組込みシステムを設計するには、ハードウェアとソフトウェアのシームレスな連携が必要です。NXP Configuration Toolsは、開発者がシステム設定を合理化し、開発を加速させ、エラーを低減するのに役立つ、包括的で使いやすいソリューションを提供します。
これらのツールには、次の2つの主要バージョンがあります。
- マイクロコントローラ開発向けのMCUXpresso Config Tools
- アプリケーション・プロセッサ向けのConfig Tools for i.MX
どちらも無料ダウンロードまたはWebベースのツールとして提供され、MCUXpresso統合開発環境 (IDE) およびMCUXpresso Installer for Visual Studio (VS) Codeに直接統合されています。
NXPのConfig Toolsが、ピン・マルチプレクスからZephyr統合まで、組込みシステムの設計を簡素化するうえでどのように役立っているかをご確認ください。詳しくは、Appleポッドキャスト、Spotify、またはYouTubeでEdgeVerse Techcastのエピソードをご視聴ください。
ピン構成が簡単に
組込みシステムの設計における基本的なタスクの1つは、入出力 (I/O) ピンの構成です。ピン・マルチプレクスとペリフェラル・マッピングの複雑さが増すにつれて、こうした作業を手動で管理していると、エラーが発生しやすく、時間がかかるようになってきています。ピン・ツールは、このプロセスを簡素化するために、チップ・パッケージを確認し、利用可能な信号を識別して、リソースの競合を回避するためのビジュアル・インターフェースを提供します。リアルタイムの競合検出と、ピンにラベルを付けたり、パッケージ図をプレビューしたり、HTMLまたはスプレッドシートの詳細なレポートを生成したりする機能を備えています。
ハードウェアとソフトウェアをまたいでコラボレーションするチームのために、ピン・ツールは構成の共有とコード生成をサポートしています。変更のプレビューやスタートアップ・ルーチンへの自動統合をサポートしており、開発者は事前定義された構成に従ってピンを初期化するCコード関数をエクスポートできます。
NXPのConfig Toolsを使用すると、開発者はカスタムのソフトウェア開発キット (SDK) をすばやく構築し、ピン、クロック、ペリフェラルを活用して初期化Cコードを生成したり、値を登録したりできます。
視覚的にわかりやすいクロック構成
最新のマイクロコントローラには、多くの場合、複数のクロック・ソース、フェーズロック・ループ (PLL)、および分周器が搭載されており、数十億通りもの構成が可能です。クロック・ツールはクロック・ツリー全体をグラフィカルに表現し、ユーザーが要素を対話的に構成し、その結果として得られる周波数をリアルタイムに表示できます。また、サポートされていない設定を防ぐために制約検証を実行し、ハードウェアベースの試行錯誤の必要性を減らします。
ユーザーは特定の周波数出力をロックし、最適な構成を自動的に決定することができます。複数のクロック・スキームを定義し、ツールで各構成の初期化コードを生成し、ランタイムに柔軟に選択することができます。
ペリフェラルの初期化と構成
ペリフェラル・ツールは、SDKドライバの構成とコード生成を自動化することにより、システムの立ち上げをさらに加速させます。開発者は、ペリフェラルを選択し、モードと設定を調整して、適切なSDKアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API) と統合する完全な初期化コードを受け取ることができます。ツールチェーン・プロジェクトがリンクされている場合、Config Toolsはプロジェクトに正しいソフトウェア・コンポーネントと適切なバージョンを確実に含めます。
また、ピン・ツールとクロック・ツールを使用してペリフェラルの設定を交差検証し、未割り当ての信号や無効なクロックなどの問題にフラグを立てます。DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)を使用するペリフェラルの場合は、リソースの割り当てを最適化できるように、チャネルの使用状況の概要を提供します。
Zephyr RTOSのサポートと今後の機能強化
組込み開発においてZephyrのリアルタイム・オペレーティング・システムの利用が広まる中、NXPは変化するニーズに対応するためにConfig Toolsのサポートを拡張しています。ピン・ツールは既に、Zephyr互換のデバイス・ツリー・ファイルを生成する機能を備えています。目下の開発では、ハードウェアの抽象化とプロジェクトのスケーラビリティをサポートするために、より広範なZephyr統合を提供することを目指しています。
NXP Config Toolsは、開発ワークフローの重要な一端として進化を続け、エンジニアが複雑さを軽減し、一貫性を向上させ、市場投入までの期間を短縮できるよう支援していきます。