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Fortune 500の製造企業は、毎年、計画外のダウンタイムにより1.5兆ドルの損失を出していると推定されています。¹その主な要因は、工場のアーキテクチャに柔軟性がなく、問題が発生しても修正が難しいことです。多くの場合、たった1つのシステムが故障しただけでも生産ライン全体に影響が及び、運営が停止してしまいます。
需要が変化し複雑さが増す今、メーカーの生産システムには、ハードウェア経由だけでなくソフトウェア経由でも構成を変更できることが求められています。しかし、従来のオートメーション・アーキテクチャのほとんどは動作が一定の構成に縛られているため、変更が失敗しやすく、時間とコストもかかります。こうした状況を受け、設計段階でシステムに柔軟性、レジリエンス、インテリジェンスを組み込むソフトウェア・デファインド・マニュファクチャリングへの移行が進んでいます。
EXOR International、CORVINA、NXPはこの課題を解決するため、クラウド・エッジ・オートメーション・プラットフォームを共同で開発しました。このプラットフォームでは、NXPのハードウェアとセキュリティ・ソリューションをEXOR InternationalのMicroEdgeエッジ・コントローラ・シリーズおよびCORVINAのIoTプラットフォームと統合することで、製造システムのレジリエンスと効率を高める基盤を提供します。
現代の製造業は、生産ラインがスピーディかつ正確に動作することで成り立っています。このように緊迫した環境に、不確実な要素が入り込む余地はありません。センサーの故障やプロトコルの不整合が1件発生するだけでも、組立てライン全体が停止し、運営が大幅に遅れる可能性があるからです。
経営面にこうした障害がもたらす影響は莫大です。調査によれば、1時間の生産停止による損失は、2020年以降50%増加したとされています。平均的な大型製造工場では、予定外のダウンタイムによる年間損失はおよそ1億2,900万ドルにも上ります。¹このような損失は多くの点で、厳格さゆえに障害へ動的に対応できないシステムの副産物と言えます。
工場のオペレータの観点では、以下の構造面の課題により、従来のオートメーションの脆弱化と拡張のコスト増加に拍車がかかっています。
これらの課題が合わさった結果、運営上のリスクが高まり、メーカーの変化への対応に遅れが生じています。
EXOR InternationalとCORVINAは、決定性、安全性、セキュリティを犠牲にすることなく、変化にリアルタイムかつ動的に適応できるオートメーション・アーキテクチャを求めていました。そのために必要なものは、クラウド経由で調整が可能かつリアルタイム制御、Linuxアプリケーション、AIワークロードを一元的に実行できるインダストリアル・エッジ・コンピューティング・プラットフォームでした。
そこで両社は、以下のものを提供できるテクノロジ・パートナーを検討しました。
上記の要件を導入可能な形の工場アーキテクチャに落とし込むには、半導体、エッジ・プラットフォーム、クラウド・ソフトウェアのすべてを緊密に連携し開発する必要がありました。この課題に対しEXOR International、CORVINA、NXPは、既存の制御システム上にクラウド・サービスを展開するのではなく、連携された単一のシステムをゼロから構築する手法を採用しました。
3社の協力により、工場の現場で求められる決定性、安全性、信頼性を維持しつつ適応性をソフトウェアで制御できるクラウド・エッジ・オートメーション・アーキテクチャを設計しました。これにより、エッジでローカルにリアルタイム制御を実行しながら、クラウド・インテリジェンスによりフリート全体の可視化、オーケストレーション、継続的な改善を実現できます。
こうして完成したのが、EXOR InternationalのMicroEdge産業用ゲートウェイ、CORVINAのクラウドIoTプラットフォーム、そしてNXPのエッジ・コンピューティング、セキュリティ、アナログ・フロントエンドの各種テクノロジを密に統合したソフトウェア・デファインド・ファクトリ・アーキテクチャです。
EXOR InternationalとNXPは、エッジ・コントローラとIoTゲートウェイ一式の機能を備え、OTとITをつなぐスケーラブルなモジュール型インダストリアル・エッジ・プラットフォームのMicroEdgeを構築しました。ソース近傍でデータを処理することで、CORVINAなどのクラウド・プラットフォームへのセキュアな接続と低レイテンシかつディターミニスティックな性能を両立しました。
MicroEdgeはNXPのi.MX 8およびi.MX 94プロセッサを採用して単一デバイスにリアルタイム制御、Linuxアプリケーション、エッジ・アナリティクスを統合しているため、決定性を損なうことなく混合ワークロードに対応できます。また、モジュール型設計であるため、メーカーはハードウェアおよびソフトウェアの構成によりコンピューティングとコネクティビティを拡張できます。
MicroEdgeが対応するアプリケーションは以下のとおりです。
幅広いプロトコルに対応しているため、既存の工場環境との統合はシンプルです。NXPのアナログ・フロントエンド・テクノロジが内蔵の診断機能とセンサとの相互運用性を高め、現場レベルのレジリエンスを支援します。また、セキュリティを根本に置き、Over-the-Air (OTA) アップデートと産業サイバーセキュリティ要件に対応したセキュア・ブート、デバイスID、および役割ベースのアクセス制御を採用しています。
CORVINAのクラウド・オーケストレーション・レイヤは、生産現場のデバイスと他の場所を接続して調整します。このレイヤがインダストリアルIoTプラットフォームとして多様なエッジ・デバイスからデータを収集および管理し、フリートとライフサイクル管理の拡張性を高めます。
CORVINAはクラウドベースでリアルタイム制御を行うのではなく、タイミングが重要な決定はエッジ上でローカルに行いながら、一元的な可視化、リモート構成およびアナリティクスを提供します。これにより、リアルタイム運用の遅れやリスクを招くことなく、予知保全、異常検出、継続的な最適化を実現できます。
ニューラル・プロセッシング・ユニット (NPU) でフィールド・レベルのAI推論と機械学習ワークロードを実行
ソフトウェア・デファインド・ファクトリの複雑なタスクに求められる安全かつセキュアな高性能処理を提供
柔軟な構成が可能な8チャネル24ビット・コンポーネントで、センサ・データを正確に収集する完全にプログラム可能なアナログ・インターフェースを実現
内蔵ハードウェア・セキュリティがレジリエンスを確保し、IEC-62443に準拠するための基盤を提供
生産現場にとって、このソリューションには以下のように明確なメリットがあります。
本ソリューションは運営面だけでなく、サステナビリティ目標の達成にも効果があります。スマートなオーケストレーションと効率的なエッジ処理により、工場のエネルギー消費量を最大で35%削減。³効率に優れたi.MXプロセッサを採用することで、従来の産業システムに比べてさらに電力消費量を抑えられます。
今回の提携は、より大規模な製造のソフトウェア・デファインド化への第一歩です。EXOR International、CORVINA、NXPは本プラットフォームの開発を進め、エッジ・インテリジェンスの拡充、クラウド・オーケストレーションの強化、製造ライフサイクルに合わせた長期サポートの提供を進める予定です。
3社で力を合わせ、生産需要やテクノロジが変化し続ける時代においてもメーカーがより速く適応し、運営のセキュリティを高め、レジリエンスを維持できるようにサポートしてまいります。
出典
¹ The True Cost of Downtime 2022
² Predictive Maintenance in Manufacturing: IoT Data to AI-Driven Cost Savings
³ Universal Artificial Intelligence Workflow for Factory Energy Saving: Ten Case Studies
EXOR Internationalは、イタリアを拠点として世界的に展開している産業オートメーションの先進企業で、高度なHMI、制御、エッジ、インダストリアルIoTソリューションの設計および製造を手掛けています。約50年に及ぶ専門知識を活かし、効率とコネクティビティを高めインダストリー4.0への変革を推進する直感的なハードウェア、ソフトウェア、クラウド・プラットフォームを世界中のメーカーに提供しています。
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CORVINAは、メーカーおよび機械製造企業向けに機械、データ、サービスの接続、監視、管理用のインダストリアルIoTおよびデジタル化プラットフォームを提供しています。リモート・デバイス制御、リアルタイムのインサイト取得、予知保全およびサービタイゼーション機能を備えたクラウドベースのソリューションにより、ITとOTをつないで効率を高め、新たなビジネス・モデルの実現を支援しています。
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Segment Lead Factory Automation, NXP Semiconductors
Clara Otero Perez is a senior technology and business leader with over 25 years of experience in the semiconductor industry, combining deep system expertise with strategic market leadership. In her current role as Segment Lead for Factory Automation, she is responsible for defining and executing segment strategy, driving growth through system solutions, ecosystem partnerships, and customer engagement across industrial automation markets. She works closely with product lines, sales, and partners to translate technology roadmaps into differentiated value propositions addressing automation, robotics, safety, and digitalization trends. Previously, Clara held multiple senior leadership roles at NXP Semiconductors spanning system marketing, automotive and industrial innovation, and global partner development, delivering large-scale system platforms and long-term revenue growth. Her background includes leading multidisciplinary engineering teams, managing significant R&D budgets, and shaping industry narratives through thought leadership. Clara holds a Master’s in Physics and postgraduate studies in Computer Science, and is recognized for bridging technology, systems, and business impact.