NXPは、開発者が新しいアイデアのプロトタイプを作成し、革新的な製品を市場に投入できるよう支援するために、FRDM開発プラットフォームをリリースしました。今回、i.MXアプリケーション・プロセッサの追加により、FRDMのエコシステムをさらに拡張します。
FRDM i.MX 93開発ボードは、i.MX MPUを搭載した最初のFRDMボードとして、モジュール型のハードウェア、包括的なソフトウェアとツール、およびすべてのFRDM開発ボードに共通のクイック・スタート・エクスペリエンスを提供します。FRDM i.MX 93開発ボードは、インダストリアルIoTエッジ・コンピューティング分野の開発者に向けて新たな可能性を切り拓きます。では、FRDM開発プラットフォームにはどのような特徴があり、またFRDMプラットフォーム用の最初のi.MXアプリケーション・プロセッサとしてi.MX 93 MPUを選択した理由は何なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
組込みに革新をもたらす無限の機会
FRDMプラットフォームの中核となる理念は、包括的なソフトウェアとツール、モジュール型のハードウェア、およびソリューション主導型の各種アプリケーション・サンプルへのアクセスです。これらの要素が連携して開発サイクルを加速し、プロトタイプから生産への移行プロセスを簡素化します。FRDM開発ボードは、多数の拡張インターフェース、アクチュエータ、無線モジュールなどを提供します。
FRDMは単なるハードウェアではありません。FRDMの総合的なエコシステムにより、開発者は制限なく設計を進めることができます。アプリケーション・プロセッサ向けのGoPoint を活用し、i.MX MPU向けに作成されたデモを見てプロジェクトをすばやく開始できます。GoPointは、機械学習、グラフィックス、ビデオ処理などに関するi.MX 93プロセッサの主要な機能を活用した実践的なデモを提供します。このデモは、Yocto LinuxやDebian LinuxなどのさまざまなOS環境で利用できます。
FRDM-i.MX93プラットフォームは、インダストリアル&IoTアプリケーション用の一般的な各種ワイヤレス・プロトコルをサポートします。また、Wi-Fi 6、Bluetooth/Bluetooth Low Energy、802.15.4(ThreadとZigBeeを含む)をサポートする最新のトライラジオ・コネクティビティを備えたNXPのIW612に基づくワイヤレス・モジュールを搭載しています。Wi-Fi 6無線は、2.4 GHzと5 GHzのデュアルバンド・コネクティビティに対応しており、5 GHz帯での干渉を抑えた通信が可能です。
FRDM-i.MX93開発ボードには、NXPの幅広いシステムレベルのコンポーネントに加えて、NXPのPCA9451Aが搭載されています。これは、i.MX 93プロセッサを補完する最適化されたパワー・マネジメント集積回路 (PMIC) であり、バッテリ駆動アプリケーションと非ポータブル・アプリケーションの両方をサポートしています。
S32K39ブロック図 ブロック図をダウンロードすると、拡大図がご覧いただけます。
i.MX 93アプリケーション・プロセッサ:インテリジェントなエッジ・コンピューティング向けの多目的プロセッサ
i.MX 93プロセッサは、エッジ向けに最適化されたパフォーマンス、機能、効率をバランスよく提供するため、経験豊富な組込みエンジニアから学生や開発者まで、幅広いユーザーが初めて体験するアプリケーション・プロセッサとして適しています。
さまざまなインダストリアル&IoTアプリケーションを実現できます。i.MX 93アプリケーション・プロセッサの各種機能をご確認ください 。
i.MX 93 MPUは、最大2つの1.7 GHz Arm® Cortex®-A55コアと1つの250 MHzリアルタイムCortex®-M33コアを搭載し、組込みコンピューティング用に十分なパフォーマンスを発揮します。エネルギー効率に優れたArm Cortex-A55コアは、前世代のi.MXプロセッサよりもパフォーマンス効率が向上しており、Arm Cortex-M33はリアルタイム制御やその他のボードレベルのタスクをオフロードします。i.MX 93プロセッサは、パフォーマンスと電力効率を最適化するために、NXPの革新的なEnergy Flexアーキテクチャで構築されています。
機械学習アプリケーション向けに、i.MX 93プロセッサは専用のArm Ethos-U65 microNPUを内蔵し、ニューラル・ネットワークで0.5 TOPSの高速化を実現します。このmicroNPUは、i.MX 93 MPUのビジョン・パイプラインおよびMIPI-CSIカメラ・インターフェースと連携して、ビジョンとAIのワークロードを効率的に処理します。i.MX 93プロセッサは、柔軟な産業用コネクティビティを実現するために、デュアル・ギガビット・イーサネット・ポート、デュアルCAN FDインターフェースを備え、NXPのTJA1051T/3 CANトランシーバをオンボードで搭載しています。
セキュリティの面では、i.MX 93プロセッサはEdgeLock®セキュア・エンクレーブを使用して、接続されたデバイスの保護を容易にしています。この自律型のオンダイ・セキュリティ・システムは、セキュア・ブート、暗号化アクセラレータ、鍵管理、改ざん検知などのランタイム・セキュリティ機能を完備しています。その結果、開発者はPSA認証レベル2およびSESIPセキュリティ認証をより迅速に達成できます。
FRDM i.MX 93によるエッジでの革新
FRDM-i.MX93ボードは、NXPのFRDMエコシステムを強化し、高性能のMPU機能を開発者にとってより手の届きやすいものにします。FRDM-i.MX93ボードは、その特徴である柔軟性、包括的なソフトウェア、およびi.MXツール全体のサポートにより、i.MX 93プロセッサ・ベースのデバイスのプロトタイプ作成や設計を迅速に行うのに理想的なプラットフォームです。
FRDM i.MX 93開発ボードおよびi.MX 93アプリケーション・プロセッサの詳細については、nxp.comでご確認ください。