近年の技術革新により、超広帯域無線 (UWB) による測距精度が大幅に高まり、日常的な状況でミリ単位の精度が得られると見込まれています。NXPはドイツ企業であるLaterationXYZから、UWBに対応する他のアイテムやデバイスの位置を数ミリ以内の精度で特定する技術の供与を受けました。この新しいソリューションは正確な位置測定とトラッキングが重要となるアプリケーションの新たな可能性を広げ、UWBテクノロジの開発における重要なマイルストーンとなるでしょう。
正確な位置測定とトラッキングが重視される分野で新たな可能性を切り開く
リアルタイムの位置測定の精度が高まることで既存アプリケーションのパフォーマンスが改善されるのはもちろん、新しいユースケースの可能性も広がります。
たとえばゲーム業界の場合、コンソールとハンドヘルド・コントローラ間の距離、またはコンソールとヘッドセット間の距離を正確に測定できるようになれば、エクスペリエンスをさらに高めることができます。製造業の場合は、個々の部品を探して取り付けるために現在使用されている作業用ハンドヘルド・デバイスの精度を大幅に高められるため、生産性の向上と廃棄物の削減につながり、結果的にはコストも削減できます。同様に物流産業や倉庫業の場合も、精度の向上によって簡単かつ効率的に物品をトラッキングして位置を特定できるようになるため、注文への対応が迅速化し、顧客満足度の向上につながります。
UWBは現在主流のテクノロジを超えるミリメートル・レベルの精度を備え、効率性と精度を改善するユース・ケースを実現できる可能性があります。ミリメートル・レベルの精度は、工具配置、拡張現実、ヘルスケア・モニタリング、個人トラッキング、在庫管理、屋内位置測距など、産業分野、商業分野、消費者向けの幅広いユースケースに活用できます。
UWBのメリットを広げる
現状のUWBテクノロジでも数センチメートル以内の精度があり、位置測定に使用されている他のワイヤレス・テクノロジよりもはるかに高精度です。UWBの機能を進化させてミリメートル級の精度を実現することは、UWBがWi-FiやBLEよりも優れている正確な位置測定という優位点を単純に強めることになります。
さらにUWBは、Wi-FiやBLEよりも高い周波数のクリーンな帯域を使用するため、他のワイヤレス・プロトコルと干渉を起こすことがありません。既存のワイヤレス・プロトコルを運用している環境にも、面倒な信号干渉を招くことなく、高精度なUWB位置測定を導入できます。
UWBのもう1つの特筆すべき特長は、原理的にセキュリティ性が高いことです。他のテクノロジでは距離と位置を測定するために信号強度 (RSSI) を使用しますが、UWBではToF (Time of Flight) によって算出します。そのためUWBの測定値の改変は非常に困難であり、リレー攻撃などに対する脆弱性が大幅に小さくなります。
UWBの未来に向けた投資
高精度、互換性、セキュリティというUWB独自の特長は、NXPが早くからこのテクノロジを推進してきた理由の1つです。現在NXPはLaterationXYZの協力を得て、日常生活環境におけるUWBの精度を高め、UWBの可能性をさらに押し広げる取り組みを進めています。
NXPのUWBソリューションであるTrimensionシリーズは、業界で最も広範な位置/距離測定用ポートフォリオの1つです。初めて距離測定機能とレーダーを組み合わせたUWBソリューションなど、斬新なアイデアをもたらし続けるNXPは、今後もUWBテクノロジの進化を牽引します。
UWBの可能性は、これから先もまだまだ広がっていくとNXPは認識しています。お客様や業界組織と協力し、UWBを利用したエクスペリエンスを開発する中で、新たなレベルの精度、互換性、セキュリティを非常に幅広いユース・ケースにもたらすことになるでしょう。
UWBは、私たちの働き方、暮らし方を変えていきます。NXPはUWBを利用したユース・ケースをさまざまな方法でサポートしています。詳細については、こちらをご覧ください。