改めましてこんにちは。Sujata Neidigです。Conversations at the Edge (CATE) の新しいエピソードの振り返りにようこそ。このビデオ・シリーズでは、本腰を入れてインテリジェント・エッジの開発の進展状況について語り合っています。初めてご覧になる方のためにご紹介すると、CATEは、Neal Kondelと私がNXPのスマートホーム・イノベーション・ラボから毎月お届けするシリーズで、製品開発者がインテリジェントなコネクテッド・デバイスを構築する際に直面する実際の課題に向き合います 。
最初のシーズン「Making with Matter(Matterで作る)」では、自律型ホームにおけるMatterの役割とはどのようなものかについて取り上げています。エピソード1では、Matterの現状を深堀りすることから始めました。すなわち、そのポジティブな側面、成長に伴う痛み、および2025年がすべてが始まる年になりそうな理由についてです。私たちは、巨大なエコシステムによるMatterの支持の高まり、マルチアドミン機能への継続的な注力、そしてインテリジェント・オートメーションのキラー・アプリとしてのエネルギー管理の可能性に注目しました。
インテリジェントな製品の開発に伴う課題や可能性について掘り下げるマンスリー・ビデオ・シリーズ、「Conversations at the Edge (CATE)」のエピソード2。
実践の始まり
エピソード2では、考え方から実践へと対象が移りました。私たちはこれを「Matterの焼き上げ方」と称していますが、それは私たちが料理に例えた比喩が好きなことだけが理由ではありません。このエピソードでは、Matter対応デバイスを市場に投入するために不可欠な4つのステップとして、要件の定義、適切なプラットフォームの開発、認証への対応、導入の計画に焦点を当ています。
Neilと私は、この過程の始まりはコネクティビティ・プロトコルを選択することではないと話し合いました。それはユース・ケースを定義することから始まります。その製品で何をしたいのか?その製品はスマートホームのどこに設置されるものなのか?その製品にはどの程度の処理、ユーザー・インターフェース、および消費電力が必要なのか?これらを定義してからのみ、コネクティビティ(Wi-Fi、Thread、あるいはその両方?)、アーキテクチャ、およびセキュリティに関して正しく判断することが可能になります。
そして、セキュリティに関して言えば、これはもはや任意のものでも、後で追加すればよいものでもありません。私たちは、セキュア・エレメントからハードウェアベースのエンクレイブまで、Matterの認証ベースのモデルではデバイスの保護に対して真の投資が要求される点について述べました。しかし、これはMatterの基準を満たすことだけでなく、固有のアプリケーションのリスク・プロファイルを理解し、それに応じて設計することを意味します。
Matter対応デバイスを市場に投入するために不可欠な4つのステップについて話し合うSujataとNeil。
NXPの新しいビデオ・シリーズでは、イノベーションの最先端に位置するインテリジェント製品の開発に伴う課題や、その可能性についてご紹介します。必ず先にエピソード1をご覧ください。
プラットフォームのプロトタイプ作成と実世界でのツール
私たちが何度も何度も繰り返してきたテーマの1つはスピードでした。開発者は迅速に概念実証を行う必要があり、そのためには適切なツールにアクセスできなければなりません。私たちは、NXPのRW612トライラジオやMCX W71などを対象としたFRDM開発ボードのポートフォリオについて、およびそれらをSDKやアプリケーション・コード・ハブと組み合わせることで迅速なプロトタイプ作成を実現する方法について紹介しました。これらのキットやソフトウェア・ツールは、開発しているのが最小限のセンサであっても、またはフル機能のサーモスタットであっても、ユース・ケースを迅速にコードおよびハードウェアへと変換します。
そして、これはプロトタイプの作成に留まりません。ZephyrとFreeRTOSのサポート、LinuxのBSP、および最新のMatterのリリースを統合したSDKの定期的アップデートにより、開発の初日から生産に至るまで確実にカバーされなければなりません。
NXPのFRDMプラットフォームは、Matter対応製品を設計するためのモジュール型のハードウェア、ソフトウェア、ツールを低価格で提供します。
認証のパズルを解く
正直にお伝えします。認証は、往々にして市場投入までのプロセスの中で最も難解な部分となります。Matterの場合、Wi-FiやThread、Bluetoothなどの既存のトランスポート・プロトコルに加えて、アプリケーション・レベルの認証も加わることから、状況はさらに複雑化します。私たちは、会話の中で、開発者にとっての認証の負担と、NXPなどによるプラットフォームがどのようにその負担の軽減に役立つかについて掘り下げました。
例として、NXPはチップでThreadの認証を取得することにより、開発者がその認証を自身のデバイスに継承し、冗長な試験を省略できるようにしています。また、CSA (Connectivity Standards Alliance) と連携し、Matter認証に対する類似の継承プログラムの実現に取り組んでいます。
それから、どうしてこれが文字どおり重要な「マター」なのかも忘れずにお伝えします。認証は、Matter対応デバイスがエコシステム内の他のデバイスとの真の相互運用性を備えていることを保証するものです。これがMatterの約束の核心であり、それはその背景にある認証プロセスと同じくらい強力です。
導入、信頼、ブロックチェーン台帳
製品が構築され、認証されたとしても、まだ出荷の準備は整っていません。導入段階では、各デバイスにデバイス認証証明書(Device Attestation Certificate:DAC)をプロビジョニングし、それをMatterブロックチェーン台帳に掲載する必要があります。これにより、セキュアな形でMatterファブリックの仲間入りをすることが可能になり、マルチベンダー環境のスマートホームにおける信頼できるコンポーネントとして認識されます。
これまでに、製品認証機関(Product Attestation Authority:PAA)としてのNXPの関与についてや、EdgeLock® 2GOサービスによってお客様が製造時にリモートでも、さらには現場でも、これらの認証情報を注入できることについてお話ししました。このステップは、独自のセキュリティ・インフラを有していない可能性がある小規模メーカーやスタートアップ企業にとって必須です。
関わりを持つのか、取り残されるのか
最後になりますが、ここまで私たちは、なぜMatterコミュニティへの参加がそれほど重要であるのかを示してきました。Neilと私はCSA (Connectivity Standards Alliance) とThreadグループの理事会に参加しており、開発者の声が規格の策定に影響を与えることを実際に見てきました。新しいデバイス・タイプの定義から新たなオンボーディング・フローの提案まで、あらゆる規模の企業が貢献できる余地があります。
コミュニティへの参加は、仕様に影響を与えるだけではなく、ネットワークづくりや新たな好機の発見、そして業界の動向を知るためにも最高の機会となります。もしMatter対応デバイスを開発中で、CSAやThreadグループとの関わりがないようであれば、パズルの大きなピースが欠けてしまっている状態です。
次のエピソード:エネルギーがキラー・ユース・ケースに?
エピソード3は、実にヒートアップする内容です。私たちは、エネルギー管理におけるMatterの役割のほか、どのようにスマートホーム・デバイスが単に便利なツールから、よりインテリジェントで効率的なホーム・インフラのコンポーネントへと進化しているかについて掘り下げます。
もしまだのようであれば、エピソード1とエピソード2の両方をご覧ください。そして、あなたが何を料理しているのか、またMatterでの食事の下ごしらえで私たちが役に立てそうなことをぜひ教えてください。
シーズンのファイナルを迎える来月、またお会いしましょう!