GS-IMX91QSB: IMX91QSBのスタート・ガイド

最終更新日時: Sep 2, 2025サポート i.MX 91クイック・スタート評価キット

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ソフトウェアの入手
  • 3

    ビルドと実行
  • 4

    開発者エクスペリエンス

1. パッケージの内容

次のセクションでは、i.MX 91 QSBをブートする手順について説明します。

開発キットには以下のものが含まれています。

  • i.MX 91 QSBとM.2モジュール(NXP製Wi-Fi 6トライラジオIW610搭載)
  • 電源:USB Type-C 45 W給電、5 V/3 A、9 V/3 A、15 V/3 A、20 V/2.25 Aをサポート
  • ケーブル:アセンブリ、USB 2.0、Type-Cオス - Type-Aオス
  • ソフトウェア:eMMCにプログラムされたLinux BSPイメージ
  • クイック・スタート・ガイド

パッケージ内容の説明ビデオを見て、i.MX 91 QSBでのアプリケーションの開発を始めましょう。詳細については、i.MX 91アプリケーション・プロセッサのドキュメントをご覧ください。

1.1 ボードの概要

GS-IMX91QSB-IMG1

GS-IMX91QSB

GS-IMX91QSB-IMG2

GS-IMX91QSB

1.2 ブート・オプション

i.MX 91 QSBでは、ビルド済みのNXP Linuxバイナリ・デモ・イメージがeMMCに書き込まれています。内部のバイナリを変更することなく、eMMCからのブートにより、Linux上で他のアプリケーションをビルドするための特定の機能を備えたデフォルトのシステムが提供されます。

NXPの組込みLinux®の詳細については、次のセクションを参照してください。

1.3 USBデバッグ・ケーブルの接続

付属のUSB Type-Cケーブルをデバッグ用UARTポートJ11に接続し、ケーブルのもう一方の端をホスト・コンピュータに接続します。

4つのUART接続がホスト・コンピュータに表示されます。3番目のポートがA55コアのシステム・デバッグ用です。ターミナル・アプリケーションに慣れていない場合は、次のステップに進む前に、Minicomチュートリアル、Tera Termチュートリアル、PuTTYチュートリアルのいずれかのチュートリアルを参照してください。

NXPの組込みLinux®の詳細については、次のセクションを参照してください。

1.4 ブート・スイッチの設定

SW3[1-4]はブート設定用スイッチです。デフォルトでは、ブート・デバイスはeMMC/uSDHC1です。

1.5 ボードの起動

  1. 電源ケーブルを電源コネクタJ13に接続します
  2. スイッチSW5を使用してボードの電源を入れます

プロセッサがオンチップROMコードから実行を開始します。デフォルトのブート・スイッチ設定では、このコードにより、ブータブル・イメージが格納されているメディアを指定するヒューズが読み取られます。ブータブル・イメージが見つかると、U-Bootの実行が自動的に開始されます。

Arm® Cortex®-A55のシリアル・コンソールに情報が表示されます。U-Bootプロセスを停止しない場合は、引き続きカーネルのブートが実行されます。

ボードが起動します。ボードが起動すると、シリアル・ポートからPCにログ情報が出力されます。これで準備が完了しました。

2. ソフトウェアの入手

i.MX Linuxボード・サポート・パッケージ (BSP) は、特定のi.MX開発プラットフォームで組込みLinuxイメージをブートするために使用されるバイナリ・ファイル、ソース・コード、およびサポート・ファイルの集まりです。

Linuxバイナリ・デモ・ファイルの現在のリリースは、Linuxダウンロード・ページにあります。その他のドキュメントは、i.MXソフトウェアおよび開発ツールのLinuxセクションにあるi.MX Linuxドキュメント・バンドルで入手できます。

2.1 概要

i.MX 91 QSBは、eMMCおよびSDカードからのブートをサポートしています。

このスタート・ガイドでは、Linux BSPイメージをSDカードに書き込むいくつかの方法の概要を説明します。経験豊富なLinux開発者は、必要に応じて他のオプションを検討することができます。

2.2 NXP Linux BSPのビルド済みイメージのダウンロード

i.MX 91 QSB用の最新のビルド済みイメージは、Linuxのダウンロード・ページから入手できます。

ビルド済みのNXP Linuxバイナリ・デモ・イメージは、プロセッサの使用および評価のための標準的なシステムと基本的な機能のセットを提供します。システムを変更する必要なしに、ユーザーはハードウェアのインターフェースを評価し、SoC機能をテストし、ユーザー空間のアプリケーションを実行できます。

2.3 Universal Update Utility (UUU) を使用したNXP Linux BSPイメージの書き込み

「パッケージの内容」セクションでの接続に加えて、適切なUSBケーブルを使用してUSB1 (J12) をホスト・マシンに接続します。

ボードの電源を切ります。「1.4 ブート・スイッチの設定」セクションを参照し、シリアル・ダウンロード・プロトコル (SDP) モードでブートするようにボードを設定します。

ホスト・マシンで使用されているOSに応じて、Linux BSPイメージをSDカードに転送する方法は異なります。詳細な手順については、以下のオプションを選択してください。

3. ビルドと実行

このセクションでは、i.MX 91 QSB用Yocto BSPイメージをビルドする方法に加えて、Matterのサポートを追加する方法の概要を説明します。

3.1 i.MX 91 QSB Yocto BSP

i.MX 91 QSB BSPリリースは、Yocto Project 5.2 (Walnascar) を使用したi.MX SW 2025 Q2リリースがベースとなっています。ソース・コードからi.MX 91 QSB BSPイメージをビルドするには、まずi.MX Yocto Projectユーザー・ガイド をお読みになり、Yocto ProjectとYoctoのビルドについて理解してください。その後、以下の手順に従ってi.MX 91 QSB用のイメージをビルドしてください。

  1. i.MX SW 2025 Q2 BSPリリースのダウンロード:
  2. $ repo init -u https://github.com/nxp-imx/imx-manifest -b imx-linux-walnascar -m
    imx-6.12.20-2.0.0.xml
    $ repo sync
  3. Yocto Projectの設定:
  4. $ MACHINE=imx91-9x9-lpddr4-qsb DISTRO=fsl-imx-xwayland source imx-setup-release.sh -b
    bld-xwayland-imx91qsb
  5. SDカードのイメージの書き込み:
  6. 1$ zstdcat imx-image-full-imx91qsb.rootfs.wic.zst | sudo dd of=/dev/sdx bs=1M && sync

    または、uuuを使用してSDカードにイメージを書き込む場合:

    $ uuu -b sd_all imx-image-full-imx91qsb.rootfs.wic.zst
  7. ブート・スイッチSW1[1:4]を「0011」に切り替えてSDカードのブートを選択したら、SDカードを挿入してi.MX 91 QSBの電源を入れます

3.2 i.MX 91 QSBでのMatterのサポート

i.MX 91 QSBはMatterをサポートしています。Matterのサポートを追加するには、以下の手順に従ってYoctoのビルドにMatterのレイヤを含めてください。

  1. i.MX SW 2025 Q2 BSPリリースのダウンロード:
  2. $ repo init -u https://github.com/nxp-imx/imx-manifest -b imx-linux-walnascar -m imx-6.12.20-2.0.0.xml
    $ repo sync
  3. i.MX Matter Yoctoレイヤのダウンロード:
  4. 1$ cd ${MY_YOCTO}/sources/meta-nxp-connectivity
    $ git remote update
    $ git checkout imx_matter_2025_q2
  5. Yocto Projectの設定:
  6. 1$ cd ${MY_YOCTO}
    $ MACHINE=imx91qsb-iwxxx-matter DISTRO=fsl-imx-xwayland source sources/meta-nxp-connectivity/tools/imx-matter-setup.sh bld-xwayland-imx91qsb
  7. イメージのビルド:
  8. $ bitbake imx-image-multimedia

4. 開発者エクスペリエンス

NXPでは、あらゆるスキル・レベルのユーザーが開発を迅速化できるように、プラットフォームのさまざまな特長や機能に基づく広範なサンプル・アプリケーションを提供しています。

4.1 アプリケーション・コード・ハブ

アプリケーション・コード・ハブ (ACH)  リポジトリでは、NXPの社内エキスパートが開発したマイクロコントローラおよびプロセッサのソフトウェア・サンプル、コード・スニペット、アプリケーション・ソフトウェア・パック、デモなどを簡単に見つけることができます。このスペースでは、マイクロコントローラおよびプロセッサのアプリケーションをすばやく簡単に一貫した方法で検索できます。

ACHには、特定のアプリケーションをすばやく見つけるためのフィルタと検索のオプションがあります。Git機能のサポートにより、ユーザーの開発環境でアプリケーションを簡単にインポートして使用できます。

アプリケーション・コード・ハブ (ACH) の詳細については、こちらをご覧ください。

4.2 i.MXアプリケーション・プロセッサ用GoPoint

i.MXアプリケーション・プロセッサ用GoPointは、Linux BSPに含まれているビルド済みアプリケーションを起動するためのユーザー・フレンドリーなアプリケーションで、i.MX SoCのさまざまな機能をすばやく実際に体験してみることができます。いくつかの高度な機能に加え、GitHub で提供されているアプリケーション用のソース・コードとビルド・レシピを使用して、実装のための実用的なソリューションを提供します。

i.MXアプリケーション・プロセッサ用GoPointの詳細については、こちらをご覧ください

デバッグ・ターミナルの設定

Linuxのデバッグ・ターミナル

シリアル通信コンソールの設定

Linuxホスト・マシンのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを実行してポート番号を確認します。

1$ ls /dev/ttyUSB*

3番目のポートがArm® Cortex®-A55用です。

Windowsのデバッグ・ターミナル

シリアル通信コンソールの設定

i.MX 91 QSBのFTDI USBシリアル・チップは、4つのシリアル・ポートを列挙します。ポートがCOM11COM12COM13COM14であるとします。3番目のポート (COM13) はArm® Cortex®-A55からのシリアル・コンソール通信用です。Serial-to-USBドライバは、FTDチップ・ドライバから入手できます。

サポート

トラブルシューティング

セキュリティと整合性

システムのセキュリティと整合性は常に、製品開発において考慮すべき最も重要な側面の1つです。

i.MX 91 QSBは、セキュア・ブート機能と暗号化されたブート機能をサポートしており、デバイスのブート・シーケンス中の不正なソフトウェアの実行を防止し、ブートローダのデータを不正アクセスから保護します。

セキュア・ブート機能の詳細については、アプリケーション・ノート「AHAB対応デバイスのセキュア・ブート」を参照してください。

暗号化されたブート機能の詳細については、アプリケーション・ノート「AHAB対応デバイスのi.MX暗号化ブート」を参照してください。

高速ブート

特定のユース・ケースでは、デバイスのブート時間の要件があります。これは、デバイスのブートを所定の時間内に完了させる必要があることを意味します。

ブート時間を最適化するために、i.MX 91 QSBはU-BootのFalconモードをサポートしています。FalconモードはU-Bootの機能で、SPLがLinuxカーネルを直接起動できるようにすることで高速ブートを可能にします。U-Bootのローディングと初期化を完全にスキップし、ブートローダで費やされる時間を短縮する効果があります。

Falconモードを有効にしてブート時間を最適化する方法については、アプリケーション・ノート「Falconモードとカーネル最適化を使用したi.MX 8Mおよびi.MX 9での高速ブート」を参照してください。