PF8100/PF8200評価ボードのスタート・ガイド

最終更新日時: 2025-08-25 15:07:00サポート PF8100-PF8200-EVAL-KITS

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ハードウェアについて
  • 3

    ハードウェアの構成
  • 4

    ソフトウェアのインストール

1. パッケージの内容

KITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVMは、NXP製品を迅速に評価するために必要なすべてのヘッダ、ジャンパ、および信号テスト・ポイントで構成された評価ボードです。

このドキュメントは、ユーザーがKITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVM評価ボードをすぐにセットアップ、構成、および操作できるようにすることを目的としています。

1.1 キットの内容と同梱物一覧

KITPF8100FRDMEVMまたはKITPF8200FRDMEVMを使用するには、キットの同梱物と追加のハードウェアのほか、ソフトウェアがインストールされたWindows PCワークステーションが必要です。

  • 組立ておよびテスト済み評価ボードとプログラム済みFRDM-KL25Zマイクロコントローラ・ボード(静電気防止バッグ入り)
  • 3.0フィートUSB-STD A to USB-B-miniケーブルまたはUSB Type-Cケーブル(FRDM-KL25Zボードのバージョンによって異なる)
  • クイック・スタート・ガイド

1.2 追加ハードウェア

このボードの作業をする際は、キットの内容物のほかに以下のハードウェアが必要になるか、または使用すると役立ちます。

  • 電圧範囲3.0~5.0 V、電流制限初期値1.0 A(最大消費電流7.0 A)の電源

1.3 Windows PCワークステーション

この評価ボードにはWindows PCワークステーションが必要です。この評価ボードで作業する際は、これらの最低限の仕様を満たすことで良好な結果が得られます。

  • Windows 7~11を搭載したUSB対応のコンピュータ

1.4 ソフトウェア

この評価ボードで作業するには、ソフトウェアのインストールが必要です。NXPの車載用PMIC製品では、1種類のユニバーサルGUIが提供されています。これは、次のリンクから入手できます。

最新バージョンのGUIをダウンロードし、PCにインストールしてください

GUIを使用することで、評価ボードの操作が簡単になります。このドキュメントでは、Rev 10.0のGUIを使用して例を示します。GUIフォルダには、1つのPF82ファームウェアが提供されています。これはFRDM-KL25Z評価ボード用にアップデートが必要な場合があります。

1.5 ユーザー・マニュアル

評価ボードのすべての機能については、UM11160、KITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVM評価ボードのユーザー・ガイドを参照してください。

2. ハードウェアについて

2.1 ボードの概要

KITPF8100FRDMEVMまたはKITPF8200FRDMEVMは、NXP製品を評価するための使いやすいプラットフォームを提供します。さまざまなアナログ・ソリューション、ミックスド・シグナル・ソリューション、パワー・ソリューションに対応しています。実績のある大容量テクノロジを使用したモノリシック集積回路およびシステム・イン・パッケージ (SiP) デバイスを搭載しています。NXP製品は、最先端システムへの電源供給において、より長いバッテリー寿命、より小さいフォーム・ファクタ、より少ない部品数、より低いコスト、より優れたパフォーマンスを実現します。

これらのカスタマー評価ボードは、PF8100/PF8200パワー・マネジメントICを搭載しています。キットは、PMICを完全に評価するために必要なすべてのハードウェアを統合しています。GUIソフトウェアとのインターフェースとしてFRDM- KL25Z開発ボードに基づく通信ブリッジを搭載し、これによりPF8100/PF8200 PMICを完全に設定および制御できます。

2.2 ボードの特長

降圧レギュレータ

  • SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6:0.4 V~1.8 V、2,500 mA、精度1.5%、ダイナミック電圧スケーリング、シングル/デュアル/トリプル/クワッド・フェーズ構成
  • SW7:1.0 V~4.1 V、2,500 mA、精度2%
  • 設定可能なVTT終端モードをSW6に搭載
  • プログラム可能な電流制限
  • スイッチング周波数の周波数スペクトラム拡散とマニュアル調整

LDOレギュレータ

  • 4個のLDOレギュレータ、1.5 V~5.0 V、400 mA、オプションのロード・スイッチ・モードでの精度3%
  • LDO2でハードウェア/ソフトウェア制御を選択可能

RTC電源

  • VSNVS:1.8 V/3.0 V/3.3 V、10 mA
  • 充電電流および電圧をプログラム可能なコイン電池充電機能を搭載したバッテリー・バックアップ式メモリ

システムの特長

  • 2.5 V~5.5 Vの動作入力電圧範囲
  • FRDM-KL25Zインターフェースを介したUSB - I2C通信
  • デフォルトのハードウェアPMIC設定またはOTP/TBB動作を選択可能
  • 400 kHzで動作するファストモードI²C通信(PMICによる高速動作のサポート)
  • PMICやシステムのAMUXによる高度なシステム監視/診断
  • コントローラ/ターゲット・インターフェース・コネクタ
  • 1.8 V/3.3 Vの出力電圧を選択可能なオンボードI/Oレギュレータ

付属のFRDM_KL25Z

  • FRDM KL25Zは、Arm® Cortex®-M0+プロセッサに基づいて構築されたKinetis LシリーズKL1x (KL14/15) およびKL2x (KL24/25) MCU向けの超低コスト開発プラットフォームです。
  • MCU I/Oへの容易なアクセス、バッテリー電源への対応、低消費電力動作、拡張ボード・オプションを備えた標準規格準拠のフォーム・ファクタといった特長に加え、フラッシュ・プログラミングおよび実行制御用のデバッグ・インターフェースを内蔵しています。

2.3 ボードの説明

KITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVMは、PF8100/PF8200の完全な評価を可能にするハードウェア評価ボードです。PF8100/PF8200デバイス・ファミリは、NXPのi.MX 8プロセッサおよびS32xプロセッサ、ならびにNXP製以外のその他のプロセッサをベースとした高性能アプリケーション向けに設計されたパワー・マネジメント集積回路 (PMIC) です。7個の高効率降圧コンバータと4個のリニア・レギュレータを備え、プロセッサやメモリなどのペリフェラルに電力を供給します。

内蔵のワンタイム・プログラマブル・メモリに主要な起動設定を保存することで、出力電圧と外部レギュレータのシーケンスを設定するために通常使用される外付けコンポーネントを大幅に削減できます。レギュレータのパラメータは、起動後に高速I²Cを介して調整可能であり、さまざまなシステム状態に柔軟に対応できます。

PF8100/PF8200ファミリは、市場のさまざまなニーズに対応するために、以下の2つのバージョンのPMICで構成されています。

  • PF8200は、このファミリのフラグシップ・バージョンで、ISO 26262規格に準拠した機能安全メカニズムを備えたフル機能のPMICであり、ASIL B/D車載モジュール向けの強力で柔軟なソリューションを提供します
  • PF8100は、この製品のセーフティ非対応バージョンであり、PF8200と同じパワー・マネジメント機能およびデジタル制御機能を備えていますが、機能安全のオーバーヘッドがないため、非セーフティ関連システム向けにより経済的なプラットフォームを提供します。

主な特長は、表1に記載されています。

デバイス 説明 特長
PF8100 高性能プロセッシング・アプリケーション向けパワー・マネジメント集積回路 (PMIC)。
  • 最大7個の高効率降圧コンバータ
  • ロード・スイッチ・オプションを備えた4個のリニア・レギュレータ
  • RTC電源およびコイン電池充電機能
  • ウォッチドッグ・タイマ/モニタ
  • ASIL Bセーフティ・レベルに適合するモニタリング回路
  • ワンタイム・プログラマブル (OTP) デバイス構成
  • 3.4 MHzのI²C通信インターフェース
  • 56ピン8 mm× 8 mm QFNパッケージ
  • この製品の基本バージョンであり、パワー・マネジメント機能とデジタル制御機能を備えていますが、機能安全に対応せず、ASIL Bへの準拠が不要なシステムでの使用が想定されています
PF8200 高性能プロセッシング・アプリケーション向けPMIC。
  • 最大7個の高効率降圧コンバータ
  • ロード・スイッチ・オプションを備えた4個のリニア・レギュレータ
  • RTC電源およびコイン電池充電機能
  • ウォッチドッグ・タイマ/モニタ
  • ASIL Bセーフティ・レベルに適合するモニタリング回路
  • OTPデバイス構成
  • 3.4 MHzのI²C通信インターフェース
  • 56ピン8 mm× 8 mm QFNパッケージ
  • PF8200はISO 26262規格に準拠した機能安全に対応し、ASIL B/D車載アプリケーション向けの強力で柔軟なソリューションを提供します

FRDM-LKL25を備えたマルチボード

図1は、以下の最終組み立て図に示すように、FRDM-LKL25を備えたマルチボードで構成されています。

Figure 1. KITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVM Overview

Figure 1. KITPF8100FRDMEVM/KITPF8200FRDMEVM Overview

3. ハードウェアの構成

3.1 ハードウェア構成

このセクションでは、全体的なセットアップの概要を示しています。詳細な説明については、ユーザー・ガイドに記載されています。

テストに必要な推奨機器:

  • 3.0 V~5.0 V電源(バナナ・ジャック使用)
  • コンピュータ
  • Mini USB Type-Aケーブル

3.2 構成イメージ

Figure 2. Typical Initial Configuration

Figure 2. Typical Initial Configuration

3.3 デバイスに関する考慮事項

ボードの使用を開始する前に、デバイスとその仕様について知っておくことをお勧めします。このデバイスはOTPでのパラメータの設定が可能であり、高い柔軟性を備えています。これは、デバイスの機能性に影響を与えます。デバイスでパラメータがどのようにプログラムされているかを理解することが重要です。

3.4 ボードの設定

以下の手順に従って、図に示すようにハードウェアとワークステーションを構成します。

  1. USBケーブルをPCとFreedomボードのUSBポートに接続した状態で、評価ボードにVINを印加します
    • J10 (VIN) およびJ4 (GND) で2.5 V~5.5 Vの外部VINを供給します
    • ジャンパJ17を短絡して、Freedomボードから3.3 VのVinを供給します(この動作モードは、機能の実証の目的以外に使用しないでください。このモードではレギュレーション負荷を使用できません)

  2. Freedomボードのリセット・ボタンを押して、ボードが適切に認識されていることを確認してください。

4. ソフトウェアのインストール

4.1 GUIのダウンロード

  1. NXPのウェブサイトにサインインし、NXPの車載PMICファミリ向けGUIのリンクを開いて、zipファイルをダウンロードします。GUIに関する利用規約を読み、すべてを承諾したら同意します。選択した場所へのダウンロードが開始します。

    Figure 3. Downloads

    Figure 3. Downloads
  2. GUIパッケージが保存されたフォルダの場所を参照し、ファイルを解凍してそれらを開きます。フォルダには、以下に示すファイルが含まれているはずです。

    Figure 4. GUI Files Example

    Figure 4. GUI Files Example

4.2 GUIをインストールして開く

  1. 1-NXP_GUI_Setup」フォルダを開き、「NXP_GUI-10.0.0-Setup.exe」という名前のファイルをクリックすると、GUIがPCにインストールされます PC

    Figure 5. NXP_GUI_Setup Folder Example

    Figure 5. NXP_GUI_Setup Folder Example
  2. インストールが完了したら、GUIを開きます。NXPの複数の車載PMIC製品をまとめた1つのGUIインターフェースが、次のように表示されます。該当する評価ボードのPMIC製品を選択し、それを開きます。例えば、評価用ボードがKITPF8100FRDMEVMの場合は、PF8100を選択して「OK」をクリックします。Figure 6. PF8100 Kit Selection Example

4.3 PF8100/PF8200ファームウェアのアップデート

FRDM-KL25Z Freedomボードは、GUIとPMICなどの I²Cデバイスとのインターフェースとなる通信ブリッジとして使用されます。ファームウェアは、次の3つのレベルで構成されています。

  1. 最初のレベルでは、SDAはブートローダを使用して、SDAプロセッサの機能コードをフラッシュするためのメイン・パスとして動作します。ブートローダはFRDM-KL25Z Freedomボードに事前プログラム済みであり、Freedomボードに恒久的な損傷が生じるのを避けるため、再フラッシュできないようになっています
  2. 2番目のレベルでは、SDAはKL25Z MCUファームウェアのドラッグ&ドロップによるアップデートのためのファームウェア・ローダを提供します
  3. 3番目のレベルでは、KL25Z MCUは、デジタルI/OやPMICへのI²C通信を制御するためにUSBの通信をMCUの命令に変換するGUIファームウェアを提供します。

FRDM-KL25Zに、今後のソフトウェア・アップグレードに対応できる適切なファームウェアがロードされていない場合は、簡単な手順でファームウェアをアップデートできます。

4.4 FRDM-KL25Zファームウェア・ローダのフラッシュ

  1. FRDMボードのプッシュ・ボタンを押して、USBケーブルをFRDMボードのSDAポートに接続します。ファイル・エクスプローラの左側のペインに新しい「BOOTLOADER」デバイスが表示されます
  2. Figure 7. USB Port/SDA Port

    Figure 7. USB Port/SDA Port
  3. ファイル「MSD-DEBUG-FRDM-KL25Z_Pemicro_v118.SDA」を「BOOTLOADER」ドライブにドラッグ&ドロップします。ファイルはKL25Zファームウェア・フォルダの場所に置く必要があります
  4. Figure 8. KL25Z_FW Folder Example

    Figure 8. KL25Z_FW Folder Example
  5. USBケーブルを取り外し、(今回はプッシュ・ボタンを押さずに)SDAポートに接続し直します。「FRDM_KL25Z」という新しいデバイスがPCにインストールされます

4.5 GUIファームウェアのフラッシュ

新しいソフトウェアまたはシリコンのリリースでFRDM-KL25Z Freedomボードのファームウェアのアップデートが要求される場合は、必要に応じて、次の手順に従ってFreedomボードのファームウェアをアップグレードまたはダウングレードします。この手順はファームウェアをアップデートする際にのみ必要であり、変更する必要がなければスキップすることができます。

  1. SDAポートにUSBケーブルを接続します(プッシュ・ボタンは押しません)
  2. インストールするGUIドライバの「.bin」ファイル(例えば、nxp-gui-fw-frdmkl25z-usb_hid-pf8x00_v0.16.bin)を見つけて、ファイルをFRDM_KL25Zドライバにドラッグ&ドロップします

    Figure 9. PF8X00 Folder Example

    Figure 9. PF8X00 Folder Example
  3. Freedomボードのファームウェアが正常にロードされました

設計・リソース

その他の参考情報

PF8100/PF8200カスタマー評価ボードに加えて、以下のページもご覧ください。

製品ページ

  • i.MX8X:i.MX 8Xファミリ - Arm® Cortex®-A35、3Dグラフィックス、4Kビデオ、デジタル・シグナル・プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、DDRの誤り訂正符号 (ECC)
  • S32V234:フロントおよびサラウンド・ビュー・カメラ、機械学習、センサ・フュージョン向けのビジョン・プロセッサ

ハードウェアのページ

アプリケーションのページ

オートモーティブ

ネットワーク

ソフトウェアのページ

サポート

フォーラム

NXPのコミュニティ・サイトで、他のエンジニアとつながり、PF8100-PF8200-EVAL-KITS評価ボードを使用した設計に関する専門的なアドバイスを受けることができます。