改めて、NXPのマンスリー・ビデオ・シリーズConversations at the Edge (CATE) にようこそ。CATEでは、インテリジェント・デバイス、エッジ・コネクティビティ、そして開発者が次のトレンドに乗り遅れないようにする方法について、本腰を入れて取り上げています。
初めての方のためにご紹介すると、このシリーズのテーマはシンプルです。Neal Kondelと私が毎月腰を据えて、開発者や製品メーカーが今日直面している技術的課題やトレンドに向き合います。コネクティビティ規格からエッジAIまで、私たちは時々ジョークを交えながら、恐れることなくその細部にまで切り込みます。
エピソード1では、Matterの現状について明らかにしました。エピソード2では、Matter製品をローンチするための方法に焦点を当て、認証から市場投入までをカバーしました。そして、シーズンのファイナルとなる今回は、エネルギーに焦点を当てます。より具体的には、Matterによってエネルギー管理のあり方がどのように変わっているのか、またエネルギー・インテリジェントなスマートホームの構築には何が必要なのかについて掘り下げます。
インテリジェントな製品の開発に伴う課題や可能性について掘り下げるマンスリー・ビデオ・シリーズ、「Conversations at the Edge (CATE)」の3回目となるエピソード。
なぜエネルギーなのか?なぜ今必要なのか?
それに向き合ってみましょう。スマートホームのテクノロジは画期的ですが、コスト削減や環境への影響といった点でははどうでしょうか。それが現実的な課題です。Matterの最新リリース(1.3を基に1.4で拡張)では、よりスマートなエネルギーの使用を実現するエネルギー・レポート機能やデバイス・エネルギー管理機能が初めて導入されました。私たちは、グリッドでの需要が急増した場合に乾燥機のサイクルを一時停止したり、太陽光発電の利用可能性や時間帯別の電気料金に基づいてEVの充電をインテリジェントに管理したりする機能について取り上げています。
このような機能により、単なるデータの収集から実際の対策へと行動を移すことが可能になります。そこで、エネルギー・インテリジェンスの出番となります。そして、この用語はこの後も頻繁に登場します。
geoのSeeZero製品は、NXPのソリューションを活用しており、初めて開発されたMatter対応エネルギー管理デバイスのうちの1つです。
実世界のエネルギーのケース・スタディ:geo
geoはエネルギー・インテリジェントなエコシステムの構築に注力している英国拠点の企業であり、このエピソードでは、NXPとgeoの連携についてご紹介します。geoの宅内エネルギー・ディスプレイは、NXPのシリコンおよびコネクティビティ・テクノロジを使用してMatterコントローラとして機能し、メーターからのデータを統合して、サーモスタットや給湯器、スマート・プラグなどの機器をインテリジェントに調整します。
このテクノロジの画期的な点は、単にgeoが構築したデバイスだけを制御するのではないことです。geoのコントローラは、サーモスタット、家電、さらにはEV充電器など、同じMatterファブリック内にある異なるベンダーのMatter対応製品のすべてを統合および管理できます。それが相互運用性の力です。カスタムの統合は必要ありません。また、無限に続く互換表も必要ありません。単に問題なく機能します。
そして開発者にとって、geoの実装例からは制約と創造性といった点において得られる知見があります。このコントローラはRTOSプラットフォームでMattterを動作させるため、低消費電力、コスト削減、およびメモリ・フットプリントの小型化が可能です。これを実現するには、緊密な最適化と、組み合わされたプラットフォーム全体でMatter SDKのアップデートを統合できるようにする協働的なパートナーシップが必要でした。
Matter 1.4:エネルギー・インテリジェントなホームのための新しいツール
Matter 1.3ではエネルギー・レポート機能が導入されましたが、Matter 1.4ではさらに進化し、デバイス・エネルギー管理機能(一時停止、再開、高消費電力機器のレベル制御など)が追加されました。これにより、次のようなスマートな操作への扉が開かれます。
- 電力需要のピーク時に食器洗い機を一時停止する
- 洗濯機を回す時間をピーク時以外の時間帯まで遅らせる
- 給湯器の温度を自動的に調整し、「熱電池」として機能させる
CES 2025で披露したデモでは、geoや他のMatterパートナーとともにシステムを構築し、太陽光発電での余剰電力への対応、電力グリッドの負担への対応、および高額な電気料金の節約について、実世界でのシナリオを紹介しました。いずれのシナリオも、消費者による実際の行動と電力使用状況を反映するように設計されています。このデモでは、スマートホームの今後の方向性と、開発者がそれに備えるべき理由を垣間見ることができます。
CES 2025では、NXPとgeoが、世界初となるMatter対応インテリジェント・エネルギー・ホームのデモの1つを披露しました。
開発者にとって重要なポイント:概念から実装まで
このエピソードを通じて開発者やプロダクト・リーダーにぜひ学んでほしい重要なポイントを以下に示します。
- Matterは今日のエネルギーのさまざまなユース・ケースに対応していますが、デバイスのエネルギー管理機能にアクセスするには、少なくともMatter 1.4にアップデートする必要があります
- Matterを動作させるのに重厚なシステムは必要ありません。geoのようなRTOSベースの実装は、最適化と連携によって何が可能になるかを示しています
- 真の価値はインテリジェンスにあります。Matterはその基礎を築きますが、AI、プリファレンス・エンジン、ローカル・センシングは、製品を差別化するスマートな機能を提供します
- エコシステムの成熟度が高まっています。Matter対応の家電、メーター、サーモスタット、コントローラが増えています。エネルギー製品の開発に携わっている方々ならば、今こそ関わるべきです
そして、Matterはまだ始まったばかりであることを忘れないでください。コミュニティは現在も新しい種類のデバイスへの積極的な貢献を続けており、認証フローを改善するとともに、パーソナライズとAIによってマルチテナント・ホームのユーザー・エクスペリエンスを向上させる方法について模索しています。
NXPの新しいビデオ・シリーズのエピソード3では、geoとの連携について掘り下げています。geoは、エネルギー・インテリジェント・エコシステムの構築に注力している英国拠点の企業です。今すぐエピソード3をご覧ください。
次回のエピソードは?シーズン2:エッジでのファクトリ・オートメーション
シーズン1ではスマートホームに焦点を当てましたが、話題はそこで留まりません。Conversations at the Edgeのシーズン2では、ギアをシフトし、ファクトリ・オートメーションのインテリジェンスについて探ります。私たちは、モバイル・ロボティクス、予知保全、エッジAI、さらには工場や倉庫などのためにセキュアでスケーラブルなデバイスを設計する新しい規則といった、画期的なコンセプトに挑みます。また、新たな素晴らしい共同ホストと、この分野において最近連携したばかりのパートナーも参加します。
今回とはまた違った視点から、エッジについて取り上げます。
この素晴らしいMatterの旅でNealと私にお付き合いくださり、ありがとうございました。8月から始まるシーズン2でまたお会いしましょう。