i.MX 93Wマイクロプロセッサ (MPU) は、スペース制約の厳しいインダストリアル&IoTの設計に高性能のコンピューティングとトライラジオ・コネクティビティをもたらします。
よりスマートでコネクテッドなエッジ・デバイスに対する需要は、信じられないほどのペースで高まっています。NXPは、開発者がこの課題に対処できるように、NXP初の統合ワイヤレスMPUシステム・イン・パッケージ (SiP) であるi.MX 93Wプロセッサを提供しています。i.MX 93Wプロセッサは、強力なコンピューティング、エッジAI、およびトライラジオ・コネクティビティを単一のコンパクトなパッケージに統合することで、エッジでより小さく、より効率的なコネクテッド・デバイスを構築するのに役立ちます。
i.MX 93W MPUを選ぶ理由
コネクテッド・エッジ・デバイスの設計者は、設計の複雑さと市場投入までの時間を管理する際に課題に直面します。従来の「チップダウン」ワイヤレス設計では、骨の折れるRFチューニング、複雑なボード・レイアウト、規制当局の厳しい承認サイクルに何か月も費やす必要があり、これらすべてに極めて高いコストがかかります。この複雑さは、多くの場合、部品表 (BOM) の肥大化とサプライ・チェーンの重大なリスクを招きます。
i.MX 93Wアプリケーション・プロセッサのブロック図。 ブロック図をダウンロードすると、拡大図がご覧いただけます。
NXPは、i.MX 93Wプロセッサを搭載した、設計の障壁を取り除くシステムレベルのソリューションを提供しています。高性能なコンピューティングと堅牢なコネクティビティを14.2 x 12 mmのパッケージに統合しているため、次の設計はより小さく、よりスマートにし、グローバル市場に迅速に対応することができます。
コンピューティングとコネクティビティを1つのパッケージで
i.MX 93Wプロセッサは、1.7 GHzデュアルコアArm® Cortex®-A55アプリケーション・プロセッサと250 MHz Arm Cortex-M33制御コアで、エッジに強力なコンピューティングを提供します。エッジAI向けに、音声認識や異常検知などのローカル機械学習タスクをサポートできるよう最大1.8 eTOPS (equivalent TOPs) のArm® Ethos™-U65ニューラル・プロセッサ (NPU) を統合しました。eTOPSは、複数のベンチマークにわたる、i.MX 8M Plusアプリケーション・プロセッサを基準にしたデバイスの平均性能に基づく指標です。コネクテッド・デバイスのセキュリティを維持する目的で、i.MX 93WプロセッサはEdgeLock®セキュア・エンクレーブを搭載しているため、専門知識がなくても複雑なセキュリティ機能を利用することができます。
また、統合されたトライラジオ・サブシステムは、Wi-Fi 6、Bluetooth® LE 5.4および802.15.4 (Thread/Zigbee) に対応しています。最も重要な点は、ワイヤレス・コネクティビティをサポートするために必要なすべての外部無線コンポーネントが含まれており、最大60個ものディスクリート・コンポーネントを置き換えることです。i.MX 93Wプロセッサは、これらのコンポーネントを1つのパッケージに統合することにより、従来のディスクリート設計と比較してプリント基板 (PCB) 面積を削減します。このフットプリントの削減により、設計者はスペース制約の厳しいアプリケーションに多くのインテリジェンスを詰め込むことができます。
i.MX 93Wの主な特長
- デュアルコアArm Cortex-A55 @最大1.7 GHz
- 250 MHz Arm Cortex-M33リアルタイム制御コア
- Arm Ethos-U65 microNPU
- IW610Gトライラジオ(デュアル・バンド1x1 Wi-Fi 6、Bluetooth LE、802.15.4)
- 必要なすべての外部無線コンポーネントを備えたIW610 BOM
- コンパクトな14.2 x 12 mmパッケージ、アンテナ・ピン付き
- ギガビット・イーサネット x 2(TSN (Time-Sensitive Networking) x 1 – CAN FD(コントローラ・エリア・ネットワーク・フレキシブル・データ・レート) x 1)およびUSB 2.0 x 2
- 1080p60 MIPI-DSI (Mobile Industry Processor Interface - Display Serial Interface)、720p60 LVDS (Low-Voltage Differential Signaling) および2Dグラフィックス・アクセラレーション
ワイヤレス認証の時間とコストを大幅に削減
グローバルなワイヤレス認証の取得は、多くの場合、コネクテッド・デバイスを市場に投入する際の大きな障害となります。これには最大9か月を要すうえに、10万ドル以上のコストがかかります。i.MX 93Wプロセッサは、必要なすべての無線コンポーネントを事前に統合して、モジュール・レベルの認証を可能にすることで、このサイクルを打ち破ります。
i.MX 93Wプロセッサには、必要なすべての外部無線コンポーネントが事前に統合されています。
具体的には、NPXでは、8つの国と地域で準拠した認証済みのシングルおよびデュアル・アンテナのリファレンス設計を提供しています。これらの設計を活用することで、以下のことが可能になります。
- RF/ハードウェアの開発サイクルを9か月からわずか3か月に短縮
- 認証コストを削減
- 米国 (FCC)、カナダ (ISED)、欧州 (CE)、日本 (MIC) の各地域のモジュール認証により、認証作業を簡素化
サプライ・チェーンに効率性をもたらす
複雑なグローバル市場では、よりシンプルなサプライ・チェーンが競争上の優位性となります。i.MX 93Wプロセッサは、この利点を実現する1つの方法として、ワイヤレス・コンポーネントを統合してBOMを大幅に削減します。調達するコンポーネントが少なくなると、サプライ・チェーンの変動に対する脆弱性が小さくなり、在庫とサプライヤーの管理に費やす時間と労力が少なくなります。
また、i.MX 93Wプロセッサは、標準のi.MX 93アプリケーション・プロセッサおよびIW610トライラジオとの完全なソフトウェア互換性を備えているため、設計者は既存の設計から新しい設計に簡単に移行できます。このシステムレベルのアプローチにより、コンピューティング・サブシステムとワイヤレス・サブシステムの両方が1つの標準販売窓口を通じて販売およびサポートされるため、サポート窓口が1つになり、安心して利用できます。事前に検証された統合により、ハードウェアのやり直しの負担が軽減され、製品の差別化に注力することができます。
i.MX 93Wの実世界への影響
i.MX 93Wプロセッサは、次世代のスマートでセキュアなコネクテッド・エッジ・システムの原動力となり、設計者のイノベーションを支援します。
ヘルスケア
医療用センサからゲートウェイまで、i.MX 93Wプロセッサはヘルスケア・アプリケーションに特化しています。統合されたNPUは、データをローカルでプライベートに処理するため、異常検出やイベント監視などのアプリケーションを、機密のヘルス・データを公開することなく実行できます。i.MX 93Wプロセッサは、小型フォーム・ファクタで、高性能なコンピューティングと堅牢なワイヤレス・コネクティビティの両方を必要とする、スペース制約の厳しい医療用ウェアラブルに最適です。
ホーム&ビルディング
i.MX 93Wプロセッサは、Wi-Fi 6、Bluetooth LE、802.15.4に対応しており、スマートホーム・デバイス向けのシングルパッケージ・ソリューションを提供します。また、Matter、Thread、Zigbeeなどの複数のプロトコルをサポートしているため、相互運用性、安全性、信頼性の高いスマートホーム・システムを実現するのに役立ちます。
電力&エネルギー
コネクテッド・メーターや先進的なエネルギー・グリッド・デバイスを開発する場合でも、コンピューティングとコネクティビティを兼ね備えたi.MX 93Wプロセッサは、設計開発の成功に役立ちます。統合されたEdgeLockセキュア・エンクレーブは、サイバー攻撃から重要なエネルギー・インフラを守るためのハードウェアベースの信頼の基点を提供します。最大60個のコンポーネントを1つのデバイスに統合することで、ミッションクリティカルなエネルギー・システムの設計の複雑さとリスクを低減します。
i.MX 93W MPUの利点
要約すると、i.MX 93Wプロセッサには次のような独自の機能が組み合わされています。
- デュアル・バンドWi-Fi 6、Bluetooth LE 5.4および802.15.4に対応した統合トライラジオ・コネクティビティ
- NXPの事前認証済みアンテナ・リファレンス設計によって簡素化されるグローバル認証
- 1.8 eTOPsの統合Arm Ethos-U65 NPUによる効率的なエッジAI
- 60個以上のディスクリート・コンポーネントが統合されている最適化されたボード・スペース
- EdgeLockセキュア・エンクレーブによるセキュリティ強化
i.MX 93Wファミリは、スマートホーム・ハブ、医療用センサ、エネルギー・グリッド・デバイスのいずれを設計する場合でも、RFの複雑さを軽減し、システム設計を簡素化し、認証済みのコネクテッド製品をより迅速に市場に投入するのに役立ちます。
2027年初頭に登場する次世代のi.MX 93W MPUをご確認ください。