FRDM-IMX93のスタート・ガイド

最終更新日時: 2024-11-29 11:56:00サポート FRDM i.MX 93

このドキュメントの内容

  • 1

    パッケージの内容
  • 2

    ソフトウェアの入手
  • 3

    ビルドと実行

1. パッケージの内容

次のセクションでは、FRDM-IMX93をブートする手順について説明します。

開発キットには以下のものが含まれています。

  • NXPのWi-Fi 6トライラジオIW612に基づくオンボードu-blox MAYA-W276モジュールを搭載したFRDM-IMX93ボード
  • ケーブル:アセンブリ、USB 2.0、Type-Cオス - Type-Aオス
  • ソフトウェア:eMMCにプログラムされたLinux BSPイメージ
  • クイック・スタート・ガイド

パッケージ内容の説明ビデオを見て、FRDM-IMX93でのアプリケーションの開発を始めましょう。詳細については、i.MX 93アプリケーション・プロセッサのドキュメントをご覧ください。

1.1 ボードの概要

FRDM IMX93 Front

FRDM IMX93 Front

FRDM IMX93 Back

FRDM IMX93 Back

1.2 eMMCからのブート

FRDM-IMX93では、ビルド済みのNXP Linuxバイナリ・デモ・イメージがeMMCに書き込まれています。内部のバイナリを変更することなく、eMMCからのブートにより、Linux上で他のアプリケーションをビルドするための特定の機能を備えたデフォルトのシステムが提供されます。

NXPの組込みLinux®の詳細については、次のセクションを参照してください。

1.3 USBデバッグ・ケーブルの接続

付属のUSB Type-Cケーブルをデバッグ用UARTポートP16に接続し、ケーブルのもう一方の端をホスト・コンピュータに接続します。

2つのUART接続がホスト・コンピュータに表示されます。最初のポートがA55コア用、2番目のポートがM33コアのシステム・デバッグ用です。

ターミナル・アプリケーションに慣れていない場合は、ステップ1.4に進む前に、MinicomチュートリアルTera TermチュートリアルPuTTYチュートリアルのいずれかのチュートリアルを参照してください

Linuxでデバッグする場合は、CH342F Linuxドライバ がインストールされていることを確認してください。

1.4 HDMIケーブルの接続

イメージ・バイナリに付属のユーザー・インターフェースを使用するには、HDMIコネクタ (P5) を使用してモニタを接続します。

1.5 ブート・スイッチの設定

次の表に従って設定してください。

GS-FRDM-IMX93-IMG4

1.6 電源の接続

電源ケーブルを電源コネクタ (P1) に接続します。

ボードは、デフォルトではeMMCからブートするように設定されています。プロセッサはeMMCからのブータブル・イメージの実行を開始します。その後、U-Bootの実行が自動的に開始されます。

Arm® Cortex®-A55のシリアル・コンソールに情報が表示されます。U-Bootプロセスを停止しない場合は、引き続きカーネルのブートが実行されます。

ボードが起動すると、モニタの左上隅に2羽のペンギンが表示され、左上にLinuxターミナルのアイコン、右上にタイマが表示されます。

これで準備が完了しました。

2. ソフトウェアの入手

i.MX Linuxボード・サポート・パッケージ (BSP) は、特定のi.MX開発プラットフォームで組込みLinuxイメージをブートするために使用されるバイナリ・ファイル、ソース・コード、およびサポート・ファイルの集まりです。

Linuxバイナリ・デモ・ファイルの現在のリリースは、Linuxダウンロード・ページにあります。その他のドキュメントは、i.MXソフトウェアおよび開発ツールのLinuxセクションにあるi.MX Linuxドキュメント・バンドルで入手できます。

2.1 概要

FRDM-IMX93は、eMMCおよびSDカードからのブートをサポートしています。

このスタート・ガイドでは、Linux BSPイメージをSDカードに書き込むいくつかの方法の概要を説明します。経験豊富なLinux開発者は、必要に応じて他のオプションを検討することができます。

2.2 NXP Linux BSPのビルド済みイメージのダウンロード

FRDM i.MX 93開発ボードには、FRDM-IMX93用の最新のビルド済みイメージが用意されています。

ビルド済みのNXP Linuxバイナリ・デモ・イメージは、プロセッサの使用および評価のための標準的なシステムと基本的な機能のセットを提供します。システムを変更する必要なしに、ユーザーはハードウェアのインターフェースを評価し、SoC機能をテストし、ユーザー空間のアプリケーションを実行できます。

2.3 Universal Update Utility (UUU) を使用したNXP Linux BSPイメージの書き込み

「パッケージの内容」セクションでの接続に加えて、適切なUSBケーブルを使用してUSB1をホスト・マシンに接続します。

ボードの電源を切ります。「1.5 ブート・スイッチの設定」セクションを参照し、シリアル・ダウンロード・プロトコル (SDP) モードでブートするようにボードを設定します。

ホスト・マシンで使用されているOSに応じて、Linux BSPイメージをSDカードに転送する方法は異なります。詳細な手順については、以下のオプションを選択してください。

3. ビルドと実行

このセクションでは、FRDM-IMX93用Yocto BSPイメージをビルドする方法に加えて、Matterのサポートを追加する方法、およびDebianのリリース・イメージをビルドする方法の概要を説明します

3.1 FRDM-IMX93用Yocto BSP

FRDM-IMX93 BSPリリースは、Yocto Project 5.0 (Scarthgap) を使用したi.MX SW 2024 Q3リリースがベースとなっています。ソース・コードからFRDM-IMX93イメージをビルドするには、まずi.MX Yoctoプロジェクトのユーザー・ガイドをお読みになり、YoctoプロジェクトとYoctoのビルドについて理解してください。その後、以下の手順に従ってFRDM-IMX93用のイメージをビルドしてください。

  1. i.MX SW 2024 Q3 BSPリリースのダウンロード:
  2. $ repo init -u https://github.com/nxp-imx/imx-manifest -b imx-linux-scarthgap -m imx-6.6.36-2.1.0.xml
    $ repo sync 
  3. Yoctoコード・ベースへのFRDM-MX93レイヤの統合:
    $ cd ${MY_YOCTO}/sources
    $ git clone https://github.com/nxp-imx-support/meta-imx-frdm.git
  4. Yocto Projectの設定:
    $ MACHINE=imx93frdm DISTRO=fsl-imx-xwayland source sources/meta-imx-frdm/tools/imx-frdm-setup.sh -b frdm-imx93 
  5. イメージのビルド:
    $ bitbake imx-image-full 
  6. SDカードのイメージの書き込み:
    $ zstdcat imx-image-full-imx93frdm.rootfs.wic.zst | sudo dd of=/dev/sdx bs=1M && sync 

    または、uuuを使用してSDカードにイメージを書き込む場合:

    $ uuu -b sd_all imx-image-full-imx93frdm.rootfs.wic.zst
  7. ブート・スイッチSW1を「0011」に切り替えてSDカードのブートを選択したら、SDカードを挿入してFRDM-IMX93ボードの電源を入れます。

3.2 FRDM-IMX93でのMatterのサポート

FRDM-IMX93はMatterをサポートしています。Matterのサポートを追加するには、以下の手順に従ってYoctoのビルドにMatterのレイヤを含めてください。

  1. i.MX SW 2024 Q3 BSPリリースのダウンロード:
  2. $ repo init -u https://github.com/nxp-imx/imx-manifest -b imx-linux-scarthgap -m imx-6.6.36-2.1.0.xml
    $ repo sync 
  3. i.MX Matter Yoctoレイヤのダウンロード:
    $ cd ${MY_YOCTO}/sources/meta-nxp-connectivity
    $ git remote update
    $ git checkout imx_matter_2024_q3 
  4. Yoctoコード・ベースへのFRDM-MX93レイヤの統合:
    $ cd ${MY_YOCTO}/sources
    $ git clone https://github.com/nxp-imx-support/meta-imx-frdm.git
  5. Yocto Projectの設定:
    $ MACHINE=imx93frdm-iwxxx-matter DISTRO=fsl-imx-xwayland source sources/meta-imx-frdm/tools/imx-frdm-matter-setup.sh bld-xwayland-imx93
  6. イメージのビルド:
  7. $ bitbake imx-image-multimedia

3.3 FRDM-IMX93でのDebian

FRDM-IMX93はDebian 12 OSをサポートしています。i.MX Debian Linux SDKディストリビューションでは、NXPが提供するカーネルおよびブート・ローダとDebianディストリビューションのユーザー空間イメージが組み合わされており、これには以下のものが含まれています。

    Debianに基づくrootfs
    1. Debianベース(基本パッケージ)
    2. Debianサーバ(GUIデスクトップを含まない、より多くのパッケージ)
    3. Debianデスクトップ(GNOME GUIデスクトップを含む)
  • Linuxカーネル
  • BSPコンポーネント
  • 各種アプリケーション(グラフィックス、マルチメディア、ネットワーク、コネクティビティ、セキュリティ、AI/ML)

NXPのDebian Linux SDKディストリビューションの詳細については、https://nxp.com/nxpdebianをご覧ください

Debianでのクイック・スタート

DebianでFRDM-IMX93用にSDカードを作成するには、以下の手順に従ってください。

  1. Linuxホストにflexインストーラをダウンロードします。
  2. $ wget http://www.nxp.com/lgfiles/sdk/lsdk2406/flex-installer
    $ chmod +x flex-installer
    $ sudo mv flex-installer /usr/bin
  3. LinuxホストにSDカードを差し込み、以下のとおりにイメージをインストールします。
  4. # format SD card
    $ flex-installer -i pf -d /dev/sdb
    # automatically download and install images into SD card
    $ flex-installer -i auto -d /dev/mmcblk1 -m imx93frdm
  5. FRDM-IMX93ボードにSDカードを差し込み、以下のとおりに追加パッケージをインストールします。
    1. イーサネット・ネットワーク・インターフェースをDHCPで設定するか、手動で設定します。
    2. $ dhclient -i end0
    3. 例えば以下のように、正確なシステム時刻を設定します。
    4. $ date -s "22 Nov 2024 09:00:00"
    5. GNOME GUIデスクトップ・バージョン用の追加パッケージをインストールします。
    6. $ debian-post-install-pkg desktop
    7. または、GUIデスクトップを含まないサーバ・バージョン用の追加パッケージをインストールします。
    8. $ debian-post-install-pkg server
    9. インストールが完了したら、rebootコマンドを実行してDebianデスクトップまたはサーバ・システムを起動します

Flexbuildを使用したDebianイメージのビルド

Flexbuildを使用してFRDM-IMX93用のDebianイメージをビルドするには、以下の手順に従ってください。

  1. ビルド環境の設定
    $ git clone https://github.com/nxp/flexbuild
    $ cd flexbuild && ./setup.env
    #Continue to run commands below in case you need to build in Docker due to lack of Ubuntu 22.04 or Debian 12 host
    $ bld docker
    $ ./setup.env
  2. Flexbuildを使用したイメージのビルド:
    $ bld -m imx93frdm
  3. Flexbuildの使用:

    イメージの個々の部分をビルドするには、Flexbuildを使用するための以下のコマンド・リストを確認してください。

    $ bld uboot -m imx93frdm (compile u-boot image for imx93frdm)
    $ bld linux (compile linux kernel for all arm64 i.MX machines)
    $ bld bsp -m imx93frdm (generate BSP firmware)
    $ bld boot (generate boot partition tarball including kernel, dtb, modules, distro bootscript for iMX machines)
    $ bld multimedia (build multimedia components for i.MX platforms)
    $ bld rfs -r debian:base (generate Debian base rootfs with base packages)
    $ bld apps -r debian:server (compile apps against runtime dependencies of Debian server RootFS)
    $ bld merge-apps -r debian:server (merge iMX-specific apps into target Debian server RootFS)
    $ bld packrfs (pack and compress target rootfs)

Minicomチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

Serial-to-USBドライバは、CH342F Linuxドライバ から入手できます。

Linuxホスト・マシンのコマンド・プロンプトで、次のコマンドを実行してポート番号を確認します。

ls /dev/ttyCH343USB*

最初の番号はArm® Cortex®-A55用です。

Minicomチュートリアル

次のコマンドを使用して、シリアル通信プログラム(例:minicom)をインストールし、実行します。

  1. Ubuntuパッケージ・マネージャを使用してMinicomをインストールします
  2. sudo apt-get install minicom
  3. 事前に確認したポート番号を使用して、コンソール・ウィンドウでMinicomを起動します
  4. sudo minicom /dev/ttyCH343USB * -s
    GS-FRDM-IMX93-IMG3
  5. 図に示すようにMinicomを設定し、設定を終了します
  6. 次のステップでブート・スイッチの設定を行います

Tera Termチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

FRDM-IMX93のWCH USBシリアル・チップは、2つのシリアル・ポートを列挙します。ポートがCOM11COM12であるとします。最初のポート (COM11) はArm® Cortex®-A55からのシリアル・コンソール通信用です。Serial-to-USBドライバは、CH342F Windowsドライバ から入手できます。

Tera Termチュートリアル

Tera Termは、オープン・ソースのターミナル・エミュレーション・アプリケーションです。このプログラムは、NXP開発プラットフォームの仮想シリアル・ポートから送信された情報を表示します。

  1. Tera Termをダウンロードします。ダウンロードしたら、インストーラを実行し、このウェブページに戻って手順を続行します
  2. TeraTermを起動します。初めて起動する際には、次のダイアログが表示されます。[Serial(シリアル)]オプションを選択します。ボードが接続されている場合は、COMポートが自動的にリスト内に表示されます
  3. 事前に確認したCOMポート番号を使用して、シリアル・ポートをボーレート115,200、8データ・ビット、パリティなし、1ストップ・ビットに設定します。この設定は[Setup(セットアップ)]→[Serial Port(シリアル・ポート)]から行うことができます
  4. 接続が確立されているか検証します。確立されている場合、Tera Termのタイトル・バーに以下のように表示されます
  5. 次のステップでブート・スイッチの設定を行います

PuTTYチュートリアル

シリアル通信コンソールの設定

PuTTYは、広く利用されているターミナル・エミュレーション・アプリケーションです。このプログラムは、NXP開発プラットフォームの仮想シリアル・ポートから送信された情報を表示します。

  1. PuTTYをダウンロードします。ダウンロードしたら、インストーラを実行し、このウェブページに戻って手順を続行します
  2. 選択したダウンロードのタイプに応じて、ダウンロードした実行ファイルをダブルクリックするか、[Start(スタート)]メニューから選択して、PuTTYを起動します
  3. 起動後に表示されるウィンドウで設定を行います。[Serial(シリアル)]ラジオ・ボタンを選択し、事前に確認したCOMポート番号を入力します。ボーレートもあわせて指定します。今回は115,200を入力します
  4. [Open(開く)]をクリックして、シリアル接続を確立します。ボードが接続されていて、正しいCOMポートが入力されていれば、ターミナル・ウィンドウが開きます。設定が正しくない場合は、アラートが表示されます
  5. 次のステップでブート・スイッチの設定を行います

設計・リソース

ボードに関するドキュメント

FRDM-IMX93の関連ドキュメントをこちらでご覧いただけます。