お客様の素早い設計とより早い製品化を実現する、技術情報と専門知識をご紹介します。
スキルの不足。供給の変動。ますます切迫の度合いを増す排出量削減。今日の産業界は、かつてないほどのプレッシャーと不確実性に直面しています。
過去数十年の間、自動化は事業運営に欠かせない基盤として、タスクの標準化と信頼性の改善を担ってきました。しかし、エネルギー供給が変動し、労働力が縮小し、複雑さが増大する中で、自動化だけでは対応しきれなくなっています。
NXPはHoneywellとともに、次のフロンティアである「自律性」実現に向けて足を踏み出します。最高レベルのAIアクセラレーション、高度なプロセッシング、スケーラブル・ソフトウェア、セキュア・コネクティビティ、機能安全を組み合わせることで、その場で学習して適応し、自律的に動作するインテリジェント・エッジ・システムを実現します。
NXPとHoneywellが共同開発する自律性ソリューションは、さまざまな業界で現在実現されているテクノロジを段階的に変革し、次のテクノロジの基盤を創造します。
複数の重要セクターで自律性を推進するには、高性能のコンポーネントを提供するだけでは足りません。最初の段階からシステム・レベルで検討し、ハードウェア、ソフトウェア、イネーブリング・テクノロジの導入、専門分野のノウハウを集約する必要があります。
NXPとHoneywellのコラボレーションは深くまで統合されています。両社のチームは緊密に連携し、ロードマップのすり合わせ、エンジニアリング要件の定義、現実的な要件に合わせたインテリジェント・システムの共同開発に取り込んでいます。
NXPは、以下の取り組みに寄与しています。
NXPのシステムレベルの専門知識に、Honeywellの専門分野に関する豊富な経験を組み合わせることで、開発の迅速化と統合の緊密化が可能になり、複雑なインダストリアル環境での運用に適したシステムを実現できます。
両社の自律性への取り組みの中で最初に得られた大きな成果が、インテリジェント・ビルディングです。
建物が消費するエネルギーは全世界のエネルギーの30%近くに達しています。しかし、多くの建物では依然として時代遅れのインフラや人の手によってエネルギーを管理しています。一方、建物の運用部門は人手不足とコストの上昇に悩まされ、利用者の快適性と持続可能性という新たな要件への対応も求められています。
NXPとHoneywellはこの課題を解決するために、在室状況、使用状況、電気料金にリアルタイムかつ動的に対応できるビルディング・マネジメント・システムを開発しました。
Honeywellの最新システムの1つであるOptimizer Suiteには、NXPのi.MX 8M Plusおよびi.MX RT1060アプリケーション・プロセッサが採用されています。このニューラルネットワーク対応のインダストリアル・グレードのプラットフォームによって、エッジでの高度な検知と制御が可能になり、以下のようなソリューションが実現します。
AI推論、ビジョンベース分類、セグメンテーション、シーン解析に対応するNPU内蔵クアッドコアArm Cortex-A53プロセッサ
リアルタイム制御、幅広いコネクティビティ、グラフィックス、インダストリアル&IoTアプリケーションへの高い統合性を実現するArm Cortex-M7 MCU
Optimizer Suiteを導入した建物は自律的にリアルタイムで調整を行うため、明確な運用上のメリットが得られます。暖房、冷房、照明、電力システムを動的に制御することで、無駄になるエネルギーを減らし、利用者にとって快適な環境を維持しながら、運用チームの負担を軽減できます。
このシステムは新規インフラにも既存インフラにも導入できます。こうした柔軟性を利用することで、資産の寿命を延ばし、リソースの使用方法を最適化し、持続可能性の目標を高く設定することができます。
インテリジェント・ビルディングは始まりに過ぎません。NXPとHoneywellのコラボレーションは、他の重要な分野にも拡大しています。
航空分野もその1つです。NXPの高性能プロセッシング・プラットフォームとソフトウェアは、世界で最も要求の厳しい環境の1つである航空機の安全性を高めてパイロットの作業負荷を軽減するHoneywellのAnthemフライト・デッキのリアルタイムAIインサイト機能を支えています。これは、NXPのインテリジェント・エッジ・システム・ソリューションと、Honeywellの独自分野における経験を組み合わせたときに、何が可能になるのかを示す一例にすぎません。
複雑性が高まり、リソースが限られる中で、自律性の必要性が増しています。NXPとHoneywellは、システム思考を共有して信頼に基づく共同開発プロセスを進めることで、資産のパフォーマンスを高め、人手不足を解消し、さまざまな産業の運用効率を高めるインテリジェント・エッジ・システムを生み出すための可能性を今後も模索していきます。
産業界の未来は自律性にありますが、そのためのステップはパートナーシップによって導かれ、エッジによって可能になります。
タグ: AI/機械学習, ビル&ホームオートメーション, インダストリアル, Step Forward, テクノロジ
Vice President, Industrial Systems Engineering and Marketing NXP Semiconductors
Mattias Lange is Vice President of Industrial Systems Engineering and Marketing (ISEM) at NXP Semiconductors, bringing over two decades of executive leadership in the semiconductor industry. He is known for championing a customer-first approach and for his ability to navigate and solve complex challenges. Under his leadership, the team delivers intelligent, reliable and streamlined solutions that empower customers to adapt and innovate with confidence in a rapidly evolving industrial landscape.