LEDバックライトを搭載したLCDパネルまたはヘッドアップ・ディスプレイ (HUD) でローカル・ディミングを行うことで、車載ディスプレイに必要なシャープなコントラストが得られ、画面のウォッシュアウトやグレアの発生が抑えられるため、車両走行時の安全性が改善されます。それだけでなく、OLEDよりも消費電力を小さくし、コストを抑制できます。NXPのi.MX 952アプリケーション・プロセッサは、ローカル・ディミングを簡単に実装できるため、安全性が重視される車載ディスプレイに非常に適しています。
画面の見やすさは交通安全に重要
くっきりとした表示で見やすい車載ディスプレイは、交通安全に不可欠です。速度計、ナビゲーション・メッセージ、警告など、ディスプレイにはドライバーが前方の道路状況を予測するために欠かせない重要な情報が表示されます。研究によると、コントラストが高く明るいディスプレイは注意力の低下を予防し、判断力を高める効果があるとされています。
自動車や二輪車のディスプレイの可読性を高めることで、さまざまな環境における運転時の安全性が改善されます。
しかし、スマートフォン並みの表示品質を求める消費者の声に応えるために、曲面や自由形状の大型デジタル・ディスプレイが自動車に導入されるようになった結果、可読性の確保がますます難しくなっています。デジタル・コネクテッド・クラスタ (DCC)、独立型ヘッド・ユニット、セカンダリ・ディスプレイ、サラウンド・ビュー・システムについては、強い環境光や直射日光の中でも、高解像度のグラフィックスとダイナミック・コンテンツを表示できることが求められます。
これは、ディスプレイが外部に露出して外光にさらされることが多いモーターサイクルや2輪・4輪の軽量電動車両 (LEV) では、特に大きな問題になります。さらにヘッドアップ・ディスプレイ (HUD) でも、夜間の見やすさを損なうことなく明瞭さを維持する必要があります。
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i.MX 952プロセッサでダイナミック・ローカル・ディミングを実現する方法については、こちらをご覧ください。
ディスプレイのコントラストを高めて電力を節約
ローカル・ディミングは、ディスプレイ上で暗く表示される部分のLEDバックライトを選択的に減光することで、暗所を暗い灰色ではなく真の黒として表現し、可読性の問題を解消します。これにより、明るく表示する部分の明るさを強めなくても、画像のコントラストが大幅に高まります。周囲がどのような明るさでも、ディスプレイの鮮明さと読みやすさが維持されるため、ドライバーは画面に集中して必要な情報を得ることができます。
ディスプレイの暗い部分を消灯することで、必然的に消費電力が減少します。これは特に電気自動車などの電源容量に制約のある車載環境では、大きなメリットです。また、廃熱の総発生量も減るため熱管理が容易になり、ディスプレイ・システム全体のコストが削減されます。この熱処理の改善は、特にHUDで効果的です。HUDはフロントガラスに画像を投影するために非常に強い光源を使用するため、発熱量が大きく、それを冷やすために必要な冷却ソリューションにコストがかかる場合があるからです。
付加的なメリットとして、コントラストが高まることで画像が鮮明に見え、ディスプレイの品質が向上したように感じられるため、価格以上の価値が得られるという印象をユーザーに与えることができます。ローカル・ディミングによって、コストの高いOLEDディスプレイやマイクロLEDディスプレイを導入することなく、このようなメリットがすべて得られます。
高コントラストの実現には複雑な処理が必要
ローカル・ディミングでは、ディスプレイを数百個のゾーンに分割し、表示コンテンツに応じて各LEDを個別に制御する必要があります。そのためには、明るさの変化を補正し、角型のエッジなどの偽像が発生しないように、ピクセル・レベルの処理をリアルタイムで実行する必要があります。この処理を1フレームごとに実行するため、膨大なコンピューティング・リソースが必要です。さらに、交通安全に重要な役割を果たす車載ディスプレイでは、重要な情報が常に正しく表示されるよう、ピクセル調整機能の安全を確保する必要があります。
ローカル・ディミングを使用したインストルメント・クラスタのコンテンツ表示の簡単な例
i.MX 952アプリケーション・プロセッサ:スマート性の高いソリューション
以上のような課題があるため、一般的にローカル・ディミングでは特別に設計された専用チップが使用されてきました。しかしそれでは、コストと複雑さが増大することになります。NXPのi.MX 952アプリケーション・プロセッサはローカル・ディミングをディスプレイ処理パイプラインに直接統合しているため、追加のハードウェアが不要です。
実績のあるi.MX 95アプリケーション・プロセッサ・ファミリの拡張版であるi.MX 952プロセッサは、強力なAIアクセラレーション・ビジョン処理と没入型グラフィックス機能を組み合わせています。グラフィック、ビデオ再生、アニメーション・コンテンツに加えて、ローカル・ディミングのためのリアルタイム・ピクセル補正を処理できます。さらに、車載アプリケーションに不可欠な機能安全ピクセル処理をサポートしています。
i.MX 952プロセッサは、ローカル・ディミングをメイン・プロセッサに統合することで、システム・アーキテクチャを簡略化し、ハードウェアの複雑さを抑えて、システム全体のコストを削減しています。また、熱管理機能の必要性が減ることは、スペースが限られているシステムでは非常に大きなメリットです。
車載ディスプレイ改善への早道
ローカル・ディミングは、コストと消費電力を抑えながら車載ディスプレイのコントラストと見た目の品質を改善する手段であり、交通安全の促進にも役立ちます。i.MX 952プロセッサは、世界で初めてローカル・ディミング機能を内蔵した車載ディスプレイ用ディスプレイ・プロセッサであり、簡単かつ低コストで高い安全性をもたらします。ローカル・ディミング、ビジョン処理、NXPのi.MX 952アプリケーション・プロセッサの詳細については、こちらをご覧ください。