ホーム・オーディオは急速に進化しており、自宅でも映画館のような臨場感あふれるサウンドを求める消費者の間で需要が高まっています。サウンドバーがその中心のオーディオ・ハブとなっていますが、セットアップが複雑で、スピーカの厳密なレイアウトが求められることが現在も導入の妨げとなっています。NXPは、StreamUnlimited と連携し、容易なセットアップとカスタマイズされた配置を可能にするリファレンス実装を提供することで、これらの制約に対処しています。
ホーム・オーディオ・システムは、従来のような複数コンポーネントのセットアップの複雑さを伴わずに映画館並みの臨場感を実現するよう、進化し続けています。サウンドバーは、ホーム・オーディオ・ソリューション全体の中心となるスピーカとして普及が進んでおり、かつては専門業者によるセットアップや専用のシアター・スピーカでしか得られなかったパフォーマンスを提供できるようになっています。イマーシブ・フォーマット(Dolby Atmos®、DTS:X®、360 Reality Audio™、MPEGH Audio™)対応のローカル・ソースやストリーミング・サービスに接続され、高度な後処理およびより多くのチャネル数が標準となりつつあります。
配置の問題
リモート・スピーカの位置決めは、ほとんどの設計が理想的な位置に固定配置されたスピーカ向けに構築されていることから、ホーム・オーディオ・システムのセットアップにおいて最も困難な側面の1つであり続けています。Dolby Atmos® FlexConnect™などの柔軟なレンダラーでは、システムがイマーシブ・レンダリングを任意のレイアウトや聴取者の位置に適応させるため、ワイヤレス・スピーカをどこにでも置けるようになります。しかし、この柔軟性を最大限に活かすには、室内の各スピーカの位置をシステムが正確に把握する必要があります。これは、UWBによる空間測距とセンシングによって劇的に変わります。適応型のイマーシブ・レンダリングとモジュール式の組込みオーディオ・プラットフォームに、UWBによる空間測距とセンシングを組み合わせることで、セットアップが簡単でどこにでも配置できる次世代のホーム・オーディオが実現します。
イマーシブ・オーディオは、もはや音質のみならず、インテリジェンスと適応性、そしてセットアップに伴う労力の排除も意味します。弊社は、NXPと緊密に連携することで、UWBによる高精度の測距、信頼性の高いワイヤレス配信、および量産対応のソフトウェア・スタックを統合したプラットフォームを構築しました。これはオーディオのOEMにとって、リモート・スピーカの柔軟なレイアウトや次世代のイマーシブ製品の迅速な開発へとつながるスケーラブルで低リスクの道筋をもたらすものです。
StreamUnlimited、ワイヤレス・テクノロジ担当テクニカル・マネージャ、Clement Arnardi氏
真に柔軟で適応性のあるレンダリング・ソリューション
NXPとStreamUnlimitedは連携を通じて、高度にスケーラブルで、容易に統合でき、配置における真の柔軟性を備えた、ユーザー・フレンドリーなホーム・オーディオ・システムの構築を支援するリファレンス実装を開発しました。このリファレンス・システムは、StreamUnlimited Stream1955 モジュールとNXP Trimension® SR250超広帯域無線 (UWB) 集積回路 (IC) をベースとしたサウンドバー・プラットフォームを中心として、室内のどこにでも設置できるワイヤレス・スピーカ(Trimension SR150 UWBソリューション搭載)に接続し、あらかじめ定められたレイアウトによる制約を排除します。
UWBをイマーシブ・オーディオにとって非常に魅力的なものにしているのは、高精度の測距とレーダー・ベースのセンシングの組み合わせです。この空間認識により、システムが現実世界の環境やユーザーの行動に適応し続けることが可能になります。UWBは、Dolby Atmos FlexConnectなどのテクノロジと組み合わせることで、次世代のホーム・オーディオ製品を差別化する唯一無二の応答性を備えたリスニング体験を創出するのに役立ちます。
NXP Semiconductors、UWBマーケティングおよび製品管理担当ディレクター、Sunil Jogi
リファレンス実装
Stream1955モジュールは、次世代のオーディオ・デバイスのための柔軟でスペース効率に優れた基盤を提供します。先進的なネットワーク・オーディオ製品を強化するように設計された、コンパクトで高性能な組込みLinuxオーディオ・コンピューティング・モジュールであり、デコードからレンダリングに至るまで、包括的なストリーミング・オーディオ・スタックおよびオーディオ・パイプラインのホストとして機能します。このモジュールは、標準化されたI²S (Inter-IC Sound) インターフェースを使用したマルチチャネル(最大16)オーディオI/Oを備えています。
NXPのゴールドパートナーであるStreamUnlimitedは、システムに関する深い専門知識と量産対応のソフトウェア・プラットフォームを提供しています。同社については、パートナーのプロフィール で詳細をご確認ください。
NXPのインダストリアル&IoT向けUWBポートフォリオは、最新のスマートホームおよびオーディオ・ソリューションに、高精度で信頼性の高い空間認識をもたらします。Trimension SR250は、UWBによるセキュアな測距と内蔵センシングを兼ね備えており、デバイスが室内の人や物体の存在、動き、正確な位置を検出できるようなります。Trimension SR150は、正確な測距と位置特定に重点を置いており、数センチメートル以内の精度で距離を測定するとともに、方向を特定し、シンプルながらも信頼性の高い位置追跡を必要とするデバイスに最適です。これらはともに、柔軟なスピーカの配置や、よりスマートで応答性に優れたホーム・エクスペリエンスを実現します。
システム最適化の鍵となるUWBによる空間測距とセンシング
ホーム・オーディオ・システムにおいて、UWBレーダー・テクノロジは、聴き手の位置を正確に追跡し、最も良い音で聞こえる最適位置(スイート・スポット)を作り出すことで、スピーカの最適な配置を可能にします。
- UWBベースの聴き手およびスピーカの位置特定:聴き手の位置は、シリアル・ペリフェラル・インターフェース (SPI) 経由でStream1955に接続されたTrimension SR250 UWBレーダーを使用するか、代わりにUWB対応スマートフォンを使用して検出できます。メイン・ユニット内のTrimension SR250が、Trimension SR150を搭載した複数のスピーカからの距離と角度の測定を調整および実行し、完全かつ正確な空間モデルを迅速に構築します
- ワイヤレス・オーディオ配信:システムが部屋を認識すると、Stream1955が最大12のオーディオ・チャネルをレンダリングし、I²S経由でローカルのDAコンバータ (DAC) または低遅延ワイヤレス・トランスミッタに出力します。一部のチャネルではBluetooth® Low Energy (BLE) オーディオを利用可能ですが、よりチャネル数が多い没入型のセットアップでは、ローカル・レンダリングとの組み合わせによってさらなるメリットが得られ、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク (WLAN) または周波数偏移変調 (FSK) ベースのリンクを通じて約20 msのレイテンシを実現し、最大8つの48 kHz/24ビット・チャネルをサポートできます。
- 柔軟なスピーカの役割:このセットアップのもう1つの利点は、スピーカごとに個別の役割をサポートできることです。それは、比較的シンプルなイマーシブ・サテライト(MCU、ワイヤレス・レシーバ、位置特定用のTrimension SR150の組み合わせ)から、Stream210 のような完全自律型ですべてが揃ったLinuxベースのWi-Fi 6E/LE対応ストリーミング・スピーカにまで及びます。このような柔軟性は、スタンドアロンで使用したり、シームレスに統合したり、イマーシブ・システムを形成したりできる、混合スピーカ構成を可能にします
StreamUnlimitedとNXPの連携によるリファレンス実装は、UWBによる空間測距とセンシング、適応型のイマーシブ・レンダリング、およびモジュール式の組込みプラットフォームがどのように連携し、イマーシブ・オーディオ・ソリューションのアクセシビリティを向上させるのかを浮き彫りにします。このアプローチは、自動かつセンチメートル単位の精度で行われるスピーカ・マッピングと柔軟なワイヤレス配置により、セットアップ・プロセスを大幅に合理化し、スケーラブルな次世代のホーム・オーディオ製品への道を切り拓きます。