オープンASA-ML規格に基づくSDV向けマルチギガビット・コネクティビティの提供

placeholder

自動車のインテリジェンス性、安全性、そしてソフトウェア・デファインドの度合いが高まるにつれて、高速なデータ転送の必要性がかつてないほど大きくなっています。先進運転者支援システム (ADAS) アプリケーションとインフォテイメント・アプリケーションでは、センサ、ディスプレイ、プロセッサの間を大量のリアルタイム・データがシームレスに非対称モードでやり取りされます。つまり、データが一方向には高速で、もう一方向には低速で転送されます。高解像度カメラ、LiDAR、レーダーを利用した自動運転、同乗者向けの没入型エンターテイメントに対応する最新の自動車には、信頼性の高い低遅延の通信プロトコルが必要です。

しかし、高速車載ネットワーキング・テクノロジの多くは、メーカー独自の技術です。OEMがこのような独自ソリューションを採用した場合、単一のサプライヤに依存することになるため、コストが増加し、拡張性が制限されてしまいます。世界が大きく変化しつつある現在、OEMは過去の開発成果とソフトウェア・コードのすぺてを最大限に再利用しなければなりません。最小レベルの開発業務にも一定のコストが発生し、新しいアプリケーションを開発するたびに急速に累積していきます。そのため、オープンで標準化されたネットワーク・ソリューションが不可欠です。オープンなアプローチを利用することで統合の取り組みが省力化されるため、OEMとティア1はイノベーションの差別化に注力し、市場投入までの時間を短縮することができます。

ASA Motion Link：車載データ・ネットワーキングを一変させるテクノロジ

NXPはこうした重大なニーズを認識し、車両データ・アーキテクチャを変革する高速非対称ネットワーク・ソリューションの分野をリードする企業であるAviva Linksを買収しました。同社のテクノロジは、独自のネットワーク技術を使用するアプローチとは一線を画し、オープンで標準化されたスケーラブルなソリューションを使用して、車両データ・システム全体での相互運用性、セキュリティ、イノベーションを強化するものです。

ASA Motion Linkは、自動車メーカーを特定のベンダ・エコシステムに縛り付けるクローズド・システムとは異なり、NXPが創設パートナーでもあるAutomotive SerDes Alliance (ASA) に準拠したオープン・ネットワーク・フレームワーク上に構築されます。ASAは次の3つの重要なメリットを備え、高速データ通信と新しいアーキテクチャの搭載が求められる次世代自動車に理想的なソリューションとなっています。

  • オープンでシームレスな相互運用性：複数ベンダのADASセンサ、ディスプレイ、ECUを互換性の制約なしに統合できます。このオープンなアプローチによってシームレスな相互運用性が実現するため、車載ネットワーク・アーキテクチャ内で多様なコンポーネントを効率的に連携させることができます。特定のベンダに依存せず、複数のベンダを利用できることから、幅広い業界サポートが得られ、サプライチェーン・レジリエンスが確保されます
  • スケーラビリティとコスト効率：アーキテクチャが標準化されることで、開発が簡素化され、統合の複雑さを軽減し、システム・コストを削減できます。自動車メーカーはオープン・エコシステムやオープン・フレームワークの採用によって、スケーラビリティを高め、自社のアーキテクチャに対して最も費用対効果の高いソリューションを選択できます。このアプローチにより統合プロセスが効率化されるため、新しいテクノロジの導入が容易になり、全体の研究開発コストが削減されます
  • セキュリティの強化：Motion Linkには重要な車両データを保護する強力なセキュリティ機能が組み込まれており、信頼性の高い安全なシステムを容易に構築できます。セキュリティ機能はリンク層にネイティブに組み込まれているため、システムの速度低下と複雑さ増大の原因となる、上位階層でのオーバーヘッドの増加を抑制することができます。これにより、車載ネットワーク内でデータを効率的かつ安全に伝達できます

このように非常に高度な統合コネクティビティ・ソリューションが新たに開発されたことで、車載ネットワーク・ソリューションをリードするNXPの得意分野が補完され、CAN、LIN、さらにイーサネット・スイッチ、物理層デバイスにまで拡大されることになります。現在、Aviva LinksのチームはNXPの一員として活動しています。Aviva Linksのマルチギガビット・テクノロジとネットワーク・プロトコルの分野における豊富なノウハウを、NXPはシームレスに取り込んでいく計画です。

NXPの目標は、柔軟で将来性のある構成要素を利用してSDVを実現し、それを限界のある独自ソリューションを代替する手段とすることです。自動車メーカーが対応を目指している未来のモビリティでは、拡張性とネットワーク性能に優れ、高度な電子制御機能が盛り込まれた車両が求められます。NXPは、自動車メーカーがイノベーションを推進するために必要な柔軟性の高いネットワーク・ソリューションをいつでも提供できます。NXPのASA/ML SerDesテクノロジの詳細については、こちらをご覧ください。

タグ: オートモーティブ

著者

Meindert van den Beld

Meindert van den Beld

NXP Semiconductors上席副社長 兼 車載ネットワーク担当ゼネラル・マネージャ

Meindert van den Beldは、NXPのSVP 兼 製品ライン車載ネットワーク担当ゼネラル・マネージャです。半導体業界において10年の経験を有し、オートモーティブ市場で上級管理職も務めています。デルフト工科大学で機械工学を専攻し、INSEADで経営学修士号 (MBA) を取得しています。