NXPはインダストリー4.0のトレンドに対応し、ソフトウェアによる設定が可能なアナログ入力製品ファミリ(NAFE1ファミリとNAFE7ファミリ)を開発しました。それを基に、インダストリアル分野の計測や制御の用途に対応する精度と柔軟性を備えた次世代型アナログ入出力 (AIO) 製品ファミリとして最初に開発された製品が、NAFE33352です。
NAFE3 AIOファミリはスマート・ファクトリに対応する先進的な機能を備え、インダストリー4.0の主要なトレンドに対応します。さらにこれは、NXPが今後もファクトリ・オートメーション・アプリケーション向けのシステム・ソリューションに取り組み、投資を続けていく姿勢を象徴する製品でもあります。
機械学習を活用したファクトリ・オートメーションとプロセス制御システムの実現
こうしたシステムでは、メイン・コントローラの組込みI/OモジュールまたはリモートI/Oモジュールを使用してセンサ入力を受信し、アクチュエータに信号を出力します。NAFE333352は高いサンプリングレート(入力が576 kSPS、出力が200 kSPS)とクラス最高レベルの精度と正確性(入力が24 ビット、+/-0.005%、出力が18 ビット、+/-0.0025%)を備え、高速かつ正確なデータ処理を必要とする機械学習インダストリアル・アプリケーションに最適です 。
柔軟性とコスト・パフォーマンスに優れた設計
NAFE33352の高集積アーキテクチャは非常に優れた柔軟性を備え、ソフトウェアによる設定に対応しているため、製品のサイズとコストを削減できるだけでなく、研究開発と製造工程の効率性を高めることができます。NAFE3ファミリでは入出力をソフトウェアによりデジタル的に設定でき、手作業が不要なため、市場需要の変化に合わせて工場設備を迅速かつ効率的に適応させるというインダストリー4.0の重要な課題を解決するために役立ちます。
アナログ・フロントエンドは、インダストリアル・オートメーションをどのように変革するのでしょうか。
NAFE333352のメリットについて詳しくは、こちらをご覧ください。
ソフトウェアによる設定が可能なNAFE33352入出力アナログ・フロント・エンドがインダストリー4.0アプリケーションをサポートする
高精度の測定と制御を実現できる設計
AIOファミリの最初の製品であるNAFE33352デバイスは入出力の柔軟性が非常に高く、電圧±12.5V、電流±25mAという広い入出力範囲に対応しています。この幅広い入力範囲により、多様なインダストリアル・アプリケーションで正確な信号処理が可能になり、高精度のデータ取得、監視、制御をサポートします。
NAFE33352デバイスは1つのアナログ入出力 (AIO) と2つのアナログ入力を備えています。今後のNAFE3ファミリ製品として、ピン互換性とファームウェア互換性を備えた1種類のAIOバージョンと1種類のAOバージョンが登場する予定です。NAFE33352の革新的な高集積システム・アーキテクチャは、高精度の18ビットDAコンバータ (DAC)、24ビットADコンバータ (ADC)、低ドリフト電圧リファレンス、低オフセット・ドリフト・バッファ、さらにEMC対策および配線ミスに対応するための70 V入力保護回路を備えた高電圧高精度アンプを、わずか6 mm x 6 mmのパッケージに集約し、ソフトウェアによる設定が可能な本当の意味でのユニバーサル・アナログ入出力を実現しています。解像度の低いバージョンとして、16/14ビットDACと16ビットADCを搭載した製品も用意される予定です。
NAFE33352アナログ・フロントエンドのブロック図
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NAFE3ファミリは、速度と精度の高いアナログ制御ループの設計に役立ちます。搭載する14/16/18ビットDAC、16/24ビットADC、アンプによって、高解像度、単調性、短時間でのセトリング、低ノイズ性などのクラス最高レベルの機能を実現し、次世代の高精度アナログ・ループ制御システムのニーズに対応します。
予知保全のための診断機能
NAFE33352ファミリには出力段と入力段の両方に、高度な診断回路が搭載されています。断線と短絡の検出を目的として、出力段に診断/保護回路が組込まれています。入力段にも高度な診断回路が組込まれているため、異常検出に対応し、予知保全と機能安全に役立ちます。このような診断機能によって、ダウンタイムを最小限に抑え、スマート・ファクトリの運用の信頼性を確保でき、生産効率の改善につながります。
多様なアプリケーションに役立つNAFE33352
NAFE3ファミリは、プログラマブル・ロジック・コントローラ (PLC)、リモートI/O、温度測定、産業用重量計などのアプリケーションに欠かせない機能を備えています。
NAFE33352では入出力が適切な割合 (2:1) で組み合わされ、共有ターミナルを使用したソフトウェアでの設定が可能です。この機能に加え、機能安全実装のための診断機能が組込まれたNAFE33352は、スライスI/OモジュールやリモートI/Oなどの多機能PLCアプリケーションに最適な選択肢となります。
DACソースが高精度かつ低ドリフトであるため、シングル・チャネルまたはマルチ・チャネルの絶縁温度測定システムにも最適です。さらにNAFE33352は、励磁電流が最大25 mAで12.5 Vまでの電圧に対応し、さらにAC励起によってオフセットが排除されるため高い精度が得られることから、産業用重量計やロード・セルのアプリケーションにも対応します。
NAFE33352はスライスI/OモジュールやリモートI/Oなどの多機能PLCアプリケーションに好適
完全にソフトウェアによる設定が可能なAIOモジュールを迅速に設計可能
KITNAFE33352-EVBによって、NXPのアナログ・フロントエンドであるNAFE33352の迅速な評価が可能になります。このソリューションは、アナログ入力モジュールとアナログ出力モジュールの完全なシステム設計を提示するという点でユニークなものです。すぐに利用できるLPC54S018 MCUXpresso SDKドライバと評価用のGUIにより、システム設計をスピードアップできます。
EMC要件を満たし、完全にテスト済みのハードウェア・ソリューションであるため、エンジニアはこの設計を迅速に採用できます。NAFEの供給電圧(+/-15 V、3.3 V)を生成するテスト済みの電源回路、あらゆる種類のアナログ信号からMCUを保護するデジタル・アイソレータ、NAFE33352のソフトウェア設定機能を活用するためのスイッチを備えています。LPC54S018 EVBと接続するために必要な信号はすべてヘッダに送られます。
この製品は、正確性(入力+/-0.005%、出力+/-0.0025%、ユーザー校正後)と精度(入力用24 ビット、出力用18 ビット)の要件が徹底的にテストされています。
KITNAFE33352-EVB評価キットを使用して、ソフトウェアによる完全な設定が可能なアナログ入出力モジュールの設計をスピードアップ
KITNAFE33352-EVBソリューションはグラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) を備えており、ユーザーはNAFE33352を設定して、ロード・セル、電圧、電流、RTD(温度センシング)などを含む複数のアプリケーションを実行することで、追加の評価をすばやく行うことができます。このGUIで、設定パラメータを使って各種センサの評価や試験を簡単に行えるため、パフォーマンスを最適化できます。
KITNAFE33352-EVBソリューションのグラフィカル・ユーザー・インターフェースを使用して、NAFE33352を設定し、複数のアプリケーションを実行できる
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まとめると、幅広い機能を備えたKITNAFE33352-EVBソリューションを使用することで、完全にソフトウェアで設定可能なアナログ入出力モジュールのハードウェアおよびソフトウェアの開発を確実にスピードアップできます。
近日中に、ソフトウェアで設定可能な入出力AFE Arduino®シールド・ボードであるNAFE33352-UIOMによって、NAFE33352を評価する機能がさらに拡張される予定です。このシールド・ボードは迅速な評価をサポートするもので、NXPのFRDM-MCX開発ボードとのプラグ・アンド・プレイ互換性を備えています。ユーザーはNXPのアプリケーション・コード・ハブで配布されているサンプル・コードを使用して、電圧、電流、温度の測定(RTDおよび熱電対)を迅速に実施できるため、開発期間を短縮できます。
インダストリアル・アプリケーションでは長期間の可用性が重要なため、NAFE33352およびNAFE3ファミリのデバイスはNXP長期製品供給プログラムの対象となっています。
まとめと今後の展望
NAFE33352は、NXPの最新のアナログ・フロント・エンド製品で、現在販売中です。AIO-AFEは、PLC、プロセス制御、I/Oモジュール、重量計のアプリケーションに最適です。NXPのアナログ入出力フロントエンド・ファミリの評価用に、KITNAFE33352-EVB(現在提供中)またはNAFE33352-UIOM(近日提供予定)を使用できます。後者はNXPのFRDM開発プラットフォームに含まれ、NXP製マイクロコントローラとの互換性を備えています。今後もこのような革新的なソリューションの最新情報をお届けしますので、ご期待ください。