受賞歴を誇るNXPのヘルス・インサイト用AIコントローラ (AICHI) は、ヘルスケア分野におけるエッジAIの可能性を示す概念実証です。
私たちは、ヘルスケアAIの概念実証でEdge AI FoundationのBLUEPRINT silver awardを受賞したことを誇りに思っています。今年のConsumer Electronics Show (CES) で初披露されたNXPのヘルス・インサイト用AIコントローラ(AI Controller for Health Insights:AICHI)は、ヘルスケア領域におけるさまざまな課題の複雑さを軽減し、お客様がそれらに対処できるようにすることに焦点を当てています。ヘルスケアでのエッジAIの活用には、画期的な可能性と大きな課題があります。
現代のヘルスケアと現代の問題
最近ヘルスケア施設を訪れたり、その周辺を通ったりする機会があったとすれば、医療のエコシステムに重圧がかかっていることを理解していることでしょう。限られたリソース、従事者の長時間労働、長い待ち時間、さらには予後不良など、その例を挙げると限りがありません。これらの問題が高齢化や過疎化、慢性疾患の増加、熟練従事者の不足といった傾向と相まって、ヘルスケア領域では急速な変化が求められています。有望な解決策となるのがエレクトロニクス分野の変革です。
エッジAIの役割
エッジ対応の人工知能は、そのアジャイルな意思決定と厳格なセキュリティ・プロファイルにより、革新的な変革を推進する重要な要素となります。エッジAIは、デバイス上でデータをローカルで処理することを可能にし、緊急時には迅速な意思決定を行い、重要な処置を講じます。この良い例として、心不全、血糖値や血中酸素レベルの異常、さらには転倒を検出することが挙げられます。また、エッジAIは、機微性の高いデータをデバイス上で処理することを可能にするため、セキュリティの脆弱なネットワークに個人の健康データを転送する機会を減らすことができます。
より迅速な意思決定と対応、プライバシーの向上、コストの削減、およびパーソナライズされた処理は、注目すべき利点といえます。しかしながら、イノベーターはどうやってこれに着手すればよいのでしょうか。
エッジAIには、セキュリティ、コネクティビティ、センシングなどのテクノロジをサポートする適切なハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要です。さらに、最も重要となるのが、これらを統合し、複雑さを軽減して開発を加速できるシステムへと落とし込むためのビジョンです。NXPは、広範なポートフォリオに加え、高度な医療機器からパーソナル・ヘルスケア機器までさまざまなエコシステムの統合で培われたノウハウを有しています。また、セキュリティ領域におけるその主導的役割により、ヘルスケアの文脈においてエッジAIに対応するのに最適な立場にあります。AICHIは、私たちが貢献できるシステム思考の一例といえます。
AICHIの概念実証について
AICHIは、今年のCESで初披露された、受賞歴を誇る 概念実証です。これは、マルチモーダルな健康データをリアルタイムでセキュアに収集、分析するエッジAIプラットフォームの例を示すものです。このAIコントローラは、環境センサや、血圧計、携帯心電計 (ECG) パッチ、グルコース・パッチ、医療用スマートウォッチなどの非侵襲的なヘルスケア機器からの情報を利用します。それらのセンサ・データに対してAIモデルを使用して予測を行い、外部の認定医療従事者に実用的なヘルス・インサイトを提供します。
AICHIは、会話型インターフェース向けのエッジAIと微調整された大規模言語モデル (LLM) (i.MX 95 MPUに内蔵されたeIQ Neutron NPU用に最適化)を活用することで、マルチモーダルな健康データやセンサ・データをリアルタイムでセキュアに収集、分析します。これにより、最高水準のセキュリティと効率を維持しながら、早期の異常検出、パーソナライズされたケア、プロアクティブな介入が可能になります。NXPの概念実証は、リアルタイムの実用的なインサイトがどのように患者とヘルスケア提供者の双方に利点をもたらすかの見本を示します。
こちらから、CESで紹介されたAICHIのハイライト動画 をご覧ください。