PCA9422評価ボードのスタート・ガイド(ユーザー・マニュアル )

最終更新日時: 2025-11-07 10:30:00サポート PCA9422-EVB

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ハードウェアについて
  • 3

    ハードウェアの構成

1. パッケージの内容

NXPのアナログ製品開発ボードは、NXP製品の評価を目的とした使いやすいプラットフォームです。さまざまなアナログ・ソリューション、ミックスド・シグナル・ソリューション、パワー・ソリューションに対応しています。実績のある大容量テクノロジを使用したモノリシック集積回路およびシステム・イン・パッケージ (SiP) デバイスを搭載しています。NXP製品は、最先端システムへの電源供給において、より長いバッテリー寿命、より小さいフォーム・ファクタ、より少ない部品数、より低いコスト、より優れたパフォーマンスを実現します。

このページでは、PCA9422ボードをセットアップして使用する手順について説明します。

1.1 キットの内容と同梱物一覧

キットには以下のものが含まれています。

  • 組立て済み/テスト済みのPCA9422-EVB評価ボード(静電気防止バッグ入り)
  • 利用可能な評価ボード・リビジョンは以下のとおりです。
    • SCH Rev F1には、すべての降圧レギュレータを4 MHzで動作させるPCA9422B PMICバージョンが含まれています。
    • SCH Rev F2には、すべての降圧レギュレータを2 MHzで動作させるPCA9422M PMICバージョンが含まれています。
  • USB-Cケーブル
  • 予備ジャンパ

1.2 追加ハードウェア

このボードの作業をする際は、キットの内容物のほかに以下のハードウェアが必要になるか、または使用すると役立ちます。

  • 1セル・リチウムイオン・バッテリー
  • 5.0 V電源または十分な電流容量を備えたUSB(最大出力には、VIN = 1.2 A以上、VBAT = 3.2 A以上が必要です)
  • Windows PCにインストールされたPCA9422 GUI
  • レギュレータ出力またはその他の電圧の測定用のマルチメータ
  • オシロスコープ(オプション)
  • Windows 7、8、または10で動作するUSB対応コンピュータ

1.3 ソフトウェア

PCA9422 GUIは、PCA9422にある評価ボードの情報ページ、またはこのガイドの「設計・リソース」セクションで提供されているリンクから入手可能です 。必ずWindows PCにPCA9422 GUIがインストールされていることを確認してください。

2. ハードウェアについて

PCA9422は高集積のパワー・マネジメントIC(Power Management IC:PMIC)であり、低消費電力マイクロコントローラ・アプリケーションまたは類似のアプリケーション向けの完全なパワー・マネジメント・ソリューションを提供します。

2.1 ボードの特長

このデバイスは、最大640 mAの電流で充電できるリニア・バッテリー・チャージャで構成されています。また、I²Cでプログラムできる定電流(Constant Current:CC)値および定電圧(Constant Voltage:CV)値を備えており、柔軟な設定が可能です。安全なバッテリー充電のために、入力過電圧保護、過電流保護、過熱保護などのさまざまな保護機能も内蔵しています。さらに、JEITAの充電プロファイルにも準拠しています。

このデバイスは、I²Cでプログラム可能な出力電圧を備えた3個の降圧DC/DCコンバータも内蔵しています。すべての降圧レギュレータには、外部コンポーネントの数を最小限に抑えるために、ハイサイドおよびローサイド・スイッチならびに関連する制御回路が内蔵されており、軽負荷の状況では、パルス周波数変調 (PFM) アプローチを利用して優れた効率を実現します。過電流保護や低電圧ロックアウト (UVLO) など、その他の保護機能も提供されています。デフォルトでは、これらのレギュレータの入力は、VINまたはVBATのいずれか大きい方から電力が供給されます。

1個の昇降圧コンバータは自己消費電流が極めて低く、バッテリー電圧よりも高いまたは低い電圧を必要とするシステム・ペリフェラルに電力を供給するように設計されています。降圧、昇降圧、昇圧モード間でシームレスに遷移し、出力電圧リップルの不連続性やサブハーモニックを最小限に抑えます。

さらに、システム内のさまざまな電圧レールに電力を供給するために、4個のオンチップLDOレギュレータが備わっています。1個のLDOはSNVSコア電源用であり、ロードスイッチ機能を備えた2個の200 mA NMOS LDOは、降圧レギュレータ出力から低出力電圧への制御が可能です。残りの1個の200 mA PMOS LDOは、マイクロコントローラまたは周辺機器に電力を供給するために使用されます。他にも、FM+ I²Cバス・インターフェース、デバイス・イネーブル、割込み信号などの機能が備わっています。

チップは、2.90 mm x 3.00 mm、7 x 7バンプ、0.4 mmピッチのWLCSPパッケージで供給されます。

  • シングル・セルのリチウムイオン・バッテリー充電用リニア・バッテリー・チャージャ
    • 26 VトレラントのVINピン
    • プログラム可能な入力OVP (5.5 V)
    • プログラム可能な定電流(最大640 mA)とプリチャージ低電圧電流しきい値
    • プログラム可能な定電圧レギュレーション
    • プログラム可能な自動再充電電圧および終端電流しきい値
    • 入力過電圧保護 (OVP)、バッテリー過電流保護 (OCP)、過熱保護などの保護機能を内蔵
    • JEITA準拠
    • バッテリー接続の検出
    • 過熱保護
  • 3個の降圧DC/DCコンバータ
    • 非常に低い自己消費電流
    • プログラム可能な出力電圧
    • SW1:コア降圧コンバータ、0.4 V~1.975 V出力、6.25 mV/ステップ、最大500 mA
    • SW2:システム降圧コンバータ、0.4 V~3.4 V出力、25 mV/ステップ、最大500 mA
    • SW3:コア降圧コンバータ、0.4 V~1.975 V出力、6.25 mV/ステップ、最大500 mA
    • さらに省電力を実現する低消費電力モード
  • 1個の昇降圧コンバータ
    • 極めて低い自己消費電流
    • 高効率の昇圧モード
    • 降圧、昇圧、昇降圧モード間のシームレスな遷移
    • 2.5 V~5.5 V入力、1.8 V~5.0 V出力、25 mV/ステップ、最大500 mA
  • 4個のLDO
    • プログラム可能な出力電圧レギュレーション
    • LDO1:常時オンLDO、0.8 V~3.0 V出力、25 mV/ステップ、最大10 mA
    • LDO2:システムLDO/ロードスイッチ、0.5 V~1.95 V出力、25 mV/ステップ、最大200 mA
    • LDO3:システムLDO/ロードスイッチ、0.5 V~1.95 V出力、25 mV/ステップ、最大200 mA
    • LDO4:LDO、0.8 V~3.3 V出力、25 mV/ステップ、最大200 mA
  • 1 MHz I²Cバス・ターゲット・インターフェース
  • -40°C~+85°Cの周囲温度

2.2 ボードの説明

PCA9422ボードの概要。

Figure 1. PCA9422-EVB Main Board Blocks

PCA9422-EVB Main Board Blocks

表1. ボードの説明。

番号 ブロック 説明
1 USB-C入力 PCA9422B用の5 V USB電源と通信ポート
VIN_SEL VINの選択、外部電源またはUSBからの5 V
2 外部PS 外部5 V電源入力
外部LDO オンボードLDO出力電圧テスト・ポイント
3 DVS_CTRL DVS0、DVS1、DVS2用ロジック電圧の選択
電圧プルアップ 割込み、実行モード、DVS、I²C用の電圧ロジックと電圧レベルの選択
4 実行モード選択 SLEEP_MODE0ピンとSTBY_MODE1ピンを介した実行モードの選択
外部LDO Vout選択 オンボードLDO出力電圧の選択
5 降圧Vout SW1~SW4:出力電圧テスト・ポイント
6 PMIC PCA9422 PCBフットプリント領域
7 PMIC_OUT AMUXおよびすべてのレギュレータ出力のヘッダ
8 LED VSYS LEDおよびLED_DRVR用ジャンパ
9 SWITCH1 ONピンに接続されるプッシュ・ボタン
10 LDO Vout LDO1~LDO4:出力電圧テスト・ポイント
11 SDAおよびSCL電圧 I²Cライン電圧レベルの選択(3.3 Vまたは1.8 V)
12 FT_AR FTDIチップまたはArduino選択用はんだジャンパ
13 VREG_IN、LDO3_IN 外部LDO(VBATまたはUSB_5V0)およびLDO3_IN(VSYSまたはSW3_OUT)の入力選択
THERM サーミスタまたは抵抗の選択
14 システム電圧 VIN、VBAT、VSYS、および内部電圧(VIN、VL)テスト・ポイント
15 VBAT入力 バッテリー・セルの接続オプション
16 SWITCH2 FTDIリセット・ピンに接続されるプッシュ・ボタン
17 USB_5V0 USB-C出力電圧テスト・ポイント
18 FTDI_IN FTDIおよびADC回路ブロック用VSYS/5 V USBの入力選択ジャンパ
19 FRDM/ARDUINO接続 NXP FreedomおよびArduino UNOボードと互換性のあるI/Oヘッダ
20 ADCセンシング レギュレータおよび信号モニタリング用ADC領域とはんだジャンパ
21 FTDI USBからI²Cへの通信 オンボードUSBからI²Cへの通信回路

3. ハードウェアの構成

3.1 ハードウェアの構成

図2は、開発ボード、電源、Windows PCワークステーションを含む一般的なハードウェア構成を示しています。

Figure 2. PCA9422-EVB Board Description

Figure 2. PCA9422-EVB Board Description

図2に示すように、ワイヤを以下のピンに接続します。配線作業中は、必ず電源がオフであることを確認してください。

  • リチウムイオン・バッテリー - VBATテスト・ポイントまたはコネクタに接続
  • VIN入力 - USB-Cコネクタまたは外部電源で給電

図3は、評価ボード上のジャンパの位置を示しています。

Figure 3. PCA9422-EVB Jumpers

Figure 3. PCA9422-EVB Jumpers

表2. ジャンパの説明とデフォルト設定。

ジャンパ 説明 設定 接続/結果
J24 VIN選択 [1-2] USB電源入力
[2-3] 外部電源入力
J8 INTB、SYSRSTn、および実行モードのプルアップ電圧の選択 [1-2] 外部LDOへのプルアップ(3.3 Vまたは1.8 V)
[2-3] LDO1_OUTへのプルアップ
J30 I²CおよびDVSピンのプルアップ電圧 LDO2_OUTへのプルアップ
J40 外部LDO電圧の選択 [1-2] 1.8 V
[2-3] 3.3 V
J41 STBY_MODE1用ロジック設定 [1-2] ロジック・ハイ
[2-3] ロジック・ロー
J42 SLEEP_ MODE0用ロジック設定 [1-2] ロジック・ハイ
[2-3] ロジック・ロー
J6 AMUXを含む、すべてのレギュレータ用の電圧モニタリング・ヘッダ - ピン配置:
1: BUCK-BOOST出力
2: BUCK3出力
3: BUCK2出力
4: BUCK1出力
5: LDO4出力
6: LDO3出力
7: LDO2出力
8: LDO1出力
9: AMUX
10: GND
J51 システム電圧LED システム・ステータス・インジケータLED
J22 LEDドライバ LEDドライバを使用可能にするにはジャンパを閉じる
J46~J47 SCL/SDA電圧レベルの選択 [1-2] 1.8 Vロジック
[2-3] 3.3 Vロジック
SJ16~SJ26 FTDIまたはFRDM/Arduinoの選択 [1-2] 信号をオンボードFTDIに接続
[2-3] 信号をFRDM/Arduinoに接続
J14 サーミスタ/抵抗の選択 [1-2] 10 Kオンボード抵抗に接続
[2-3] 10 Kオンボード・サーミスタに接続
J13 オンボードLDOの入力選択 [1-2] 入力としてVINを選択
[2-3] 入力としてVBATを選択
J28 LDO3の入力選択 [1-2] 入力としてSW3_OUTを選択
[2-3] 入力としてVSYSを選択
J45 バッテリーの接続 - VBAT(高電流テスト)用電源コネクタ
J51 バッテリーの接続 - VBAT用コネクタ・ヘッダ(バッテリー・セルで共通)
J19、J9、J7 DVS0-DVS2ロジック・レベルの選択 [1-2] ロジック・ハイ
[2-3] ロジック・ロー
J29 FTDI/ADC入力電圧の選択 [1-2] 入力としてUSB_5V0を選択
[2-3] 入力としてVSYSを選択
J1~J4 I/Oヘッダ - NXP FreedomおよびArduinoと互換性のあるI/Oヘッダ
SJ1~SJ11 ADC電圧および信号モニタリング スタンバイ消費電流を低減するには接続を開く

設計・リソース

ボードに関するドキュメント

一部のお客様のみが利用できます。機密保持契約 (NDA) への同意が必要です。詳細については、NXPの営業担当者までお問い合わせください。

その他の参考情報

PCA9422のページに加えて、以下のページもご覧ください。