このQ&Aでは、高精度リアルタイム・クロック (RTC) 集積回路 (IC) であるPCA8525およびPCF8525に関連する一般的なトピックを取り上げます。この両製品は、標準的なRTCの最大5倍の計時制度、非常に低い消費電流、コンパクトなプリント基板 (PCB) フットプリント、オンチップ温度センサ、32.768 kHz水晶振動子の柔軟な選択肢といった特徴を備え、ディスクリート設計でRTCモジュール・レベルの性能を達成できます。
Q:どのメーカーも自社のRTCの「精度が高い」と主張していますが、中でもPCA8525とPCF8525は並外れた精度があるようです。標準的なRTC ICよりも精度が5倍も優れている理由は何ですか?
A:その理由は単純です。つまり、本当の意味でのデジタル温度補償を連続的に行うからです。HVSONパッケージで提供されるPCA8525とPCF8525は、水晶振動子の温度ドリフトを補正する内部温度補償エンジンを個別に搭載した世界初のRTC ICです。デジタル補正エンジンを内蔵したことで、次のことが可能になります。
- 温度補償機能を持たない一般的なRTC ICに比べ、最大5倍の精度を実現します。
- 標準的な32.768 kHzの音叉型水晶振動子を使用する場合、PCA8525は–40°C~+125°Cで、PCF8525は–40°C~+85°Cで、精度の代表値として最大±30 ppmを達成します。
こちらのビデオで、次世代型RTC ICの実際の動作をご確認ください。
Q:精度は素晴らしいと思いますが、消費電力はどうでしょうか?PCA8525とPCF8525は、多くの温度補償RTCと同様に消費電流が大きいのでしょうか?
A:PCA8525とPCF8525はどちらも、温度補償による高精度と、ナノアンペア・レベルの計時電流を両立します。どちらのデバイスも3.3 Vの計時モードで非常に低い消費電力を実現しています。
- PCF8525:計時電流の代表値は64 nA
- PCA8525:計時電流の代表値は106 nA
これを考慮すると、市場で最も消費電力が小さいRTCに匹敵する電流レベルでありながら、TCXOクラスの精度が得られることになります。実際のアプリケーションを例に挙げると、PCF8525はCR2032コイン電池1個で10年以上動作しますが、他の製品では1か月程度しか動作できません。
Q:多くの開発者がミニチュア・パッケージに移行しています。PCF8525はどれくらい小型でしょうか?
A:小型のウェアラブル・デバイスやIoTノードに十分収まるサイズです。PCF8525は、1.6 mm x 1.2 mmのWLCSP12パッケージで提供されます。この極小のフットプリントを優先し、温度補償のためのハードウェアを省略することで、スペースが非常に限られるアプリケーションに対応したソリューションとなっています。
このアプリケーション図は、PCF8525の典型的な水晶振動子、電力、システムの接続状況を示しています。
Q:先ほど、オンチップの温度出力について説明がありました。デジタル温度読み出しをRTCに含めるのはなぜですか?
A:補償エンジンが作動しているHVSONデバイスでは、温度情報は1°Cの分解能で8ビット温度レジスタを経由してシステムに送られます。これにより、多くのバッテリ駆動製品ではコンポーネントを追加しなくても自由な温度読み出しが可能になります。
正確な計時機能を求めるのは、スイス人だけではありません。並外れたRTC精度を実現するPCA8525の詳細については、こちらをご覧ください 。
Q:一般的なRTCモジュールは水晶振動子を内蔵していますが、高精度を達成するには必ず工場で校正作業が必要になります。複数の温度ポイントで微調整を行う必要があるため、この作業には時間がかかります。先ほどの説明では、設計者は水晶振動子ベンダーを自由に選定でき、さらにモジュール・レベルの精度も得られるということでした。なぜ、それが可能なのでしょうか?
A: おそらくそれを可能にするものこそが、HVSONのPCA8525とPCF8525の最大のブレークスルー、つまり、標準的な外部水晶振動子に対する強力な温度補償です。
水晶振動子の温度補償機能を持たない一般的なRTC ICとは異なり、PCA8525およびPCF8525は次の機能を備えています。
- 32.768 kHzでチューニングされたCL = 7 pFの任意の音叉型水晶振動子と組み合わせることができます。
- 水晶振動子の温度係数を使用し、周波数ドリフトをデジタル補償します。
- 長期間の運用中にも高い精度を維持するエージング・オフセット・レジスタを備えています。
つまり、設計者は以下のメリットが得られます。
- 複数のベンダーから水晶振動子を調達できる柔軟性。
- 通常、事前にマッチングされたRTCと水晶振動子モジュールの組み合わせでのみ、所定の精度を達成可能
- カスタムTCXOや統合モジュールが不要なことによるコスト上の利点。
Q:精度以外に、実際のアプリケーションでエンジニアにとって有益な機能は他に何がありますか?
A:PCA8525とPCF8525は実用的な機能を豊富に備えています。たとえば、バッテリの切り替え(タイミングは0.9 Vまで保持)、イベント・ログやセキュリティ・タンパの時刻を記録するタイムスタンプ機能、デュアル・アラーム、プログラム可能なCLKOUTなどです。
PCA8525/PCF8525は、ミッション・クリティカルなIoTシステムや自律稼働システムに欠かせない正確な計時機能を提供します。
まとめ: PCA8525とPCF8525を選ぶ理由は何ですか?
- 優れた精度:標準的なRTCの最大5倍。
- 超低消費電力:PCF8525では約64 nA、PCA8525では約106 nAで、長いバッテリ駆動時間が必要なアプリケーションに最適。
- 水晶振動子の調達先の柔軟性:パフォーマンスを犠牲にすることなく、多数の水晶振動子サプライヤを自由に選択できます。
- 小型設計:PCBの高集積化に対応する、小さいWLCSPフットプリント。
- 付加価値機能:この製品ファミリすべてで、アラーム、ウォッチドッグ、バッテリ切り替えの機能を利用できます。
PCA8525およびPCF8525は、モジュール・クラスの精度と超低消費電力を2つのパッケージ・オプションで実現する、新カテゴリのRTC ICです。