UBX100は、ワイヤレスM-Bus用に最適化されたスマート・メーター向けSub-1 GHzソリューションです。超低消費電力で信頼性の高い長距離コネクティビティを実現します。このシングルチップ・トランシーバは、NXPの産業用途向けワイヤレス・ポートフォリオを補完するように設計されており、スマート・ユーティリティやインフラストラクチャのアプリケーションに適したSub-1 GHz領域まで対応します。
スマート・メーターは、消費者と企業の両方にとって、計測をより簡単にし、透明性を高めることに大きく貢献してきました。自動検針(Automatic Meter Reading:AMR)の導入によって、消費量、診断、ステータスに関するデータを電力会社に送信したり、「ドライブ・バイ」で定期的にデータを収集したりできるようになりました。
自動検針 (AMR)
AMRは、電気、ガス、水道などのメーターから消費量、診断、ステータスのデータを収集し、そのデータを中央のデータベースに転送して、請求、トラブルシューティング、分析を行えるようにするテクノロジです。通常は一方向の送信モデルであるAMRは、手動でのメーター読み取りを不要にし、人為的なミスを最小限に抑え、請求サイクルを改善し、運用効率を向上させます。
しかし、エネルギー・システムが進化するにつれて、リアルタイムの使用量データ、リモート更新、故障検出、負荷分散などに対するニーズが高まっています。
ワイヤレスM-Bus、超低消費電力動作とAMIの効率
AMRの機能は限られているため、多くの地方自治体や公益事業会社は、AMRからリアルタイム機能を備えた遠隔ユーティリティ管理への移行を見据え、AMI (Advanced Metering Infrastructure) と呼ばれる固定ネットワーク・メーター・システムのテクノロジに目を向け始めています。
欧州では、ワイヤレスM-Busは10年以上にわたってリモート・メーター読み取り用の主要な標準規格の1つであり、スター型トポロジを使用して、数百個のエンドポイント・センサを中央のゲートウェイに接続します。また、センサをモバイル・メータリング用のデータ・コレクタ携帯端末に接続して、「ドライブ・バイ」によるメーターの読み取りを行います。このスケーラブルなアプローチにより、ネットワークに数千台以上のデバイスを含めることができるため、信頼性と電力効率がますます重要になります。また、サブメータリングの導入も進んでおり、ビルや産業施設内の異なるテナント、部署、機器の電気/ガス/水道使用量をそれぞれ個別のメーターでモニタリングしています。
これらの要件を満たすために、NXPは新しい超低消費電力RFトランシーバUBX100を開発しました。この製品は、今日のスマート・メータリングのニーズに向けて最適化され、将来の次世代スマートシティの要件にも対応可能です。
UBX100はシングルチップのSub-1 GHz無線モデムで、S、C、TモードのワイヤレスM-Bus通信をサポートし、最大14 dBmの出力電力と11 mAの超低消費電力を実現します。
NXPがUBX100で目指した目標は、お客様にとって使いやすい、最適化されたスケーラブルなシステム・ソリューションを提供し、設計サイクルの迅速化と開発期間の短縮につなげることでした
NXP製品マーケティング・マネージャ、Frank Graeber
UBX100 Sub-1 GHzワイヤレスM-Busソリューション。
すぐに使えるフル・システム・ソリューション
UBX100は、NXPのMCXマイクロコントローラとシームレスに連携するように設計された最先端のソリューションであり、MCUXpresso開発者環境およびMCX FRDMボード・エコシステムを通じてサポートされています。開発者は、NXPの定評あるシングルソースのハードウェアとソフトウェアに加えて、STACKFORCEのOMS®ワイヤレスM-Busプロトコル・スタック も利用できます。これはOMS® v4.5.1およびEN 1757-3/4/7規格に完全に準拠しており、シームレスな双方向通信を可能にします。
- wM-MBusモードS、T、Cのサポート
- 暗号化モード 5、7、10(セキュリティ・プロファイル A、B、D)
- 附属書C(「センサ」)および附属書M(「OMS®ユース・ケース」)の完全なサポート
- TRXタイミングの最適化によるバッテリー持続時間の延長
UBX100 SDKに含まれる評価版ダウンロード・ライセンスを使用して、さまざまなメータリング・アプリケーションやセンサ・アプリケーションを試すことができます。
OM-UBX100-001は、MCX MCU FRDMボードと互換性のあるUBX100用の開発プラットフォームです。今すぐOM-UBX100-001シリーズをお試しください。
UBX100 Sub-1 GHzワイヤレスM-Busソリューションのブロック図。ブロック図をダウンロードすると、拡大図がご覧いただけます。
UBX100の主な特長
- 超低消費電力:ディープ・スリープ電流:最小600 nA、受信 (RX) 消費電流:11 mA
- 高出力電力:最大+14 dBm出力 (29 mA)
- wM-MBusモードのサポート:ETSI、FCC、ARIB規制に準拠したS、C、Tモードをサポート
- コンパクトなパッケージ:7x7 mm HVQFN48パッケージで提供
- 動作温度範囲:–40°C~+85°C
- SPIインターフェース:最大2 Mbit/sをサポートする5線式SPIインターフェース
今年予定されるWi-SUNのサポート
UBX100は、すでにワイヤレスM-Bus用に完全に最適化されていますが、NXPが2025年下半期にソフトウェア・アップグレードを通じて実装予定のWi-SUN FANもサポートするよう設計されています。Wi-SUNのサポートはNXPの広範なワイヤレス戦略の一部であり、Wi-SUN Allianceは、公益事業会社や地方自治体、政府機関の将来に向けたイノベーションを支援しています。Wi-SUNは、スマート・メーターや街路照明のネットワークの拡大に伴う技術上および運用上のニーズに対応する、将来を見据えたアプローチと見なされています。
- 自動修復機能を備えた長距離のメッシュ・ネットワークにより最大限のカバレッジを実現
- 大規模なAMIおよび都市全体のネットワークに最適な、高いノード密度と効率的なトラフィック処理
- 既存のITシステムにシームレスに統合できるオープンなIPベースのアーキテクチャ
- 複数ベンダー間の相互運用性により、柔軟で将来性が確保された導入を実現
Wi-SUN FANは、IEEE 802.15.4-2015やIPv6などの世界的に認められた規格に基づいて構築されます。シンプルなメーター読み取りにとどまらず、現代のIoTとインフラストラクチャの多様なニーズをサポートします。高度なセキュリティを備えたIP通信をネイティブでサポートしているため、規制への準拠を確保しながら、ファームウェアのアップデート、診断、双方向の制御に最適です。
電気、ガス、水道などのスマート・メーターに適したUBX100 Sub-1 GHzワイヤレス・ソリューション。
強力なパートナーとともに将来を見据えたセキュリティを確保
重要な点として、Wi-SUN FANは、厳しいサイバーセキュリティ要件を満たす必要があるインダストリアルIoTおよびスマートシティ・システムの強力な基盤も提供します。NXPは、この移行をサポートするために、長年にわたりIEEE 802.15.4の開発に深く携わってきたソフトウェア企業であるExegin と提携しました。Exeginは、Wi-SUN FANやZigBeeを中心としたメッシュ・ネットワーク・ソリューションのリーディング・プロバイダとして、ARM、RISC、x86 (IA64) などの幅広いプロセッサ・アーキテクチャと、リアルタイムRTOSやプリエンプティブなUNIX系システムなど各種動作環境に対応する、柔軟なプロトコル・スタックを提供しています。これらは、スマート・メーターから都市規模のインフラストラクチャ・ノードまで、あらゆるアプリケーションに適しています。
NXPとのパートナーシップは、ZigBeeからWi-SUNまで、オープン・スタンダードに関する長年の協力関係に基づいています。私たちは、スマート・メーターから都市全体にまで及ぶ、安全で相互運用性のあるワイヤレス・インフラのビジョンを共有しています。Exeginのプロトコル・スタックに、UBX100をはじめとしたNXPの広範なワイヤレス・ロードマップを組み合わせることで、メーカーは実証済みのテクノロジと強力な基盤に支えられながら、自信を持って開発を進めることができます。
Exegin Technologies社長、Leslie Mulder氏
機械式メーターから動的なデジタル・システムへの移行に伴い、公益事業会社がエネルギーを追跡および管理する方法が変化しています。同様に、都市の街路照明は、単純な街灯から、データを取得して制御する都市全体の通信システムのバックボーンへと変わりつつあります。NXPは、スマート・システム・ソリューションでMCXマイクロコントローラ・ポートフォリオとともにシームレスに動作する、すぐに使用できるSub-1 GHzチップであるUBX100により、そのような変化を支援しています。UBX100は、ハードウェアとソフトウェアの統合サポートを通じて市場投入までの時間を短縮できる、信頼性の高い選択肢です。