的なメンテナンスにおけるトレードオフに焦点を当てています。
VarisciteはNXPのプレミアム・パートナーであり、NXPのi.MXアプリケーション・プロセッサをベースとしたシステム・オン・モジュール (SoM) の主要な設計および製造業者です。これらのソリューションは、幅広い組込みアプリケーション向けに、低消費電力での動作、高性能のオプション、コスト最適化された構成を組み合わせています。Varisciteのスケーラブルでピン互換の製品ファミリは、キャリア・ボードの再設計を必要としないシームレスなアップグレードを可能にします。それぞれのモジュールは、本番グレードのLinux® BSPに加え、ほとんどのプラットフォームに対してAndroidのサポートも備えています。また、包括的なドキュメントが提供され、長期製品供給も確保されています。
オペレーティング・システムの選択は、すべての組込みプロジェクトにおいて、最初に下される最も重要な決定事項の1つです。それにより、手持ちのソフトウェアで対応可能なハードウェア機能、チームによる製品の構築および維持方法、さらには起動動作からリアルタイムの応答性まで、ライフサイクル全体にわたるシステムのパフォーマンスが定まります。
VarisciteによるNXPベースのSoM がどのように次の設計を加速できるかをご覧ください。
NXPとVarisciteは連携して、個々のアプリケーションにとって適切なソフトウェア環境を選択できる柔軟性を開発者に提供します。これには、充実したユーザー・インターフェースとコネクティビティを備えたLinuxやAndroidから、デターミニスティックで低消費電力のユース・ケースに適したFreeRTOSやZephyrなどのRTOSまでが含まれます。長期サポート (LTS) のリリースは、製品の安定性と、サイバー・レジリエンス法 (CRA) などの規制との整合性を確保します。このガイドは、Varisciteのエンジニアリング・チームによって策定されました。Varisciteは、NXPのプラチナ・パートナーであり、NXPによるソフトウェアのリリースを直接確認し、更新されたBSPをNXPのリリース・サイクルに合わせて提供することができるため、お客様のソフトウェア基盤は常に最新の状態に保たれます。
NXP i.MXプラットフォーム向けの組込みOSの選択肢は、3つのカテゴリに分類されます。Linuxベースのディストリビューションは、軽量化されたイメージからフル機能環境まで、包括的なソフトウェア・スタックを提供します。リアルタイム・オペレーティング・システム (RTOS) では、レイテンシの影響を受けやすい設計や安全性が証明された設計のために、決定論と最小限のオーバーヘッドが優先されます。Androidは、タッチ操作に最適化された環境向けに、モバイル・アプリケーション・フレームワークとグラフィック・パイプラインをLinuxカーネルに階層化しています。
Linuxは、定評のある安定性、広範なハードウェア・イネーブルメント、豊富なツールにより、組込み設計において支配的地位を確立しています。組込みLinuxのスタックは、YoctoとDebianという2つのワークフローによって構築されます。
Yocto Projectは、ソースからカスタム・イメージを生成するビルド・フレームワークで、あらゆるコンポーネントや軽量化されたイメージ・サイズをチームが完全に制御できるようにします。NXPは、最適化されたGPU、VPU、およびNPUドライバを備えたメタミックス・レイヤを含め、i.MXプロセッサ用の包括的なBSPをYoctoレイヤとして提供しており、これらのレイヤで多くの新しいシリコン機能を初めて導入しています。そのトレードオフは学習曲線です。再現可能かつ量産対応のイメージを通じて初期投資を回収できる一方、生産性の向上を実現するにはチームがBitBakeおよびレイヤ管理に習熟することが求められます
Debianは、その代わりに、巨大なビルド済みパッケージ・リポジトリを利用します。それにより開発初期段階のセットアップ時間を短縮するとともに、デスクトップやサーバーでLinuxの操作経験があるエンジニアにとって馴染みやすいものになります。DebianのイメージはリーンなYoctoのビルドよりも重く、リソースに制限のある設計ではバックグラウンド処理のトリミングに大きな労力が必要です。一方で、ストレージやRAMに十分容量がある場合、問題にはなりません。
デターミニスティックなマイクロ秒での応答、正式な安全認証、最小限のフラッシュとRAMのバジェットといった特定の要件は、Linuxだけでは確保できません。i.MXプロセッサでは、RTOSのワークロードは通常、専用のArm Cortex-Mコア上でLinuxと並行して実行され、多くの場合、Linuxを完全に置き換えるということはありません。
Androidは、スマートフォンのフル・ソフトウェア・スタックを組込みハードウェアに採り入れており、Android Studio、Jetpackライブラリ、および充実したドキュメントを含むSDKが備わっているため、モバイル分野出身のチームにとって障壁が低くなっています。i.MX 8およびi.MX 9シリーズ向けAndroid BSPは、CTSへの準拠とハードウェア・ベースのDRMに加え、一貫したセキュリティ・パッチ管理をサポートし、積極的にメンテナンスされています。これによりi.MXは、キオスク、インフォテイメント、および産業用HMIの設計で強い存在感を示しています。
ただし、いくつかの重要なトレードオフがあります。実用的な2 GBのRAM容量、Yoctoよりも長いコールド・ブート、製品世代間でのビルドの維持に標準の組込みLinuxよりも労力を要するHAL結合などです。Androidではリアルタイム性の保証が確保されません。厳密なリアルタイム動作を必要とする設計では、これらのタスクを別のCortex-Mコアまたは外部MCUに割り当てます。チームにとってAndroid固有のエコシステムが必要でなければ、Qt/Waylandを備えたLinuxにより、通常は同等のUXをより小さいオーバーヘッドで提供できます。
普遍的に正しいプラットフォームというのは存在しません。適切な選択には、ハードウェアの予算、UIに求めるもの、リアルタイム要件、認証取得の義務、製品の想定寿命との整合性が伴います。多くのプロジェクトでは、迅速な評価のためにDebianから始め、その後により厳密なイメージ、完全なハードウェア・アクセラレーション、より制御された更新モデルを実現するYoctoベースの本番イメージへと移行しています。プロセッサを取り巻くソフトウェア・エコシステム、すなわちOSのサポート、BSPのメンテナンス、各種ツール、エンジニアリングの専門知識は、シリコンそのものと同じくらい重要です。
| 特長 | Yocto | Debian | Android | FreeRTOS / Zephyr |
|---|---|---|---|---|
| 一般的な用途 | 商用デバイス | プロトタイピング / 開発 | タッチUIデバイス | MCU制御 / IoTデバイス |
| フットプリント | 最適化済み | 中~大 | 大 | 最小 |
| リアルタイム (RT) | ソフトRT | ソフトRT | 限定的 | ハードRT |
| HWアクセラレーション | 成熟 / 完全 | 改善中 | 完全 | N/A |
| デモまでの時間 | 長い | 早い | やや長い | 早い |
NXPは、i.MXポートフォリオのソフトウェアに対して非常に深くコミットしています。Yocto、Debian、Android、RTOSのすべての環境での積極的なBSPのメンテナンスと、eIQ推論ツールキット、EdgeLockセキュリティ統合、長期製品供給プログラムを組み合わせており、それはエンジニアリング・チームがi.MXソフトウェアのロードマップを長期的な資産として信頼できることを示しています。
VarisciteはNXPのパートナーの中でも最上位のプラチナ・パートナーであり、互いのエンジニアが緊密に連携し、かつ最新のシリコンやBSPのリリースにも早期にアクセスできます。そのため、同社のBSPは最初からNXPのロードマップとの整合性が取れています。実際に、i.MXプロセッサを選定し、それを中心に構築されたVariscite SoMを選択することで、NXPの最新リリースに対して検証済みの本番対応のBSPを入手することができます。さらに、NXPへ直接つながるエンジニアリング・サポートを受けることもできます。
i.MXでの次の設計に最適なソフトウェア基盤を評価する準備はできましたか?Varisciteの開発キットと本番対応のBSPの詳細をご覧ください。
NXP Semiconductors、セキュア・コネクテッド・エッジ部門、ソフトウェア・マーケティングおよびイネーブルメント担当ディレクター
Ragan Dunhamは、NXP Semiconductorsの製品マーケターであり、半導体業界で25年以上の経験を有し、組込みシステムのソフトウェアおよびハードウェアに注力しています。テキサス州オースティンを拠点とし、NXPのi.MXプロセッサのソフトウェア製品のマーケターとして、グローバルなソフトウェア戦略を推進し、車載およびインダストリアル&IoT市場にわたるエコシステム・パートナーの管理を行っています。過去にはi.MXプロセッサのグローバル・アプリケーション・エンジニアリングのリーダーを務めていました。テキサスA&M大学でコンピュータ・エンジニアリングの学位を取得しています。
Variscite、ソフトウェア・マネージャ
Nate Drude氏は、Varisciteにてアメリカ大陸担当ソフトウェア・マネージャと研究開発エンジニアを兼任しており、組込みハードウェアおよびソフトウェアの分野で15年以上の経験を有しています。組込みLinuxとエンジニアリング・リーダーシップを専門とし、Varisciteのソフトウェア製品を進化させる研究開発ソリューションを推進しています。著書には、カーネルの設定、デバイス・ツリー、セキュア・ブート、および組込みのベスト・プラクティスに関するガイドがあります。