自動車業界では、ソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) への移行が着々と進んでいます。自動車メーカーにとっても消費者にとっても、このテクノロジがもたらすコネクティビティとアップグレード性は大いに期待されており、中でもOTA (over-the-air) ソフトウェア・アップデートによって新機能を追加したりカスタマイズしたりできる点が注目されています。こういったSDVは最近登場したものですが、何年も前から、ADAS(先進運転支援システム)やプッシュボタン・スタートなどの新機能は既に自動車に搭載されています。
自動車業界では、ソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) への移行が着々と進んでいます。自動車メーカーにとっても消費者にとっても、このテクノロジがもたらすコネクティビティとアップグレード性は大いに期待されており、中でもOTA (over-the-air) ソフトウェア・アップデートによって新機能を追加したりカスタマイズしたりできる点が注目されています。こういったSDVは最近登場したものですが、何年も前から、ADAS(先進運転支援システム)やプッシュボタン・スタートなどの新機能は既に自動車に搭載されています。
ソフトウエア・デファインド・ビークルにおけるパワーマネジメント
各コンポーネントで精密なパワーマネジメントを実施する必要であり、不具合があると故障につながる可能性があります。そのため、セントラル・コンピューティング・システム、MCU、イーサネット接続、センサ、アクチュエータのネットワークに加えて、複雑な電力配線ネットワークが張り巡らされ、そのすべてがパワーマネジメント集積回路 (PMIC) によって制御されています。
NXPのPMICは高い効率性、安全性、柔軟性を備え、このような難しい課題を解決へと導きます。BYLink™システム電源プラットフォームはスケーラブルな統合パワー・マネジメント・ソリューションを実現し、車両アーキテクチャの複雑さを軽減します。NXPのPMICによってボードの設計が簡素化され、部品点数が削減されるため、効率性と信頼性の高いSDVを容易に設計できるようになります。
NXPのPMICポートフォリオは、以下に示すように、自動車メーカーにとって有益なサポートを提供します。
パワー・マネジメントの効率性
自動車の中でも特に電気自動車は、効率的なパワー・マネジメントを必要とします。NXPのPMICは、多様なユース・ケースに対応する高効率の降圧コンバータと低消費電力モードを備えています。
低消費電力手法とウェイクアップ管理
アイドル時にスタンバイ・モードが有効になることでエネルギーを節約し、ウェイクアップと起動時間を最適化します。
機能安全
問題を検知するセーフティ機能を内蔵し、セーフティ応答をカスタマイズできるため、ASIL BやASIL Dに容易に準拠できます。
スケーラビリティと柔軟性
あらゆるアプリケーションをサポートし、他のベンダのMCUやSOC、ペリフェラルと組み合わせて使用できるため、幅広い柔軟性をもたらします。
統合性
ByLink™プラットフォームによってマルチPMICアーキテクチャを簡略化でき、機能性や安全性に妥協することなく設計の質を高めることができます。
部品表 (BOM)
特化された機能により外部コンポーネントを最小限に抑えることで、車両のECUを簡素化し、コストを削減できます。
簡素化
すべての設定が可能なワンタイム・プログラミングによって容易に導入できます。また、デバイス・ファミリ内でソフトウェアを再利用できるため、開発を合理化できます。
機能面の堅牢性
幅広いミッション・プロファイルへの準拠を求められる新たなユース・ケースについても、NXPは次世代の自動車に向けて業界をリードしています。
上記の利点のそれぞれが、市場投入までの期間を短縮し、設計の複雑さを減らし、車両全体の機能安全アプローチを簡単に達成するために役立ちます。
NXPは自動車業界向けに、効率性、安全性、柔軟性を重視した幅広いパワー・マネジメント・ソリューションを提供しています。NXPの高度なPMIC製品をご覧ください。
ソフトウェア・デファインド・ビークルにおけるゾーン・アーキテクチャへの移行
ソフトウェア・デファインド・ビークルのE/Eアーキテクチャは、ライティングやステアリングなどの特定の機能に専用ドメイン・コントローラを使用する手法を発展させたものです。そのため、多数のサブコンポーネントや配線が必要になり、重量と複雑さが増していました。現在では、3段階のデータ・レベルとサービス・レベルによるゾーン・アーキテクチャの採用が進められています。主な処理を担うセントラル・コンピューティング・システムが、エンド・ノードの近くにあるゾーン・コントローラと通信します。
SDVにおけるセントラル・コンピューティングの役割
セントラル・コンピューティング・システムは、従来は個々のECUが担っていた機能を1つのユニットに集約したもので、ユニットの機能をアップデート、再構成、カスタマイズすることができます。この統合により、複数のコンポーネントが1つのパワフルなシステムへと置き換わり、車両の複雑さ、コスト、重量が軽減されます。
S32N車載超統合プロセッサ・ファミリに、FS04のパワーマネジメント機能とS32 CoreRideプラットフォームの事前統合済みソフトウェアを組み合わせることで、車両のさまざまな機能を隔離環境内で安全に統合することができます。しかし電力の管理は複雑であり、多くのPMICが必要となります。NXPのByLink™プラットフォームは、バッテリーに接続されたPMICと1個または複数個の5 V PMICを同期させ、スムーズなトランシジョン、自動パワーアップ/パワーダウン・シーケンスを実現し、機能安全の統合を容易にします。
特にしきい値が非対称のメモリ・チップでは、高精度な電圧制御は不可欠です。NXPのFS04 PMICは、アナログ・デジタル・コンバータを使用して精度を高めつつ、ASIL Dの安全基準を達成しています。S32NコアはPF53 POLレギュレータを搭載しており、最適化された部品コストで高出力を実現します。
ゾーン・コントローラ
ゾーン・コントローラは、セントラル・コンピューティング・システムとの間のブリッジとして機能し、センサとエンド・ノード間で情報を中継します。たとえば、車両後方にあるセンサが送信するデータを、車両前方のコンポーネントが使用する場合があります。電力要件は複雑で、トランシーバやMCUごとに個別の電源が必要であり、そのすべてで必要な電圧と電流が異なります。FS26などのNXPのPMICは、内蔵の降圧レギュレータとLDOレギュレータを使用してこのような問題に対処しています。また、ワンタイム・プログラミングによって出力電圧、電流レート、スルー・レートをカスタマイズできるため、さまざまなECUやプロセッサのニーズに柔軟に対応できます。
エンド・ノード
車両のエンド・ノードに該当するのは、E/Eアーキテクチャのエッジにあるアクチュエータ、センサ、ECUです。エンド・ノードはセントラル・コンピューティングやゾーン・コントローラほど電力を必要としません。そのためNXPでは、CAN/LINトランシーバを統合したFS23など、コストを最適化したPMICを開発しました。自動車メーカーはプラットフォーム・アプローチを目指し、さまざまなユース・ケースでPMICとプログラム・コードを再利用しているため、スケーラビリティとプログラマビリティは依然として極めて重要です。NXPのPMICは電力処理や機能安全の面で幅広い選択肢を提供しており、各ファミリでパッケージ・ピン配置が共通しています。1つのPMICを実装した後でも、同じファミリの他のPMICに容易に置き換えることができるため、プラットフォームの拡張性に優れています。
図1:ソフトウェア・デファインド・ビークルのゾーン・アーキテクチャ
SDV開発における高い電力性能と価値を引き出す
ソフトウェア・デファインド・ビークルへの移行によって、ドライバーにまったく新しいドライビング・エクスペリエンスを提供するとともに、新たなレベルの効率と差別化を実現できるようになります。パワーマネジメントは、イノベーションと最適化を実現する極めて重要な可能性を秘めています。NXPのPMICは、複数のパワー・モードを管理して電力効率を最大化することにより、優れた性能を保証します。機能安全を中核として構築され、NXPのSafeAssureプログラムに従って静止電流が最適化されており、高速MCUブート・シーケンスに対応します。NXPのPMICは、セントラル・コンピューティングからエンド・ノードまで、車両全体にわたって電力性能を向上させます。拡張性、信頼性、効率性に優れたNXPのPMICは、システムを簡素化し、市場投入までの期間を短縮し、ソフトウェア・デファインド・ビークルの開発を後押しします。