PF9453 QFN評価ボードのスタート・ガイド

最終更新日時: May 18, 2025サポート PF9453AHN-EVB

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ハードウェアの入手
  • 3

    ハードウェアの構成

1. パッケージの内容

NXPのアナログ製品開発ボードは、NXP製品の評価を目的とした使いやすいプラットフォームです。さまざまなアナログ・ソリューション、ミックスド・シグナル・ソリューション、パワー・ソリューションに対応しています。実績のある大容量テクノロジを使用したモノリシック集積回路およびシステム・イン・パッケージ (SiP) デバイスを搭載しています。NXP製品は、最先端システムへの電源供給において、より長いバッテリー寿命、より小さいフォーム・ファクタ、より少ない部品数、より低いコスト、より優れたパフォーマンスを実現します。

このページでは、PF9453 QFN評価ボードをセットアップして使用する手順について説明します。

1.1 キットの内容と同梱物一覧

キットには以下のものが含まれています。

  • 組立て済み/テスト済みの評価ボード(静電気防止バッグ入り)
  • クイック・スタート・ガイド

1.2 追加ハードウェア

このボードの作業をする際は、キットの内容物のほかに以下のハードウェアが必要になるか、または使用すると役立ちます。

  • 電圧範囲2.7~5.0 V、電流制限初期値1.0 A(デフォルト電圧での最大消費電力22 W)の電源
  • オシロスコープ/マルチメータ
  • 電子負荷(オプション)- 各電源レール出力をテスト用の電子負荷に接続可能

1.3 最小システム要件

この評価ボードにはWindows PCワークステーションが必要です。この評価ボードで作業する際は、これらの最低限の仕様を満たすことで良好な結果が得られます。

  • Windows 7、Windows 8、またはWindows 10を搭載したUSB対応のコンピュータ

1.4 ソフトウェア

この評価ボードで作業するには、ソフトウェアのインストールが必要です。記載されているすべてのソフトウェアは、PF9453 QFN評価ボードの情報ページまたは提供されているリンクから入手できます。

  • PF9453評価ボードのグラフィカル・ユーザー・インターフェースにアクセスします
  • 評価キットGUIのzipファイルPF9453_EVB_GUI_1.25.2.21-x64を解凍して、選択したフォルダに入れます。インストールする必要はありません。(解凍する際にパスワードが要求された場合は、「NXP」と入力します)
  • FTDI ChipのページからFTDI D2XXダイレクト・ドライバをインストールします
  • PF9453.exeファイルを実行します。インターフェースのウィンドウを図1に示します

Figure 1. Interface Window

Figure 1. Interface Window

2. ハードウェアの入手

2.1 ボードの特長

  • 以下の4つの降圧レギュレータ:
    • DVSを備えた2.7 A降圧レギュレータ x 1
    • 2 A降圧レギュレータ x 2
    • 2.5 A降圧レギュレータ x 1
    • 以下の3つのリニア・レギュレータ:
      • 10 mA LDO x 1
      • 250 mA LDO x 1
      • 200 mA LDO x 1
    • アクティブ放電抵抗内蔵の400 mAロード・スイッチ
    • 32.768 kHz水晶発振器ドライバおよびバッファ出力
    • システムの特長:
      • 2.7 V~5.5 Vの動作入力電圧範囲
      • 電源オン/オフ制御
      • スタンバイ/ディープ・スタンバイ/実行モード制御
      • 割込み設定
      • Fm+ 1 MHzのI²Cインターフェース(FTDI USB-I²C IC経由)

2.2 ボードの説明

PF9453ボードの概要。

Figure 2. Evaluation Board Default Jumper Configuration

Figure 2. Evaluation Board Default Jumper Configuration
名称 デフォルト 説明
J1 BUCK1_OUT電圧をADC0チャネルに接続
J2 1-2 VSYSおよびPSYS用のソース電圧(PMIC入力電圧)の選択:
  • 1-2 → PMIC入力電圧をUSB Type-Cコネクタから供給
  • 2-3 → PMIC入力電圧を外部コネクタ (J45) またはテスト・ポイント(TP1およびTP3)から供給
J3 BUCK2_OUT電圧をADC1チャネルに接続
J4 LDO1_OUT電圧をADC4チャネルに接続
J5 BUCK3_OUT電圧をADC2チャネルに接続
J6 LDO_SNVS電圧をADC5チャネルに接続
J7 BUCK4_OUT電圧をADC3チャネルに接続
J8 PSYS電圧をADC6チャネルに接続
J9 2-3 VIO用のソース電圧(入力および出力信号用電圧)の選択:
  • 1-2 → VIOソース電圧はLDO_SNVS
  • 2-3 → VIOソース電圧は外部LDO (U2)
J10 1-2 外部LDO (U2) の出力電圧の選択:
  • 1-2 → 外部LDO出力電圧 = 1.8 V
  • 2-3 → 外部LDO出力電圧 = 3.3 V
J11 1-2 SCL_PMIC信号(PMIC I²C信号)をレベル・シフタ (U3) へ通過させるかどうかの選択:
  • 1-2 → SCL_PMIC信号はレベル・シフタ (U3) を通過
  • 2-3 → SCL_PMIC信号はレベル・シフタ (U3) を通過しない
J12 1-2 SDA_PMIC信号(PMIC I²C信号)をレベル・シフタ (U3) へ通過させるかどうかの選択:
  • 1-2 → SDA_PMIC信号はレベル・シフタ (U3) を通過
  • 2-3 → SDA_PMIC信号はレベル・シフタ (U3) を通過しない
J14 2-3 PMIC_ON_REQレベルの選択:
  • 1-2 → PMIC_ON_REQ = ハイ(パワーアップ・シーケンスを開始)
  • 2-3 → PMIC_ON_REQ = ロー(パワーダウン・シーケンスを開始)
J15 2-3 SD_VSELレベルの選択:
  • 1-2 → SD_VSEL = ハイ(LDO5 = 1.8 Vデフォルト出力)
  • 2-3 → SD_VSEL = ロー(LDO5 = 3.3 Vデフォルト出力)
J17 緑色LEDドライバ (U8) をPSYS電圧に接続
J19 2-3 PMIC_STBY_REQレベルの選択:
  • 1-2 → PMIC_STBY_REQ = ハイ
  • 2-3 → PMIC_STBY_REQ = ロー
J20 2-3 LSW_ENレベルの選択:
  • 1-2 → LSW_EN = ハイ(ロードスイッチON)
  • 2-3 → LSW_EN = ロー(ロードスイッチOFF)
J21 1-2 ロードスイッチ入力電圧の選択:
  • 1-2 → ロードスイッチ入力電圧 = BUCK4
  • 2-3 → ロードスイッチ入力電圧 = PSYS
J27 外部LDO (U2) ドライバをPSYS電圧に接続
J56 1-2 SCL接続の選択:
  • 1-2 → SCLをFTDI ICに接続
  • 2-3 → SCLをJ53 Arduinoコネクタに接続
J57 1-2 SDA接続の選択:
  • 1-2 → SDAをFTDI ICに接続
  • 2-3 → SDAをJ53 Arduinoコネクタに接続
J58 2-3 PMIC_ON_REQの接続の選択:
  • 1-2 → PMIC_ON_REQをFTDI ICに接続
  • 2-3 → PMIC_ON_REQをJ55 Arduinoコネクタに接続
J59 2-3 PMIC_STBY_REQの接続の選択:
  • 1-2 → PMIC_STBY_REQをFTDI ICに接続
  • 2-3 → PMIC_STBY_REQをJ55 Arduinoコネクタに接続
J60 2-3 WDOG_Bの接続の選択:
  • 1-2 → WDOG_BをFTDI ICに接続
  • 2-3 → WDOG_BをJ55 Arduinoコネクタに接続
J61 2-3 IRQ_Bの接続の選択:
  • 1-2 → IRQ _BをFTDI ICに接続
  • 2-3 → IRQ _BをJ55 Arduinoコネクタに接続
J62 2-3 POR_Bの接続の選択:
  • 1-2 → POR _BをFTDI ICに接続
  • 2-3 → POR _BをJ55 Arduinoコネクタに接続
J63 2-3 LSW_ENの接続の選択:
  • 1-2 → LSW_ENをFTDI ICに接続
  • 2-3 → LSW_ENをJ55 Arduinoコネクタに接続
J70 2-3 SD_VSELの接続の選択:
  • 1-2 → SD_VSELをFTDI ICに接続
  • 2-3 → SD_VSELをJ55 Arduinoコネクタに接続
J71 PMIC_RET_Bをリセット・ボタン (SW3) に接続
J72 2-3 WDOG_B(ウォッチドッグ・リセット入力)信号の選択:
  • 1-2 → WDOG_B = ハイ(通常動作)
  • 2-3 → WDOG_B = ロー(GNDへプルダウンし、WDOG_BレジスタのI²Cで設定可能なWDOG_B機能を開始)
J73 内部検証専用のジャンパ
J74 2-3 PMIC_RST_Bの接続の選択:
  • 1-2 → PMIC_RST_BをFTDI ICに接続
  • 2-3 → PMIC_RST_BをJ53 Arduinoコネクタに接続
J75 LDO1入力電圧 (INL1) をPSYSに接続
J76 LDO2入力電圧 (INL2) をPSYSに接続

3. ハードウェアの構成

3.1 ハードウェアの構成

図3は、開発ボード、電源、Windows PCワークステーションを含む一般的なハードウェア構成を示しています。

Figure 3. Evaluation Board Featured

Figure 3. Evaluation Board Featured
  1. PF9453 PMIC(QFNパッケージ)
  2. USB Type-Cコネクタ
  3. VPWRおよびグランド入力電源コネクタ
  4. LDO1、LDO2、BUCK3およびBUCK4検出テスト・ポイント
  5. BUCK3およびBUCK4電源テスト・ポイント
  6. デジタル信号ジャンパ・セレクタ
  7. ADCジャンパ
  8. BUCK1、BUCK2およびLDO_SNVS検出テスト・ポイント
  9. LDO1、LDO2、LDO_SNVS、BUCK2およびBUCK1電源テスト・ポイント
  10. I²Cヘッダとテスト・ポイント
  11. FTDI (I²C-USB IC)

図3を参照し、次の手順に従ってPF9453 QFN - EVBをテストします。開始する前に、すべてのジャンパがデフォルトの位置にあることを確認してください。(セクション2.2を参照し、)他のケーブルはPF9453 QFN - EVBに接続しないでください。

  1. マルチメータのプラス端子をTP22 (BUCK2_OUT) テスト・ポイントに接続し、マルチメータのマイナス端子をTP30 GNDテスト・ポイントに接続します。図3を参照してください。ステップ1の箇所は丸数字1で示しています
  2. USB Type-CをPF9453 QFN - EVBに接続します。緑色のLED D4が点灯していることを確認します。図3の丸数字2の箇所を参照してください。注:この構成では、電源供給にUSB Type-Cコネクタを使用しています。USB Type-Cの最大供給能力を超える電力を必要とする可能性のある負荷を接続しないよう配慮してください。USB Type-C電源の許容供給能力を超える電流を必要する可能性のある試験、すなわち効率試験を行う必要がある場合は、外部電源を使用することを推奨します。その設定方法の詳細については、下記の「外部電源を使用する」を参照してください。USB Type-C電源で不足がない場合は、次の手順に進みます。
  3. J14J14 (1-2) のポジションに動かします。図3の丸数字3の箇所を参照してください(これにより、PMIC_ON_REQピンがハイの状態に設定され、PMICがオンになります)
  4. マルチメータのBUCK2のデフォルト電圧を測定します。これは0.85 V(デフォルト電圧)でなければなりません

Figure 4. Using an External Power Supply

Figure 4. Using an External Power Supply

次の手順に従って、外部電源を使用したPF9453 QFN - EVBのテストを開始します。開始する前に、すべてのジャンパがデフォルトの位置にあることを確認してください。(セクション2.2を参照し、)他のケーブルはPF9453 QFN - EVBに接続しないでください。

  1. ジャンパJ2J2 (2-3) のポジションに動かします。外部電源からのPMIC電圧を入力します。図4を参照してください。ステップ1の箇所は丸数字1で示しています
  2. 外部電源をJ45コネクタに接続します。図4の丸数字2の箇所を参照し、プラス端子をJ45(ピン2)に、マイナス端子をJ45(ピン1)に接続してください。外部電源は、プラス端子をTP1 (VPWR) に、マイナス端子をTP3 (GND) に接続することもできます
  3. USB Type-CをPF9453-EVBに接続します。図4の丸番号3の箇所を参照してください
  4. マルチメータのプラス端子をTP22 (BUCK2_OUT) テスト・ポイントに接続し、マルチメータのマイナス端子をTP30 (GND) テスト・ポイントに接続します。図5の丸数字の箇所を参照してください
  5. 電源を5.0 V、1 Aに設定し、電源を入れます。緑色のLED D4が点灯していることを確認します。図4の丸数字5の箇所を参照してください
  6. ジャンパJ14J14 (1-2) のポジションに動かします。図4の丸数字6の箇所を参照してください(これにより、PMIC_ON_REQピンがハイの状態に設定され、PMICがオンになります)
  7. マルチメータのBUCK2のデフォルト電圧を測定します。これは0.85 V(デフォルト電圧)でなければなりません