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NXPの新製品であるMCX W23は、バッテリー駆動センシング・デバイス専用のワイヤレスMCUプラットフォームです。この製品は、小型の医療用スマート・センシング、ボディ装着型ポータブル・センサ、ならびにアクチュエータ・アプリケーション向けに設計されています。MCX W23は、テストおよび迅速な開発向けのFRDMボードおよびセンサ・シールド・ボードを通じた包括的な評価エコシステムを備えており、コスト効率に優れたBluetooth® LEソリューションを開発者にもたらします。
より小型でよりスマート、かつより長寿命な医療機器の設計を加速するために、NXPの新しいMCX W23ワイヤレス・マイクロコントローラ・プラットフォームには、開発者がすぐに利用できる包括的なエコシステムが備わっています。コンパクトなハードウェア、極めて多機能なセンシング機能、セキュアなBluetooth LEコネクティビティを組み合わせています。MCX W23は、加速度センサ、高度計/圧力センサ、ホール効果磁気スイッチ・センサなど、複数のセンサの容易な統合をサポートします。これにより、スケーラブルでセキュアかつ適応性と堅牢性に優れたソリューションにおける、エッジでのシームレスなワイヤレス・スマート・センシングが実現します。
MCX W23 MCUは、広く普及しているArm® Cortex-M33コアをベースに構築されており、32 MHzで動作します。最大1 MBのフラッシュと128 kBのRAMを搭載し、2.5 x 2.6 mmの小型パッケージで提供されます。パワー・モードは1.1 Vまでパワーダウンした動作をサポートし、持続的に検知できると同時に最小限のメンテナンスで済むことが必要となる、極めて重要なアプリケーションでのバッテリー寿命を延長します。MCX W23は、柔軟なパワー・マネジメント・ユニットを通じて多様なバッテリー・サポートを提供し、酸化銀/リチウムイオン・コイン電池からの直接駆動に対応します。そのコンパクトなフットプリントと必要な外部コンポーネントの少なさから、医療用ウェアラブル、コネクテッド・ホーム・デバイス、資産タグなど、軽量で小型の設計に最適です。
MCX W23 MCUで実現するエッジでのよりスマートなワイヤレス・センシング。詳しくは、ビデオをご覧ください。
サステナブルなワイヤレス・センシング・アプリケーションを設計するには、環境への影響を最小限に抑える信頼性とエネルギー効率とを両立させる、総合的なアプローチが必要となります。MCX W23は、Bluetooth LE MCUと低消費電力のウェイクアップ・センサを採用することで、これらのニーズにまさしく応えます。また、小型バッテリーやエナジー・ハーベスティング・システムなどの極度に低く安定しない電源でも、センサ・ノードを動作させることが可能です。
MCX W23 FRDMプラットフォームは、低消費電力での動作とセンサの容易な統合との組み合わせにより、このシフトに対応し、開発者にイノベーションの自由をもたらします。FRDM-MCXW23ボードを使用することで、開発者はセンサの新たなユース・ケースを探求することができます。このFRDMボードは、スタック可能なモジュール式拡張オプションにより、温度、モーション、圧力、磁気スイッチなどのセンサで拡張でき、低電圧で動作するとともに外部コンポーネントが最小限に抑えられます。これは、現場で長く使用でき、さらにはサービスの頻度やダウンタイムが少ない小型ワイヤレス・デバイスの開発を加速します。アプリケーション・コード・ハブ (ACH) で、FRDM-MCXW23ボードおよびセンサ・シールドのアドオンのサンプルが新たにリリースされています。これらのすぐに実行できるデモは、サステナブルなセンシングの実際の動作を示しており、こちらから入手できます。
MCX W23 FRDMプラットフォームは、その中心にあるチップだけではなく、FRDM-MCXW23開発ボードを中心に構築されたスタック可能なモジュール式エコシステムによって拡張されます。このボードは、オンボードの3軸加速度センサFXLS8974CF、温度センサP3T1755DP、全ArduinoおよびMikrobus™拡張ヘッダを搭載し、磁気スイッチセンサNMH1000、圧力/高度計センサMPL3115A2Sなどのスタック可能なセンサ・ボードをサポートしています。また、MCX W23クリック・ボードを介してBluetooth LE 5.3コネクティビティを追加するオプションも用意されています。これらの要素が相まって、開発者による迅速なプロトタイプやさまざまな小型センシング・アプリケーションのテストを可能にします。アプリケーションは、スマート・メーターやスマートホーム・デバイスから、ウェアラブル、資産トラッカ、医療用パッチ、産業用監視システムまで多岐にわたります。
MCX W23は、信頼性を念頭に置いて構築されており、ヘルスケアなどのコネクテッド環境において重要となる、個人データのセキュアな取り扱いをサポートします。患者モニタリングにとって、正確で信頼性の高いデータは極めて重要であり、セキュア・ブート、デバッグ、およびOTAアップデートが医療グレードのユース・ケースでの信頼性を確保します。さらに、MCX W23は、SESIPレベル2およびPSAレベル2の認証を取得しており、強固なセキュリティ基盤を提供します。PUFベースの鍵管理により、開発者は、デバイスの完全性と患者のプライバシーを初日から確実に保護できます。MCX W23は、ヘルスケア分野のみならず、民生用電子機器、産業オートメーション、スマート・エネルギー・システムにも堅牢なセキュリティ強度をもたらします。これらの場合でも、データの完全性とデバイス保護が、確実で信頼性の高いパフォーマンスの基盤となります。
医療機器の設計は、ヘルスケアにセルフケアをもたらし、サポートと治療を患者にとってより身近なものにし、患者が医療機関に何度も通わずに済むようにします。医療市場におけるIoTデバイスの需要は、医療従事者の負担の軽減と患者の快適性の向上の双方を実現させる必要性から高まっています。MCX W23は、もとよりヘルスケア・デバイスに好適な製品ですが、そのコンパクトなサイズ、モジュール性、セキュアなコネクティビティにより、スマートホーム、産業用モニタリング、資産追跡などの分野のエッジ・アプリケーションにも適しています。身体に使用される場合でも、現場で使用される場合でも、このプラットフォームはあらゆる箇所のセンシングに対応するように設計されており、適応し、スタックし、拡張できるように構築されています。MCX W23は、プロセッシング、センシング、セキュリティ、およびコネクティビティをともに実現し、実世界での展開を加速します。
評価キットや拡張ボードからソフトウェア・サンプルまで、詳細については、nxp.comの製品ページをご覧ください。
NXP Semiconductorsのテクニカル・マーケティング・エンジニア
Rakshit Groverは、NXPのテクニカル・マーケティング・エンジニアであり、マス・マーケットに向けた製品マーケティングに携わっています。NXP製品の実際の使用状況を重視したテクニカル・コンテンツを作成しています。デューク大学でプロダクト・マネジメントを専門分野とするエンジニアリング・マネジメントの修士号を取得し、半導体業界でプロダクト・マネジメントに携わった経験と、医療機器およびロボティクス業界での組込みシステム・エンジニアとしての経験を現在の職務に活かしています。趣味は卓球と瞑想です。
NXP Semiconductors、主幹/センサ・エコシステム・マネージャ
Amit PurohitはNXP Semiconductorsにて主幹を務めており、産業用および医療用センサ向けのセンサ・イネーブルメント・エコシステム戦略を推進しています。お客様にとっての使いやすさを向上させ、革新的なテクノロジを発展させることに注力しています。センサ、コンピューティング、およびコネクティビティ・テクノロジを中心に、半導体で15年以上の経験を有しており、その幅広い専門知識を活かしてインパクトのあるソリューションに取り組み、NXPの製品を差別化しています。