EV-INVERTERGEN3 EVトラクション・インバーター制御リファレンス・デザイン第3世代のスタート・ガイド

最終更新日時: May 11, 2025サポート EV-INVERTERGEN3

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ソフトウェアの入手
  • 3

    接続
  • 4

    ビルド、実行、ロード
  • 5

    アプリケーション制御

1. パッケージの内容

NXPのEVトラクション・インバーター第3世代SiC MOSFETイネーブルメント・キットは、SiC MOSFETモジュールを使用して、電気自動車のトラクション・モーターを制御するトラクション・インバーター・モジュールを開発するお客様向けに設計されています。

このページでは、EVトラクション・インバーター制御のリファレンス・デザイン第3世代 (EV-INVERTERGEN3) をセットアップして使用する手順について説明します。

1.1 EV-INVERTERGEN3の概要

EVトラクション・インバーター制御リファレンス・デザイン第3世代

EV Traction Inverter Control Gen 3 Overview

EV-INVERTERGEN3

EV-INVERTERGEN3 Callouts

EV-INVERTERGEN3 Callouts

EV-INVERTERGEN3キットには、次のものが含まれます。

  • MCU制御ボード (S32K396-HPWR-MC)

MCU Control Board Overview

S32K396-HPWR-MC
  • ドライバ制御ボード (EV-POWEREVBHD2)

Driver Control Board Overview

EV-POWEREVBHD2
  • ホール・エフェクト電流センサ向けの三相出力バスバー
  • S32K396-HPWR-MCボードとEV-POWEREVBHD2ボード間の接続用6ピンおよび46ピン・ヘッダ・コネクタ

EVトラクション・インバーター制御リファレンス・デザイン第3世代を構築するには、EV-INVERTERGEN3キットの他に、追加のハードウェアが必要です。NXPのパートナーであるVepcoがそのようなコンポーネントを提供していますが、お客様がトラクション・インバーターのセットアップを独自に構築することもできます。

  • SiC HybridPACKフットプリント・モジュール
  • SiC HybridPACKフットプリント・モジュールに対応した冷却板またはウォーター・ジャケット
  • DCリンク・キャパシタとSiC MOSFETモジュール間のバスバー
  • DCリンク・キャパシタ
  • 23ポジション信号コネクタAMPSEAL (PN 770680-1)(オプション)
  • 信号コネクタからモーター・レゾルバ励起への高電圧シールド・ケーブル(2線)(オプション)
  • 信号コネクタからモーター・レゾルバ・センス信号、CAN、信号などへの低電圧シールド・ケーブル(21線)(オプション)
  • S32K396-HPWR-MC MCU制御ボードをEV-POWEREVBHD2ドライバ制御ボードに接続するための46ピン・フラット・リボン・ケーブル(オプション)
  • コンポーネントの機械的支持のためのボード・スタンドオフ(オプション)

トラクション・インバータの開発には、次のツールとコンポーネントが必要です。

  • 12 V低電圧DC電源
  • 高電圧DC電源(例:モーター用の800 VDC程度の電源)
  • USB-CANインターフェース(例:PCAN-USB)
  • Arm互換JTAGデバッグ・インターフェース(例:PEmicro Multilinkデバッグ・プローブ)
  • 三相永久磁石同期 (PMSM) モーター
  • 電源入力用の高電圧ケーブル(2線)
  • モーター用の高電圧ケーブル(3線)
  • 12 V DC電源からMCU制御ボードに電源を供給するための低電圧ケーブル

EV Traction Inverter Gen 3 SiC MOSFET Enablement Kit Application Diagram

EV-INVERTERGEN3 Block Diagram

1.2 S32K396-HPWR-MCの特長

S32K396-HPWR-MC MCU制御ボード。

S32K396-HPWR-MC Callouts

S32K396-HPWR-MC Callouts

1.3 EV-POWEREVBHD2の特長

EV-POWEREVBHD2ドライバ制御ボード。

EV-POWEREVBHD2 Callouts

EV-POWEREVBHD2 Callouts

2. ソフトウェアの入手

資格情報を使用してnxp.comにサインインします。

2.1 S32 Design Studioの入手

S32 Design Studio for S32 Platform v.3.6.1をダウンロードしてインストールします

S32 Design Studio Download and Installation Pt. 1

Getting and Installing the Software - Step 1

S32 Design Studio Download and Installation Pt. 2

Getting and Installing the Software - Step 2

2.2 リアルタイム・ドライバのダウンロード

S32K3_S32M27x Real-Time Drivers ASR R21-11 Version 5.0.0をダウンロードします

Getting and Installing the Software - Step 3

Selecting S32K3_S32M27x Real-Time Drivers Version 5.0.0

Getting and Installing the Software - Step 4

Downloading S32K3_S32M27x Real-Time Drivers Version 5.0.0

Getting and Installing the Software - Step 5

2.3 RTDドライバのインストール

S32DSで、トップ・メニューから[Help(ヘルプ)]→[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]の順に進み、[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]ダイアログを開きます。

[Add Update Sites(更新サイトを追加)]をクリックし、ダウンロードしたRTD *.zipファイルを参照します。

Installing the RTD Drivers Pt. 1

Getting and Installing the Software - Step 6

S32K39X Real-Time Drivers ASR R21-11 Version 5.0.0を検索して選択し、インストールします。

Installing the RTD Drivers Pt. 2

Getting and Installing the Software - Step 7

2.4 GD3162ドライバのダウンロード

Automotive SW - S32K3/S32M27x - Real-Time Drivers for Cortex-MパッケージからS32K396 GD3162 R21-11 Version 2.0.2 CD01ドライバをダウンロードします。

Getting and Installing the Software - Step 8

Selecting S32K396 GD3162 R21-11 Version 2.0.2 CD01

Getting and Installing the Software - Step 9

Downloading S32K396 GD3162 R21-11 Version 2.0.2 CD01

Getting and Installing the Software - Step 10

2.5 GD3162ドライバのインストール

S32DSで、トップ・メニューから[Help(ヘルプ)]→[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]の順に進み、[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]ダイアログを開きます。

[Add Update Sites(更新サイトを追加)]をクリックし、ダウンロードしたGD3162更新サイト・ファイルを参照します。

Getting and Installing the Software - Step 11 GD3162ドライバを選択してインストールします。 Getting and Installing the Software - Step 12

2.6 FS26ドライバのダウンロード

S32K396 FS26 Version 2.0.1をダウンロードします

Getting and Installing the Software - Step 13

Selecting S32K396 FS26 Version 2.0.1

Getting and Installing the Software - Step 14

Downloading S32K396 FS26 Version 2.0.1

Getting and Installing the Software - Step 15

2.7 FS26ドライバのインストール

S32DSで、トップ・メニューから[Help(ヘルプ)]→[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]の順に進み、[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]ダイアログを開きます。

[Add Update Sites(更新サイトを追加)]をクリックし、ダウンロードしたS32K396 FS26ドライバ更新サイト・ファイルを参照します。

Getting and Installing the Software - Step 16

FS26ドライバを選択してインストールします。

Getting and Installing the Software - Step 17

2.8 eTPU SWのダウンロード

S32K3 ETPU SW RTM 2.0.0 Code Drop 4をダウンロードします。

Getting and Installing the Software - Step 18

Selecting S32K3 ETPU SW RTM 2.0.0 Code Drop 4.

Getting and Installing the Software - Step 19

Downloading S32K3 ETPU SW RTM 2.0.0 Code Drop 4.

Getting and Installing the Software - Step 20

2.9 eTPU SWのインストール

S32DSで、トップ・メニューから[Help(ヘルプ)]→[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]の順に進み、[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]ダイアログを開きます。

[Add Update Sites(更新サイトを追加)]をクリックし、ダウンロードしたTPU SW更新サイト・ファイルを参照します。

Getting and Installing the Software - Step 21

eTPU SWを選択してインストールします。

Getting and Installing the Software - Step 22

2.10 FreeMASTER通信ドライバの入手

S32DSで、トップ・メニューから[Help(ヘルプ)]→[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]の順に進み、[S32DS Extensions and Updates(S32DSの拡張と更新)]ダイアログを開きます。

S32K3 FreeMASTER通信ドライバを選択してインストールします。

Getting and Installing the Software - Step 23

2.11 FreeMASTERアプリケーション・ツールの入手

リアルタイム・デバッグ用のFreeMASTER tool 3.2をダウンロードしてインストールします。

2.12 S32K3用AMMCLibの入手

S32K3用の最新の車載用演算/モータ制御ライブラリ・セット(バージョン1.1.39以降)をダウンロードしてインストールします。

Selecting the Automotive Math and Motor Control Library

Getting and Installing the Software - Step 24

Downloading the Automotive Math and Motor Control Library

Getting and Installing the Software - Step 25

2.13 モータ制御アプリケーション・ソフトウェアの入手

EV-INVERTERGEN3モータ制御アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードしてインストールします。

Getting and Installing the Software - Step 26

2.14 CANノード・ドライバの入手(オプション)

必要に応じて、CANインターフェース用のドライバをダウンロードしてインストールします。たとえばPCANインターフェースを使用する場合は、PEAK SystemのWebページでインターフェースを選択した後で、ダウンロードのセクションからWindows用デバイス・ドライバとPCAN-Viewアプリケーションをダウンロードします。ダウンロードしたドライバとGUIツールをインストールします。

3. プラットフォームをセットアップしてホストPCに接続

3.1 デフォルトのジャンパ位置

S32K396-HPWR-MC MCU制御ボードのデフォルトのジャンパ位置を確認します。

S32K396-HPWR-MC Jumpers

S32K396-HPWR-MC Jumpers
ジャンパ 状態 備考
J2 FS26_DEBUGピン電圧がFS26 VBOS信号に接続されます。ウォッチドッグは無効化され、FS26がデバッグ・モードで起動します
J3 MCURESET_B信号がFS26 WAKE2入力に接続されます
J4 FS26_DEBUGピンが分圧器から切断されます
J7 VDD_HV_Aが20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J8 MCU RESET_B信号が38ピンArm ETM Mictorコネクタに接続されます
J9 1-2 MCU JTAG TMS信号が20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J10 1-2 MCU JTAG TDO信号が20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J11 1-2 MCU JTAG TCK信号が20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J12 1-2 MCU JTAG TDI信号が20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J13 MCU RESET_B信号が20ピンArm標準JTAGコネクタに接続されます
J14 2-3 1.5 V PMOSトランジスタ・レギュレータの入力がVDD_HV_Bパワー・ドメインに接続されます
J15 2-3 VREFH_R2Rリファレンス(すべてのADCのリファレンス電圧)がHDD_HV_Aから導出されます
J16 1.5 V PMOSトランジスタ・レギュレータが切断されます
J17 1-2 1.5 V PMOSトランジスタがVDD_DCDC MCU信号により駆動されます
J18 2-3 1.1 V NMOSレギュレータがNMOS_CTRL信号により駆動されます
J19 SW1 RESETボタンがRESET_B信号に接続されます
J20 CAN0トランシーバ・スタンバイ信号がPTE5ピンから切断されます
J21 2-3 CAN3トランシーバのスタンバイ信号がプルダウンされます
J22 CAN3トランシーバのスタンバイ信号がPTF29ピンから切断されます
J23 2-3 CAN0トランシーバのスタンバイ信号がプルダウンされます
J24 SW3ユーザー・ボタンのバイパス - PTG14ピンでHDD_HV_A電圧
J25 SW2ユーザー・ボタンのバイパス - PTG4ピンでHDD_HV_A電圧

3.2 インバーターの組み立て

NXPのパートナーであるVepcoが提供するハードウェア・コンポーネントのセットアップを利用してインバーターを構築できますが、お客様はNXP EV-INVERTERGEN3コンポーネントに基づいて独自のトラクション・インバーターを構築することもできます。次の章 (3.3) では、Vepcoプラットフォームを使用せずにインバーターを構築する手順を紹介しています。Vepcoプラットフォームを使用する場合は、第3.3章をスキップし、第3.4章のステップ8に進んでください。

3.3 カスタム・ハードウェアのセットアップ

以下の手順では、電気的な接続についてのみ説明しています。お客様のプラットフォーム内のコンポーネントを支持して接続するために必要な物理的構造物(バスバー、取り付け用ハードウェアなど)は、お客様自身で組み立てていただく必要があります。

EV-INVERTERGEN3-NON-VEPCO Assembly

EV-INVERTERGEN3-NON-VEPCO Assembly
  1. 6パック(三相)SiCパワー・モジュール (Wolfspeed ECB2R1M12YM3LlSiC) を冷却プレートに取り付けます。
  2. DCリンク・キャパシタをバスバーに取り付けます
  3. パワー・モジュール上の3つのプラス側DC電源コネクタをバスバー上の対応するコネクタに接続します。パワー・モジュール上の3つのマイナス側DC電源コネクタをDCリンク・バスバー上の対応するコネクタに接続します。
  4. 電源モジュールの三相出力コネクタに高電圧ケーブルを接続します。次に、S32K396-HPWR-MCボード上の3つのモーター相電流センサ(U13、U14、U15)のいずれかを経由して、各線を配線します。
  5. 前の手順で電流センサに配線した3本の高電圧ケーブルを、モーターに接続できるように準備します。A、B、Cの接続が一致していることを確認します。
  6. イネーブルメント・キットの2つのボードを接続します。接続は、以下の2つの方法で行うことができます。
    • 方法A:46ピン・コネクタ(P3とP4)および+12電源コネクタ(P4とP2)を直接接続することで、S32K396-HPWR-MCボードをEV-POWEREVBHD2ボードの上に取り付けます。下側のボードのピンが上側のボードのコネクタに完全に挿入されていることを確認します。2つのボードの間にスタンドオフを取り付け、構造的に支持します。この方法でボードを接続した場合、EV-POWEREVBHD2ボードの上部にあるテスト・ポイントとコンポーネントへのアクセスが妨げられる点に注意してください。
    • 方法B:2つのボードをケーブルで接続します。それには、S32K396-HPWR-MCボードのコネクタP3とEV-POWEREVBHD2ボードのコネクタP1間に46ピン・リボン・ケーブルを接続します。この構成では、EV-POWEREVBHD2ボードへはS32K396-HPWR-MCボードとは別個に給電する必要があります。ステップ8を参照してください。
  7. EV-POWEREVBHD2ボードをパワー・モジュールに接続します。パワー・モジュールの上面のピンとEV-POWEREVBHD2ボードの底部のパワー・モジュール・コネクタの位置を合わせて、2つのユニットを合体させます。

3.4 インバーター・ハードウェアのセットアップ

Inverter Hardware Setup Assembly

Inverter hardware setup assembly
  1. 高電圧ケーブルでモーターをパワー・インバーターに接続します
  2. S32K396-HPWR-MCボードの23ピンP1コネクタにモーター・レゾルバを接続します。以下のように接続します。
    • 2線式高電力シールド・ケーブルを使用して、23ピンP1コネクタのピン14とピン21(レゾルバ励磁信号)をモーター上の対応する接続部に接続します。シールド・グランドを23ピン・コネクタのピン6に接続します
    • 低電力ケーブルを使用して、23ピン・コネクタのピン8、15、22、23(レゾルバの検出信号)をモーター上の対応する接続部に接続します。シールド・グランドを23ピン・コネクタのピン9に接続します。23ピン・コネクタの信号一覧表は次の第3.5章にあります
  3. 低電圧DC電源 (12 V) をS32K396-HPWR-MCボードのコネクタP4に接続します。ステップ6の方法Bを使用してS32K396-HPWR-MCボードをEV-POWEREVBHD2ボードに接続した場合は、低電圧DC電源からEV-POWEREVBHD2ボードの+12電源コネクタ (P2) への接続が追加で必要になります。(ステップ6の方法Aに従って2つのボードを取り付けた場合、EV-POWEREVBHD2にはS32K396-HPWR-MCボードの+12電源コネクタを介して直接電力が供給されます)
  4. 2線式高電圧ケーブルを使用して、高電圧/大電流DC電源のプラス側コネクタをバスバーのプラス側のDCリンク・キャパシタ・コネクタに接続します。次に、高電圧/大電流DC電源のマイナス側コネクタをバスバーのマイナス側のDCリンク・キャパシタ・コネクタに接続します。
  5. 20ピンArm JTAGデバッガ(PEmicro Multilinkなど)のヘッダを、ピン1のマークを合わせて、S32K396-HPWR-MCのコネクタJ6に接続します。PEmicro MultilinkのUSBケーブルをホストPCに接続します。PEmicro Multilinkの両方のLEDライトが点灯し、JTAGバスが通電中で通信可能であることを示します
  6. USB-CANインターフェース・アダプタ (PEAK System) を、S32K396-HPWR-MCボードの底面にある23ピンコネクタとWindows PCのUSBポートに接続します。

3.5 23ピン・コネクタの説明

23-pin Connector Position

23-pin connector position
ピン 記号 説明
1 EXT_CANH_A CANAハイ TTL (Transistor-Transistor Logic)
0 V~5 V
2 EXT_DGND デジタル・グランド 0 V、100 mA
3 EXT_DGND デジタル・グランド 0 V、100 mA
4 EXT_12V_IGNIT イグニッション 0 V~16 V
5 EXT_MTRTD1_RTRN モーターRTD 1リターン 抵抗–
6 EXT_RSLVR_DRIVE_SHIELD レゾルバ励磁シールド 0 V
7 EXT_RSLVR_SENSE_SHIELD レゾルバ・センス・シールド 0 V
8 EXT_RSLVR_S1 レゾルバ・センス S1 アナログ100 mA
9 EXT_CANL_A CANAロー TTL 0 V~5 V
10 EXT_FAULT_OUT Fsb1 TTL
11 EXT_DGND - -
12 EXT_MTRTD1_SIG モーターRTD 1信号 抵抗+
13 EXT_MTRTD2_SIG モーターRTD 2信号 抵抗+
14 EXT_RSLVR_R1 レゾルバ励磁 R1 アナログ100 mA
15 EXT_RSLVR_S3 レゾルバ・センス S3 アナログ100 mA
16 EXT_CANH_B - -
17 EXT_CANL_B - -
18 EXT_12V_UNSWTCHD スイッチングなしの12 V 10 V~16 V、2 A
19 EXT_GND_12V_RETURN 12 V GND 0 V、2 A
20 EXT_MTRTD2_RTRN モーターRTD 2リターン 抵抗–
21 EXT_RSLVR_R2 レゾルバ励磁 R2 -
22 EXT_RSLVR_S2 レゾルバ・センス S2 -
23 EXT_RSLVR_S4 レゾルバ・センス S4 -

4. モータ制御アプリケーションをMCUにインポートしてビルドおよびロード

EV-INVERTERGEN3モータ制御ボードの動作テストを行いましょう。

4.1 アプリケーションの選択とプロジェクトのインポート

インストール・ディレクトリで適切なPMSMモータ制御アプリケーションを選択します。

NXP\MC_DevKits\EV-INVERTERGEN3

インストールされているアプリケーション・ソフトウェア・プロジェクトをS32 Design Studio IDE for S32 Platformにインポートするには、次の手順に従います。

  1. S32DS for S32 Platformを起動します
  2. [File(ファイル)]→[Import(インポート)]に移動し、[General(全般)]→[Existing Projects into Workspace(既存プロジェクトをワークスペースへ)]を選択します MCU Motor Control Test - Step 1
  3. アプリケーションのインストール・ディレクトリNXP\MC_DevKits\EV-INVERTERGEN3に移動して、[Select Folder(フォルダを選択)]をクリックします。次に、[Copy projects into workspace(プロジェクトをワークスペースにコピー)]オプションのチェックボックスをオンにします。[Finish(終了)]をクリックします MCU Motor Control Test - Step 2
  4. しばらくすると、新しいウィンドウが表示されます。最初にM7_0_0プロジェクトに関するウィンドウが、その後にM7_0_2プロジェクトに関するウィンドウが表示されます。[Yes To All(すべてはい)]をクリックして、両方のプロジェクト・ディレクトリの「.settings」フォルダを上書きします MCU Motor Control Test - Step 3

4.2 設定ツールの使用

  1. 1つ目のプロジェクトの構造を展開して*.mexファイルをダブルクリックし、S32設定ツールのプロジェクト設定を開きます MCU Motor Control Test - Step 4
  2. M7_0_0プロジェクトを設定していることを確認してから、[Update Code(コードの更新)]ボタンをクリックして設定ファイルを生成します。 次に、S32設定ツールで、プロジェクト名の横にあるポップダウン・ボタンをクリックし、M7_0_2プロジェクト用の*.mexファイルを選択します。[Update Code accordingly(必要に応じてコードを更新)]をクリックします

    Configuring the M7_0_0 Project

    MCU Motor Control Test - Step 5

4.3 ソフトウェアのアップロードとデバッグ

S32DSで、右上隅にあるボタンをクリックし、C/C++の画面に戻ります。

Selecting the C/C++ Perspective

MCU Motor Control Test - Step 6

[Debug As(名前を付けてデバッグ)]メニューをクリックし、[Debug Configurations(デバッグ設定)]を選択します。

MCU Motor Control Test - Step 7

次に[Launch Group(起動グループ)]を展開し、最初の起動設定をクリックします。この設定によって、M7_0_0 プロジェクトとM7_0_2プロジェクトの両方がMCUにアップロードされます。[Debug(デバッグ)]をクリックすると、ソフトウェアがビルドされ、MCUにアップロードされます。

MCU Motor Control Test - Step 8

しばらくすると、新しいウィンドウが表示されます。[Remember my decision(選択内容を保存する)]チェックボックスをオンにして、[Switch(切り替え)]をクリックします。

MCU Motor Control Test - Step 9

S32DSはデバッグ画面に切り替わります。まず、Ctrlキーを押しながら両方のプロジェクトのmain()ファイルをクリックして、選択状態にします。次に[Resume(再開)]をクリックして(またはF8キーを押して)両方のプロジェクトを実行します。

MCU Motor Control Test - Step 10

[Disconnect(切断)]をクリックすると、S32DS IDEデバッガとFreeMASTERツールの間の干渉を回避できます。

MCU Motor Control Test - Step 11

4.4 デバッグ・ツールのセットアップ

FreeMASTERアプリケーションを起動します。

*.pmp FreeMASTERプロジェクト\FreeMASTER_controlを開くには、[File(ファイル)]>[Open Project(プロジェクトを開く)]の順にクリックします。

MCU Motor Control Test - Step 12

通信を有効にするには、FreeMASTERツールバーで[Go]をクリックします(またはCtrl+Gを押します)。

MCU Motor Control Test - Step 13

正常に通信が行われている場合、下部のステータス・バーに次のように表示されます。 CAN;drv=peak;port=1;bitrate=500000;cmdid=0x7aa;rspid=0x7aa;tmo=1000

MCU Motor Control Test - Step 14

5. アプリケーションの制御

5.1 モーターを回転させる

モーターのパラメータ(必要な場合の手順)

Vepcoモーターを使用しない場合は、使用するPMSMモーターに応じて、モーターのパラメータを編集する必要がある場合があります。モータ制御アプリケーション・チューニング (MCAT) ツールの[Parameters(パラメータ)]タブを開き、左側の値を編集します。

Controlling the application - Step 1

モーターのパラメータの編集が完了したら、[Store Data(データを保存)]をクリックし、[Output File(出力ファイル)]タブに切り替えて、[Generate Configuration File(設定ファイルを生成)]をクリックします。

Controlling the application - Step 2

モーターのパラメータは実行時に更新できないため、手順4.3を繰り返してプロジェクトをビルドし、コードをMCUにアップロードします。


オープン・ループでモーターを回転させる

  1. プロジェクト・ツリーで、[Sensors/Actuators(センサ/アクチュエータ)]→[Position/Speed(位置/速度)]→[オープンループ - スカラー制御(OpenLoop - Scalar Control)の順に選択して、[位置(Position)]ビューを選択します Controlling the application - Step 3
  2. MCATツールの[Control Struct(制御構造)]タブに切り替え、[Scalar Control(スカラ制御)]を選択します
  3. 必要に応じてMCATの[FAULT(障害)]ボタンをクリックして、保留中の障害をすべて消去します Controlling the application - Step 4
  4. [READY(準備完了)]状態が表示されたら、[Scalar Control(スカラー制御)]が[ENABLED(有効)]になっていることを確認し、MCATまたは[Variable Watch(変数監視)]ウィンドウで変数「On/Off」を「Run」に設定して、アプリケーションを[ON]に切り替えます Controlling the application - Step 5 Controlling the application - Step 6
  5. 制御ループでフィードバックが欠落する場合に備えて、最大20 rpmでモーターの回転を開始するようにMCATでSpeed_Req値を設定します。評価には10 rpmが理想的です。必要に応じて、V/rpm_factorの値を大きくしてモーターの回転数を上げてください Controlling the application - Step 7
  6. EV-INVERTERGEN3のスカラー制御方式(オープン・ループ)を使用して、レゾルバからのフィードバック位置信号をデバッグできます。オープン・ループと、レゾルバからのモーター位置のフィードバックを確認し、比較します。位置信号の位相が反転している場合は、2つのモーターの位相配線を入れ替えて、モーターとレゾルバの回転を同期させる必要があります。回転を同期させたときの波形:Controlling the application - Step 8

クローズド・スピード・ループ (FOC) でモーターを回転させる

  1. プロジェクト・ツリーで、[Sensors/Actuators(センサ/アクチュエータ)]→[Position/Speed(位置/速度)]→[Speed Control(回転数制御)]の順に選択して、[Speed(回転数)]ビューを選択します Controlling the application - Step 9
  2. モーター制御アプリケーション・チューニング (MCAT) ツールの[Control Struct(制御構造)]タブに切り替えます
  3. 必要に応じてMCATの[FAULT(障害)]ボタン([Application State(アプリケーションの状態)])をクリックして、保留中の障害をすべてクリアします
  4. [READY(準備完了)]状態が表示されたら、[Speed FOC(回転数FOC)]が[ENABLED(有効)]になっていることを確認し、MCATまたは[Variable Watch(変数監視)]ウィンドウで変数「On/Off」を「Run」に設定して、アプリケーションを[ON]に切り替えます Controlling the application - Step 10 Controlling the application - Step 11
  5. MCATでSpeed_Req値を設定して、モーター回転を開始します Controlling the application - Step 12 Controlling the application - Step 13

MCATを使用したモータ制御アプリケーション・チューニングの詳細については、「AN4642:三相PMSM向けモーター制御アプリケーション・チューニング (MCAT) ツール」を参照してください。